火曜日, 12月 23, 2008

ビジネスモデルを考える

 新聞社ばかりかテレビ局まで赤字になるご時世。広告に頼ったビジネス・モデルが終ったという現実を見ようとしないのでは問題が解決する事はないだろう。ネットビジネスの世界でも広告を主体にしたものが未だにあるが、コンテンツを無料で提供しなければならないとなれば、結局コンテンツの質はどんどん落ちて行き、
何れは相手にされない代物になってしまうのだ(テレビ局を見れば明らかだ)。

 時間潰しや暇つぶしにテレビを付けているのが現状だが、作り手側もどうせ視聴者はそんなレベルでしかテレビを捉えていないと考えているか、そうじゃなければ自分達を特権階級と勘違いし番組を提供してやっていると考えているに違いない。テレビ局にとってお客様はスポンサーであって視聴者でない事は間違いないが、そのスポンサーもパチンコ屋とサラ金ばかりになってしまってはもうお仕舞いなのだ。

崩壊したビジネスモデル
ジレットモデル:カートリッジを安価で販売し、替え刃で儲けるという20世紀型のビジネスモデル。替刃の機能競争が行くところまで行ってしまい替え刃で利益を出すまで、一つのモデルを継続できない状態になってしまった。どう考えてもカートリッジよりも替刃の方が製造コストが掛かるような商品では売っても儲けなど出る訳がないのだ。Microsoftなども基本はこのビジネスモデルである。
広告モデル:新聞やテレビに代表されるマスコミ関係は、スポンサーから得られる広告費で利益を出すと言うビジネスモデルである。新聞や放送など規制に守られている閉鎖的な会社が情報を握る事が出来た時代には、独占的な立場を良い事に言い値で広告枠を売る事が出来たが、新聞やテレビで得られる情報よりも鮮度も確度も高い情報が無償で手に入れられるネット時代に、広告費を得ようなどと言うのは虫が良過ぎるのだ。今のレベルで広告費を得たいのであれば無償で宅配するしかないだろう。
バンドルモデル:要は抱き合わせ販売なのだが、最近はバンドルをさせたために一気に評判を落としてしまうと言う負の連鎖さえ起き始めている。私自身はMacユーザなのであまり実感はないが、国産のWindows PCにバンドルされているアプリケーションが、OS自体の足を引っ張っているように思えて仕方がない。実際にParallelで動いている素のWindowsよりも快適に動いているWindowsマシーンにお目にかかった事がないのだ。

Appleのビジネスモデル
その1:無駄なものは作らない。
iPodなどは最初のモデル発表時からバリエーションは増えているが、バリエーションが増えるのは売れているデバイスだけである。Macのシリーズも最小限のモデルに絞り、モデルチェンジ(一つの筐体を2年は使う)も他社と比べれば極度に少ない。
その2:儲からないものは作らない。
Appleは他社との価格競争に巻き込まれるような商品を作らない。最初のiPodは、47,800円(今ならPCが買える)だったが当然利益の入った価格。とんでもない価格に思えても同じ仕様で他社が同じ価格で販売することは不可能だったのだ(HDDだけでコスト割れ)。当然、Appleよりも安く売ろうとすれば利益など全く出せなかったのだ。
その3:ベンダーを巻き込む。
iPodのアクセサリーを見れば分かるように、Appleはベースとなるデバイスに対応するアクセサリーは最低限に押え、ベンダーの参加できる大きな市場を解放している。iTunes StoreやApp Storeも基本的に全てのベンダーに解放され、売れなければコストを負担しないで参加できる敷居の低い市場を用意した。家賃が掛からなければ個人でも参加できる、そこから新しいビジネスが生まれるようにしたのだ。
その4:常に進化する。
ハードウェアを進化させるのは当然だが、Appleはソフトウェアとサービスを常に進化させ提供させるコンテンツそ増やしてきている。そして、iPodなどを見れば分かるように初代のモデルでも現状のiTunes Storeを利用できるようにソフトウェアの更新を続け、互換性を確保した上で進化させている。初代のiPod touchを使っているが2代目の登場と共に始ったサービスを全く同様に享受できるなど他のメーカーでは考えられない事なのだ。

結論:現状で一番上手く行っているビジネスモデルはAppleのエコシステムだろう。サービスを軸に据えて、全てのデバイスが有機的に連動する仕組みが出来上がっている。自社だけではなくサードパーティーやベンダーにも利益を分け与えるビジネスモデルを構築したことが重要なのである。

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