火曜日, 12月 16, 2008

100円ショップが売れる訳

 世の中は不景気だが、それでも売れるヒントが100円ショップの中には隠されている。ダイソーなどの100円ショップが売れている理由を不況で財布の紐がきつくなっているからだと思っている人が世の中にいる。不景気だから価格の安い100円均一が受けるのだと言いたいのだろうが、それは1面しか表していない。単純に価格だけを考えれば100円では大して安くないものがあるにも関わらず、100円ショップでつい余分なものまで購入してしまうのは会計の仕組みが簡単な事が大きい。消費税が別途かかるにせよ、個数がそのまま金額に換算できるため何も考えずに購入できると言うことの方が、単純に安いかどうかよりも実は大きな比重を占めているのだ。

 基本的に私は100円ショップに入っても心は踊らない。何故なら衝動買いをするタイプの人間ではないからだ。欲しいと思ったものが偶然100円ショップで売っていれば購入するかも知れないが、それ以外のものは購入しないので、100円ショップには有り難くないお客なのである。それでは、何故人は100円ショップに入るのかと言えば、思いっきり消費したいと言う感情を僅かなコストで叶える事が出来るからである。100円ショップで1万円も買い物をしてみれば分かるが、恐らく信じられないくらいの荷物になるはずである。それを見たらきっと一瞬は自分がお金持ちになったような錯覚に陥るだろう。その時に出ているアドレナリンの量は間違いなく半端では無い筈だ。

売れるためのヒント
その1:明快。値札なしでレジに行くまで幾らになるか分からないようなところで買い物をできる人は限られている。寿司屋が回転寿司勝てない理由は、お好みで頼んだら、おあいそするまで幾らになるかが分からだし、食べ放題が受けるのも安いもあるが、食べ始める前にお勘定が分かっているからなのだ。食べ放題で元が取れるほど(あんな不味いものを)食べられるとは考えられない私にとって食べ放題は、非常にコストパフォーマンスが悪く思えるのだ。
その2:正直。安いならば安い理由を、高いなら高い理由を誰にでも分かるようにしている。高いものの理由は良く聞くが、安い理由を正直に説明しているのを聞いたことは少ない。これでは、不信感を持たれるだけである。安くすると言うことは安くできる理由か、安くしなければいけない理由が必ずある筈だ。それが言えないのならば、そんな商品を置かないことである。
その3:快感。パチンコなどのギャンブルを考えれば分かるように気持ちよさと言うのは癖になり、エスカレートして行く。Macユーザが深みにハマってしまうのも、買った瞬間から気持ちよさが始るからである。梱包を開けば味気ない段ボールにくるまれて興ざめするような数多の商品とは違い、クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントのようにパッケージされた商品が顔をのぞかせる。それだけで人はMacを単なる物ではなく(例え自分で買った物だとしても)贈り物だと勘違いしてしまうのである。売れるように何かをしようと無駄な時間を費やすくらいならば、気持ちよくなってもらうために知恵を絞るべきである。
その4:愛着。気持ち良いに繋がるが、壊れても捨てられないような商品を作れと言うこと。買い替えられて捨てられてしまうような製品(自社製の買い替えだったとしても)は、いくらでもライバルと入れ替わってしまう可能性がある。常に買い増しされるような物を売らなければいけない。それが出来ないならば、ずっと同じ物を同じ品質で作り続ければ良い。
その5:安い。一番簡単なのは単純に良し悪しは関係なく闇雲に安い(値引なんてのもあるな)というものだが、そんなことはどんなバカにでも出来る(中には価格戦略をバカなことだと考えない大バカがいたりするが)。少なくとも1から4までのどれかをクリアした上で相対的に見て安いというレベルにならなければいけないだろう。理想を言えば、1から4をクリアして相対的に安くする事なのだが、それはあくまでも理想、1から4をクリアしていれば安くなくても売れるのだ。

結論:良く高いから売れないと言い訳をする人がいるが、それは単純に価値の無い物に高い値を付けただけの話である。一般的に価格は、コストに利益をプラスして決められるようだが、その発想は20世紀の遺物である。価格を決めるには、もっと心理的な要素が必要になる。物を物として売る限り価格を安くするしか方法はないのだ。

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