木曜日, 12月 28, 2017

2017年のスマートスピーカーは、物知りと物売りを中心に

年初のCESがAmazonのAlexa中心に回っているのを目の当たりにするまでAmazonは物売りに過ぎず世界はGoogleを中心に回っていると信じていたのが我が国。10年前はそれがMicrosoftだった訳だが流石にMicrosoftが絶対神だなどと考えている人は希少種になってしまった。

ハードウェアに目を転じればウェアラブルに関してはeSIMも内蔵してスタンドアローンでの使用機会が広がったApple Watchが気を吐いていたのが印象的。Xiomiなど低価格の製品も出てきたため活動量計タイプが主力製品だったところはどこもかしこもうまく行かなくなり合併による生き残りを余儀無くされた。スマートグラスは予想通りVRを中心技術としたHMDが雨後の筍状態だったが騒がれているほど売れているとは言えず今はまだ開発段階と言える。ARに関してはAppleのARKitの発表により特別なハードを必要としないARへと流れが変わりGoogleが進めていたTango Projectは終了となってしまった。

そんな中、AppleがHomePodを発表したからではないだろうが世の中は一気にスマートスピーカーにシフト。3年前からAmazon Echoは出ていたがそんな事を知らない日本(Echoは日本未発売)では今年がスマートスピーカー元年。秋に発売開始されたGoogleHomeが牽引車となって一気にスマートスピーカーと言う言葉が浸透した。年末には発売開始されるはずだったスマートスピーカーの本命馬だったHomePodは登場していないが、ディープラーニングの仕組みも持たないAppleの出す製品など他と比較するのはお門違いなどと言うアンチアップルの連中もいるのでスマートスピーカーと一括りにされている各陣営のスマートスピーカの方向性の違いについて書いてみたい。

Google Home(Google):伊達や酔狂で森羅万象の情報を独り占めしようなどとしている訳ではない。クソも味噌も引っくるめてディープラーニングしているのだから分からない事を知ろうとするならGoogle Homeで決まり。中身の基板はchromecastでそこの集音マイクとスピーカーが付いただけ。Googleのクラウド検索のダム端末である。Google Assistantなので質問には強いが会話を楽しむようなものではないのでAIの入ったスピーカーだなどと勘違いするとがっかりするのである。【物知り】
Amazon Echo(Amazon):最初のモデルがリリースされてから早3年。その中で鍛え上げられたAlexaはEchoだけではなくSkillを使って様々な家庭内の家電製品のコントロールも可能になっている。とは言え基本はAmazonの注文窓口。ものを尋ねているのに本や家電製品の注文と捉えてしまうのは困り物。その内購買履歴からこんなものがセールになっていますよと言いかねないのだ。【物売り】
Clova(Line):GoogleHomeやAmazon Echoがアメリカ製なので日本語に難があると考えたのかも知れないがLineのClovaの一番の売りは日本語の認識能力の高さと独自のAI。同じ質問をすると他の二つよりも知らないことが多いのだが話をはぐらかすテクニックは他にはない機能かも。一言で言ってしまえばPCやスマホを使わずにLineが出来るスピーカー。Line Musicユーザー獲得のテコ入れもあるのだろう。Lineができれば他は何もいらないと言う人にはぴったりかも知れない【物足りない】
HomePod(Apple):Google Homeよりものを知らないAppleはガラパゴスだと騒ぎ立てる人もいるが、そんなところで勝負をする気で開発をした訳では無いのがHomePod。その証拠にAppleはSiriを使った人工知能スピーカーなどとは一度も言っていない。部屋に配置しただけでどのような空間におかれているのかを判断してその部屋にふさわしい音場を自動で作り出すところが一番の売り。煩わしいセッティングをスピーカー自らが行うと言う意味でスマートなスピーカーなのだ。もちろんSiriは使えるので簡単なお願いをすることは出来るし、今はApple TVかiPadでなければ出来なかったHomeKitのハブとしても機能するだろう。他のスマートスピーカーでも出来るのかも知れないがマイクを使って空間把握をしているので人がいるのかいないのかを認識可能なのでその機能を使えば見守りアプリを作るのは簡単だろう。【物の音】

結論:GoogleHomeは、ディープラーニングのための音声を集める道具。Amazon Echoは音楽も聴ける御用聞き。Clovaはスピーカーの形をしたLine。そしてHomePodは音をベースにした環境デバイスなのである。