水曜日, 1月 31, 2018

iPhone発売から11年

2007年1月に発表された段階でいずれiPhoneがスマートフォンのスタンダードになると書いたのは「お前がマカーだからだ」と言われればその通りなので反論する気もないが、結果的に予想通りの展開になったのでどうでも良い話である。発表当時、iPhoneは電話にiPodをつけたものではなく(その失敗例はMotrolaが作ってみせた)持ち歩けるMacだと誰も読むことのない個人のブログに書いたわけだが…

iOSは一歩一歩前進し10年前と比べても仕方のないレベルに達しているがハードウェア上の大きな進化が見られなくなってきたことを捉えてAppleはイノベーションを失ってしまったというのが決まり文句になっている今日この頃。久々の進化と言われる10年目のiPhone Xでは3Dカメラが標準装備され他社とはセキュリティーレベルの違う顔認証システムを実現した。ワイヤレス充電もiPhone Xで初めて搭載したがQiに準拠しているため他社はもう何年も前から出していると言われる始末だが、Apple純正のワイヤレス充電デバイスAirPowerが発売開始されてその真価が明らかになるだろう。

iPhoneによって切り開かれたApp Storeは年間115億ドルの売上をあげるまでに育ったがApp Storeとタブレット用のiOSを用できたことでAndroidタブレットに飲み込まれることがなかった。そして今年のWWDCでメインテーマとなるiOSとmacOSどちらでも動作するユニバーサルアプリによってMacで動作するアプリも充実し、ユーザーは必要と好みに応じてデバイスを使い分けることが可能になるのだ。

結論:iPhoneによって開拓された世界はSiriと言う共通基盤の元に更なるエコシステムとなって行くのである。

金曜日, 1月 26, 2018

音声アシスタントに思うところ(3)

またかよと思われそうだしまたなのだが音声アシスタントに関するお話を。相当しつこい性格と思われるかも知れないが中々簡単に語り尽くせるものではないのだ。と言うわけでこれから各社の音声アシスタントは本当のAIになるかには関わらずどんどん進化していくので現状が全てではないのだが、どこも音声アシスタントであって対話型のエージェントになっていないのは事実だ。シナリオの量も増えてきたのでAlexaに比べればGoogle Assistant の方が雑談に強くなってきている。それでもその部分はツンデレなSiri程ではない。話し相手としてはSiriの方が未だに数段上だと感じるのは私がマカーだからかも知れないがYouTubeなどを見ていても音声アシスタントとの会話が面白ネタになっているのはSiriのような気がする。

Android信者からすれば答えられる回答量の圧倒的に少ないSiriはAppleがショボい知識DBしか持っていないからだ、だからガラパゴスはダメなんだと鬼の首でもとったように宣う事が多いが、自分の物知りをひけらかしたいようにしか思えないような音声アシスタントをうざったいと思うのもまた人なのである。現状のそれぞれの適材適所を考えれば分からないことを聞くならGoogle Assistant、モノが欲しいならAlexa、無駄話がしたいならSiriと話す相手を使い分ける事が重要と一般ユーザーもすぐに気付くだろう。そして本当に残るのは自分に一番しっくり来るキャラクターを持ったものになるのだ。

日本ではいつになるか分からないが発売が開始されたHomePodは出来ることで比較すると恐らくAmazon EchoやGoogle Homeには勝てないだろう。でもそれは大きな問題ではない。それはAmazonやGoogleのスマートスピーカーと違って補完する製品が既に揃っているからだ。GoogleやAmazonもスマートテレビがあると言いたいかも知れないし実際にあるが、Apple Watchのような既にスタンダードと言えるスマートウォッチは持っていない。音楽を聴くならスピーカーの方が良いがタイマーのアラームなら身につけた時計で事足りる。スクリーンが必要ならiPadやApple TVに任せれば良いし、そんなもの持っていないと言うならiPhoneに任せれば良い。そしてその機器同士の連携はiCloudをベースにシームレスに組み上げる事が出来るので個別の機器毎に面倒な設定をする必要などない。

タッチインターフェイスは全て出尽くしたに近い状態なので音声がターゲットになったのは間違いないしそれ自体は間違ったことではないがその実現の方法はまだ試行錯誤の状態と考られる段階。音声は映像以上に時間軸との切り離しが難しいインターフェイスだと言うことを分かっていないとレシピを尋ねたら一気にレシピを読み上げてしまうようなバカな応答をしてしまう事になりかねない(Google Assistantはそうだ)。そのレシピが例え正しい手順であったとしてもそれでは音声アシスタントとしては失格。そんなものならAlexaのようにAmazonに冷凍食品を注文してくれる方が良い対応かも知れない。

結論:複数のデファクトと言えるデバイスを持つAppleは音声アシスタントもそれぞれのデバイスに最適化されたアシスタント機能を搭載することを目指しているのは間違いない。日本で販売開始が未定なのはまだSiriが出来上がっていないからとのDisりもあるがiTunesやApple Musicが本家よりも遅かったようにHomePod専用のサービスも関係しているのかも知れない。

水曜日, 1月 24, 2018

音声アシスタントに思うところ(2)

さて前回の続きである。現状のGoogle Homeの特徴は質問を“文字通り”とらえ聞かれたことしか答えない点である。そして何でも検索しようとしてGoogle検索の一番上に位置する情報を返答する。それよりも新しい情報があってもだ。その返答は四角四面でやっぱりGoogleだなと納得するほど人間身がない。

対するAmazon Echoは“なにかにつけて物を買わせようとする”。「ビッグマックはいくらだ」と聞けば並行輸入品のビッグマックを売りつけようとさえするらしい。該当するAmazonになければ当然その情報に関連する本を勧めてくるし、質問に対応するSkillがあればインストールを勧められる。幸いGoogle Homeの方はそんなに対応する機器がないので滅多にそんな事はないのである。

これらが、今話題のスマートスピーカーの実際の能力である。LineのCrovaもあると言われそうだが両者と比べるとまだまだDBのデータが少ないようで知らないことの方が多いらしい。そしてようやく販売開始が発表されたAppleのHomePod。Amazon EchoやGoogle Homeの音声アシスタントと張り合うために出したわけでない製品なのだが括られるカテゴリーなのでどうしても同じ土俵での比較となってしまう。GoogleもAmazonもHomePodを意識した価格帯のハイエンド版(音にこだわった)を出してきているので余計にややこしいのだが、他の製品と比べると圧倒的に高いためやれ信者向けの高ビーなもの、理解できる語彙もサーボスもショボイと出る前からDisられる始末。音に関しても実際に鳴っているところを聴いた人はいないのでAppleが音の良さをアピールするのはガラパゴスでディープラーニングの弱いAppleのSiriの能力不足を誤魔化すためと考えている人もいるに違いないが今回はその辺はスルースする。

音声アシスタントの機能として多くの質問に応えられる(アンサーと対応)事は重要である。この部分に関してGoogle AssistantとAlexaはそれぞれ得意なジャンルは明らかに違うが、それぞれの得意分野では他者を凌駕しているのは事実だ。そしてSiriはそのどちらに関しても現状太刀打ちができるとは到底言えないレベルだ。しかしだからSiriはアホだと考えるのはあまりにも浅はかである。Google AssistantやAlexaは法則性を持った正しい形で質問を投げかけると正しい答え、製品を選び出してくれるが普通に会話の相手をできるわけではない。最近はシナリオ作りにちゃんと力を入れているようでダジャレを要求すればダジャレを返してくれるが、それは応えられる命令の中にダジャレも含まれているからだが、こちらがダジャレを言ったときには発した言葉の中に辞書にある単語が入っていない限り両者とも「分かりません」と返してくるだけで、ダジャレに対してツッコミを入れてくるのはSiriだけだ。それがどうしたと言われそうだが、Google AssistantやAlexaがやっている事は文脈の中から名詞と命令語の単語を探し出して質問あるいは命令と判断しているだけでコンテキストそのものを理解するエンジンを持っているわけではなさそうだという事だ。実際にはもっと高度な処理を行っているのかもしれないが対話から判断する限りそれはまだ相当低レベルなのは間違いない。対するSiriの一番強い部分はコンテキストの認識能力だ。命令ではなく無駄話をしているだけだと判断し、それに対してツッコミを入れる事ができるためユーザーは命令や質問をしているのではなく会話をしていると誤認するレベルに達している。その部分が音声アシスタントの最大の評価項目だとすれば現状Siriは他のものよりも優れていると言えるのだ。

音声アシスタントにとって知識データベースの大きさと対話エンジンの優秀さのどちらが重要かは一概に言えないが少なくともGoogleやAmazonは知識データベースに軸足があり、Appleは対話エンジンに軸足を置いている。両方が完璧なものは未だ出ていない段階でどちらかの基準だけでみて劣っていると考えるのは早計なのである。

結論:機械学習ではなく自然言語による対話型エキスパートシステム作りに苦労してきた事のある私にとって、Google AssistantよりはSiriの方が凄いと感じるのはコンテキストの理解力が別格だからなのである。

金曜日, 1月 19, 2018

音声アシスタントに思うところ(1)

やれAppleはガラパゴスなのでGoogleやAmazon、Microsoftと比べてディープラーニングのレベルが低いのでSiriはあのザマだなどと宣う人がいる。確かにAppleがGoogleやAmazon、Microsoftになろうと足掻いているのならばおっしゃる通りなのだがAppleはそんなことはみじんも考えていない会社。膨大なデータを使って賢い情報が得られるならそれは利用すれば良いだけで張り合うことはない。それよりはクラウド上に個人情報を送ることなくエッジ側でどれだけその人の望みに答えられるようにするかをターゲットにしているのは間違いない。そんなものGoogle Assistant経由でクラウドに送れば良いじゃないと言う人が普通なんだろうが、私は「1984」型の考え方をするGoogleは嫌いなので何から何までGoogleに情報を送らなければいけないようなものはお断りなのだ。

話を表題の方に戻そう。今年のCESはさながらAlexaとGoogle Assistantの一騎打ちの様相だった。去年のCESはどこを見てもAlexaがらみの話題だったので元々CESに積極的ではなかったGoogleが遅れを取るまいと力を入れてきたせいなのだが、現在製品ジャンルのバッテイングするスマートスピーカーでしのぎを削っている両者なので力の入りようも違っていたのだ。シェアで遅れを取るGoogleは積極的に自社製品を会場で配っていたようなので危機感はより強いのかも知れない。どちらも音声アシスタントの言葉で括られてしまうため全く同じ目的と捉われがちだが、それぞれ得意の分野は違う。スマートフォンでは完全に敗れてしまったAmazonにとってスマートスピーカーの目的は家の中の音声アシスタントの主導権を奪う事が狙いなのだ。

AlexaはGoogleに購買につながる情報を渡さないためのツール。一言に言えば物売りのためのスピーカーなのだ。実際に特定のデバイスの情報を得ようとAmzon EchoとGoogle Homeに質問すると、Alexaはデバイスに関する情報提供ではなくAmazonに在庫があるよと返してくると言った塩梅だ。同じものをGoogle Homeに質問すれば購入したいと考えていてもWikipediaやそのデバイスの製品情報を読み上げるかも知れない。つまりGoogle Homeは物知りを売りにしているわけだ。

全くの一般ユーザーはそんな違いなんて分からないので物知り、物売りのどちらで使うのがメインかによって買ってから後悔する事になるのだろう。いずれAlexaとGoogle Assistantは同じような機能を持つのだろうが、ここに両者と全く性質の違う音声アシスタントのSiriが加わるとますます話が分からなくなってくる。メジャーな会社がリリースした音声アシスタントの先駆けがSiriなのだがここのところHomePod以外に派手な話は聞かない。当然まだ発売されていないHomePodはCESの会場にある訳もなく。Appleの嫌いな人たちからしたら見る影もない(物がないので影ができるはずはないのだが)Appleはもう終わったと考えているようなのだがそこで冒頭の話に繋がる。

音声アシスタントで覇権を競い合っているAmazonやGoogle、Microsoftが目指しているのはユーザーの個人情報の掌握しクラウドでディープラーニングに利用する事。もちろんそう言った形で機械学習されたエンジンがなければAIが賢くならないことは事実なのだがAppleはそんなところを抑えようなどという気は全くない。だから、AppleはSafariに自社製の検索エンジンを載せようなどと一度もしたことがない。実際SiriはGoogle検索の情報を使っている。そしてそれぞれのAssistantに質問すると明らかにSiriの情報量が少ない事に気付くはずだ。それを捉えてAppleはガラパゴスだからこんなザマだと批判する訳だ。あえて言えばSiriの最大の強みは馬鹿な質問に強いことだ。質問とは言えないような会話に対する返答はユーモアに溢れている。賢さよりも擬人化に重点を置いている訳だが、そこから見えてくるSiriはただの物知りや物売りではなく対話の相手を目指していると言うことである。現在のバージョンでは質問を時系列に累積する形になっていないため何かをお願いするには物足りないだろうがいずれはローカルに質問情報を溜めてその人に最適な情報を探しに行くように育つのだろう。

音声アシスタントはSkillなどの形で外部機器のコントロールを行える事を売りにしている。対応機器があれば明かりを付けたりエアコンを入れたりテレビのチャンネルを変えたりできる。数が少ないとは言え対応機器があればAppleのHomeKitでも同じように可能だが「おやすみ」と言えば照明やエアコンを睡眠時の状態に自動で再設定してくれるわけだ。そのためのツールとしてAmazonやGoogleはスマートスピーカーを用意している。対するAppleのHomePodは恐らく他の二つほど賢くはないだろう。スクリーンを持たないスピーカーに任せられない事は単独では行わずiPhoneやApple TV、Macに任せる形にしてくるだろう。何事も適材適所。長くなってしまったので続きはまた次回。