金曜日, 11月 08, 2019

UWBで何が起こるのか?

AppleがiPhone 11に突然搭載したために新しい技術と考えられても仕方のないUWBは2003年にアメリカで発表され、技術者の間で大きく騒がれたのに(こんなの上手く行きっこないも含まれる)Appleが近距離通信をBluetoothに絞り込んだことで檜舞台を派手に飾ることもなく2012年の段階でもうニッチと言われていた技術。現にAppleはBLEをiBeaconとして使い始め完全に引導を渡されたと考えられていた。技術的にはBluetoothよりも省電力性、通信容量とも桁違いに優れていることは当時から分かっていたが如何せんチップの小型化、低価格化で全く歯が立たなかった。それがU1と言う新しいチップの形でiPhone 11へのUWBの採用。一般人には全く知られていなかった技術が一躍檜舞台に登場となった。まさにUWBびとっては晴天の霹靂だったのだ。

今では使われていないことの方がおかしいUSBも規格が決まった当時はバスパワー給電が可能だったり抜き差しが自由だったりと当時のPCメーカーの常識では到底受け入れられないものだったがAppleがUSB以外の外部アクセスポートを載せないと言う大博打で打って出たiMacの大ヒットがあってこそだったことを知らない人も多いだろう。本来であればiPhone 11の発表で大々的にアナウンスされて良いはずのUWBの標準搭載。まるでAirDropを便利にするために搭載したようにしか触れていなかったが、今後一番重要になる技術をスルーしたのはまだ全てのコマが揃ったわけではなかったからと考えるべきだろう。
UWBに関してはDENSOはキーレスエントリー用、Samsungは家電のIoT基盤技術、SONYなどの多くの家電メーカーも実はどうにかして取り込もうと研究開発を続けているが大々的に発表していないということはまだ明確な使い道を見つけていないからだ。UWBには大きく二つのコンソーシアムが存在し、そのどちらにもSONYやSamsungなどのメーカーが参加している。Bluetoothよりも前からUWBの研究開発を続けているのにどちらのコンソーシアムにも参加していないAppleがUWB専用のU1チップをいきなりiPhone 11に載せてきたことで業界は慌てふためいているに違いない。AppleはUWBで何をしようとしているのか、今回は妄想も含めてその辺りを書いてみたいと思うのだ。

UWBで何が出来るのか
その1:AirDrop
別にたいしたことではないのだが今回の発表ではこれしか触れていない。例えばパーティーなどでiPhone 11ユーザーで個人情報を公開している場合にはiPhoneを向けた先の人が誰かを知るアプリなどを作ることができる。目の前にいる人とのデータ共有は同じアプリを使っているならメールやメッセージなどインターネットを経由するアプリを使わずに可能にある
その2:Find My
Apple製品であれば「探す(Find My)」で家の中のどこにあるかをバルーンで正確に教えてくれる。U1チップを搭載した分失防止タグが発売さればネットワーク接続機能を持たない様々な物の位置情報を知ることが可能になる。既にBluetoothを利用したタグは存在するがそのバッテリーの消費量が全く違うのですぐに電池切れになるようなことがない。
その3:HomeKit
AlexaやGoogle Assistantで家電をコントロースするにはインターネット必須だがUWBではインターネット接続なしにiPhoneなどを向けた先のデバイスがUWB対応であればその装置のコントロールに必要なアプリが自動で立ち上がり操作を促すことが可能になる。
その4:AirPlay
AirAirPlayが可能なテレビやスピーカーなどのデバイスならそちらにiPhoneやApple Watchをそちらに向けるだけでAirPlayがスタートさせるなどの可能性がある。受けて側のデバイスには強力なCPUやストレージがなくてもUWBだけでストリーミング再生が可能になる。
その4:CarPlay
自動車ドアのロック解除、エンジンの始動などがUWBで可能になる。そのセキュリティレベルはBluetoothやWi-Fiを利用したものよりも高くなりすましを防ぐ事が可能な上車を離れるだけで自動でロックをかけることも可能になる。

結論:世間は5Gだけに気を取られているがニッチに過ぎなかったUWBが今後、近距離通信のキーとなる可能性が高くなってきた。そんな事はないと言う意見もあるだろうがiMac発表以降ハードウェア仕様のデファクトを再定義し続けてきたAppleが動いたことを軽視してはいけないのだ。

水曜日, 11月 06, 2019

AirPods Proは何が違うのか?

Appleの子会社とは言えBeatsが新製品を出してもAppleのように乳飲み子から知っているわけではないので世の中が大騒ぎになることはありませんが、ことAppleとなるとプレス向けの発表会さえ行わなかったのに既に年内に手に入れるのが不可能になりそうな売れ行き。私があれほど買ってはいけないと書いたのにと思わないでもないですが読んでる人がほとんどいないので仕方がありません。時計と同じようにオーディオは奥の深い世界。音の好みは千差万別。超高額のオーディオ機器を買ってきたわけではないので偉そうなことは言え獲ませんが高音よりも低音がしっかりしている方が好きなのでキンキンするような音を売り物にしているものは苦手です。その上、上を見たらキリがないのがこの世界。セットで数千万もするようなオーディオシステムで音楽を聴いている人にとってAirPods Proなど眼中にはないでしょうからそんな特別な方々は別にしてAirPodsdで十分満足だった人にとってAirPods Proは魅力いっぱいの商品です。27,800円という価格は一見高いですがワイヤレス充電可能なケースがついているのでAirPodsのワイヤレス充電タイプとの差はたったの5,000円。価格帯がほぼ同じで音質はAirPods Proより上との評価のあるSONYのWF-1000XM3はワイヤレス充電ではないので結構お買い得な気さえします。

と言うわけで今回は一通り信頼のおける方々のレビュー記事が出てきたのでそこから得られた情報をベースに先を進めたいと思います。

音質
好みの問題が大きい世界なのでAirPodsの方が好きと言う人もいれば物足りないと感じている人も当然います。但し聞くに耐えないと言うものは一切なかったのでイヤフォンとしての評価は及第点を取れていると言っても狂信者以外に殺されるようなことはないでしょう。
ANC(アクティブ・ノイズ・キャリブレーション)
単純に遮音性だけを問えばもっと強力なものがあるようですが、密閉による圧を感じない、風切音や振動音も軽減されるなど現行の他社の製品よりも一歩以上先を行っている部分もあります。それは特定の周波数帯ではなく全帯域にノイズリダクションが働いているからなのでしょう。イヤフォン内部のマイクは耳穴の反響音を捉えて最適なイコライザーチューニングに使われるアダプティブイコライゼーション機能との併用で遮音性はトップクラスのようです。AirPods Proの遮音性はイヤフォンではなくBoseのヘッドフォンQuiet Conmfortレベルとのレビューもあります。その上で特筆すべきは普通のイヤフォンだけではなくANCでもどうしても問題となるイヤフォン装着時にものを食べたりするとその咀嚼音がかえって気になる(咀嚼音が骨伝導でイヤフォンに伝わり耳に届く)問題がAirPods Proでは軽減されるようなのです。同様に風切り音も軽減するようです。
実装技術
AirPodsよりは重くなっていますが他社の製品に比べ重量が軽く、密閉性が高いのに装着感は他の製品よりも高い。これはApple独自開発のSoCであるH1とそれをSiPにしたAppleの実装技術が他社の追随を許さないレベルにある賜物でしょう。
レイテンシ(音の遅延)
外部マイクで環境音を拾いその音の逆位相の音をスピーカーから再生することによって聴こえないようにするのがノイズリダクションの原理。環境音を拾う>逆位相の音を作る>逆位相の音を出すの処理を行うので当然処理時間が発生しますが、AiPods Proはほぼそれがないと思えるくらいに短い。これはiPhoneからBluetoothで音声を飛ばす時も同様でビデオ再生で映像と音声にズレを感じるようなこともないし音ゲーでもほとんど遅れを感じないようです。逆位相の音を作るために外部マイクで1秒間に200回も音を拾っているようですがH1の処理速度が驚くほど速い上にソフトウェアが優れているお陰でしょう。
Transparency mode(外音取り込み)
あえて日本語にせずTransparency modeと呼ぶべきAirPods Proの外部音取り込み機能。このモードでは密閉性の高いイヤフォンで耳道を塞いでいるにも関わらず、まるで何も付けていないように外の音を自然にイヤフォンで再生してくれるようです。両耳に装着している状態でまるで何も付けていない時のように音の大きさや方向を正しく判断できるレベル。片耳からAirPodsを外した時に自動的にANCからTransparency modeに切り替わりますが、その時AirPods Proを付けたままの耳にも自然に周りの音が聞こえてくるとレビューされています。SONYのWF-1000XM3は片方を外してもANCモードのままでかえって周囲の音を聞きづらくする結果になってしまいます。この辺りはANCが音質重視なのか実用性重視なのかの大きな設計思想の違いに負うところでしょう。
耐水性
IPX4なので防水ではありませんが洗濯機で洗いこんだり付けたままで海に潜ったりせず多少水しぶきを浴びたくらいでは壊れません。もちろんびしょ濡れのまま使えるわけではないので対汗・耐水とは言え滝のように耳汗が出ると言う方にはお勧めできません。まあ、そう言う方はどんなイヤフォンも使えないはずです。と言うわけで一見地味ですが現状有名どころでANC機能付きのイヤフォンで耐水仕様になっているのはAirPods Proだけのようです。
充電
これもAppleが派手に主張していないためスルーされがちですが前述の通りAirPods Proのケースはワイヤレス充電対応です。SONYのWF-1000XM3は大きいケースの割に(これはPowerBeats Proも一緒ですが)未搭載の機能なので売りの一つになるはずです。ケーブルはUSB Type-CのLightningに変更。アダプターは付属していないのでUSB Type-Cのアダプターを持っていない人は付属のケーブルではなくiPhoneやiPadのケーブルを兼用しましょう。

他にもSiriが使えるなどいくつも有用な機能はありますが、それはAirPods 2ndやBeatsのPowerBeats Proでも出来る事。そしてオーバーイヤータイプが欲しいなら同じくひっそりと発売開始になった Beats Solo Proがあります。AirPodsはアンチ・ノイズ・キャンセリングじゃないからと馬鹿にされていた方は一度視聴してみて下さい。

結論:AirPods Proは、ノイズリダクション機能やヒアラブルデバイスとしてはピカイチ。とにかく良い音がと聴きたいんだと言うなら他の選択肢もあるでしょうが使いやすさや取り回しの良さも重要と考えるなら魅力的な製品になっています。

水曜日, 10月 30, 2019

AirPods Proを買ってはいけない 〜10の理由〜

そんなことしなくても間違いなく飛ぶように売れるからと思ったのかは知りませんがスペシャルイベントも一切行わずにいきなり発売となったAirPods Pro。Apple Storeの注文を受け付けてからわずか1時間で初回出荷分は底をつき、今からの注文ではいつになるのかさえ分からない状況です(既に2〜3週間待ち)。Proなしは耳からウドンと言われていましたが海外も含めてProは既に今度は「マダツボミ」と呼ばれているようで、これなら宣伝などしなくても勝手に売れると言う状況です。と言うわけで今回はそんな突然発売開始されたAirPods Proを買ってはいけない理由を書く並べてみたいと思います。

買ってはいけない
その1:心の準備ができていない
スペシャルイベントもなしにいきなり販売になるよと言う噂もあったけど、まさか本当に売り出すとは思ってもいなかったので心の準備ができていないはずです。機能に関しては噂通りなのでレビュー記事が出揃わなくてもどんなものかは凡そ分かっている人も多いでしょうが何事にも助走が必要。心の準備が整った手もいないのに買ってはいけません。
その2:手に入らない
注文開始と同時にポチった人たちは既に開封の儀に移っているようですが、先述したように欲しくてもすぐには手に入りません。明日になればもっとひどい状況になり下手をすると初代と同じように年内は絶望なんてことにもなりかねません。注文したのにいつ届くか分からないものを首を長くして待つなど精神衛生に良くはないのでこの際在庫が豊富になるまで買おうと思ってはいけません。
その3:他のノイズキャンセルが可愛そう
ノイズキャンセル機能を持たないワイヤレスイヤフォンはAirPodsとは全然違う価格帯で叩き売るかノイズキャンセル機能を売りにして高級路線で売るかのどちらかしかなかったと言っても過言ではないでしょう。そんな中のAirPods Proです。来週になればこれでもかとレビュー記事が溢れるはずですが既に出ている一部のレビューを見れば分かるようにノイズキャンセル機能に関してはいきなり他の追随を許さないレベルに到達しているようです。他のApple製品を見れば当然そうなるに決まっているのですが、それでも周回遅れでスタートしたはずのAppleにいきなり抜かれたのではあまりにも可愛そう。AirPods Proはあなたが買わなくても間違いなくドル箱となる製品なので買わなくてもなくなりません。
その4:カラバリがない
老若男女に関わらず耳から白いウドンが当たり前の世界ですが、そうは言ってもカラーバリエーションがあればウドンなんて言われなかったかもしれません。出所が台湾メディア経済日報なので全然信憑性のない噂なのですが8色のカラーバリエーションが用意されているなんて書いていたのです。その記事を見て今度はiPhoneと同じ色をなんて考えていたのに蓋を開けて見たら白一択。その上今度はウドンではなくウツドン(マダツボミの進化系)なんですから、そのガッカリは押してしるべし。出る保証はどこにもありませんが本当にカラーバリエーションが登場するその日まで買ってはいけません。
その5:Appleが嫌い
世の中にはBOSEの音が好き、SONYの音が好きと言う方もいます。いつものことですがそう言う方が敢えてApple製品に手を出す必要はありません。
その6:Pixel Buds 2が欲しい
周回遅れ感が強く本当のところいつ発売開始になるかが分からないGoogleのPixel Budsを買おうと考えている方はAirPods Proを買ってはいけません。そんなことをしたらPixel Budsを買う必要がなくなってしまい初代のPixel Budsの二の舞になってしまいます。
その6:Echo Budsを買う
まだ注文はできないようですが約束通りなら10月からアメリカで発売開始すると発表しているEcho Buds。こちらはPixel Budsとは違いノイズキャンセル機能付き。BOSEの技術協力もあっての製品なのでそれなりの能力があるはずです。その上価格はAirPods Proよりも100ドルも安く、そして動きが悪いようならすぐに特別セールで安売りされるのですから買わない手はありません。ただし日本で販売されるかは全くの未知数。アメリカにお住まいならという条件付き製品です。BOSEのCEOがノイズキャンセルの技術を提供しただけで自社製品とは違いますと言っているので音は価格なりだとは思いますがAirPods Pro発売開始で値崩れ確実。Pixel Buds 2とは違いそんなには待たされない。先にAirPods Proを買ってはいけません。
その7:オーバーイヤーが好き
カナルだろうがなんだろうが耳穴を塞がれるのは嫌という方はいます。そんな方にはどんなに素晴らしいノイズキャンセル機能を搭載していようがインナータイプのAirPods Proはおすすめのしようもありません。Appleからオーバーイヤータイプが出ることは恐らくないと思いますので少し前に発売開始されたBeats Solo Proをお買い上げ下さい。
その8:Androidユーザー
Apple WatchやHomePodとは違い何の苦労もなく(iPhoneユーザーほど設定が簡単かは別の話)BluetoothのペアリングでAndroidユーザーでも使うことのできるAirPods。Androidでは使えないと思い込んでいるために買わないのならば別ですが、そうでなければいつ出るか分からないPixel BudsやEcho Budsを選ぶのも一つの方法です。もちろん他のメーカーからも様々なものが出ていますのでどうしてもAirPods Proを買えとは言いません。
その9:高い
正直に言ってコードが引っかかったりすることのないワイヤレスイヤフォンは欲しいがノイズキャンセル機能まで必要ないと考えている人にとってAirPods Proはオーバースペックな上、価格も想定をオーバー。毎年最新のiPhoneに乗り換えている人ような人ならちっとも痛くない金額でしょうが、音楽を聴いていないと震えが来るとか特別な事情でもない限り税込で3万円近くするイヤフォンは誰にでもお勧めできるものではありません。
その10:最近AirPods 2ndを買ってしまった
ワイヤレスではないイヤフォンを使っていた時、猫にケーブルを齧られたりいつの間にか断線したりと毎日使っていてたらイヤフォンはどんなに高価なものを手に入れても消耗品なのだと嫌でも気づきます。ケーブルのあるイヤフォンは大抵物理的に壊れてしまい買い替えなのですが、ワイヤレスタイプは充電回数がネックとなって使い物にならなくひがやってきます。特に初代のAirPodsを発売直後に手に入れて一度も無くしたりしていなければバッテリーがすっかりヘタってしまい実用にならなくなってしまったはずです。と言うわけで我慢しきれずについ最近AirPods 2ndを買ってしまったと言う方は慌てることはありませんAirPods Pro2が出るまで待ちましょう。もちろんもう一つあっても良いと言うならAirPods Proを買うべきですが。

結論:既に注文をしていて届くのを待っているのでない限り、今週末までどうするかを考えて居たら欲しくてもいつ手に入るか分からないでしょう。どうせそうなら慌てても仕方がないので信用のおける人のレビュー記事を読んだ上で購入するかを決めるので良いのではないでしょうか。安物ではないので決して「安物買いの銭失いになる」ことはありません。

金曜日, 9月 27, 2019

AmazonがHomePodを必要としAppleがEcho Dotを必要としない理由


スマートスピーカーの販売台数シェアでAppleを圧倒しているAmazonがついにプレミアムスピーカーEcho Studioを出してきた。目指しているものが違うHomePodと音が出るWi-Fiマイクと呼ぶべきEcho DotやGoogle Home miniを同じカテゴリーで括ること事態がそもそも間違っているのだが誰もそれを指摘しない。個人的には久兵衛とかっぱ寿司の客数を比べる馬鹿はいないのに何故なんだろうと思うのだが。

仮に販売台数のシェアを比較することを認めるのであれば公平を記すために市場の売上額や利益に対するシェアも同時に並べるべきなのだが一向にそれが当たり前にはならない。スマートフォンでは既にそうなっているから利益のシェアではAppleがぶっちぎりでトップを維持したままなのが明らかになっている。Wi-Fiマイクと本格的に音楽を楽しむためのスマートスピーカーを分離した場合、Amazon Echo、Google Home MaxのどちらもHomePodの足元にも及ばないのが実情。HomePodと同等以上に売れているスマートスピーカーはSonosくらいなのだ。

Amazonが利益を度外視してまでEcho Dotを大量に販売しなければいけなかった最大の理由はAppleのように10億台を超える自社サービスにダイレクトにつながる専用のデバイスを持っていないから。その上、ブラウザーを経由して自社サービスへのアクセスを許せば大事な情報をGoogleに与えてしまう。Googleを経由せずに顧客をダイレクトに結びつけるスマートフォンで失敗したAmazonは家庭内に置かれる専用デバイスがどうしても必要だった。そこで白羽の矢を立てたのがAlexa用スピーカー(音の出るWi-Fiマイク)だった。対するGoogleがGoogle Homeを出したのはブラウザーを経由せずにダイレクトにAmazonに繋がってしまう入り口を家庭内に持ち込ませるわけにはいかなかったからEchoを潰すためにHome miniをぶつけてた。さらにEcho Dotと同じ価格帯のminiを用意するだけではなくEchoよりも音が良いことを売りにHome Maxまでぶつけて来た。しかし、そこにAppleのHomePodが割り込んできた。リリースが遅れに遅れ出ないのではないかとさえ言われたHomePodはHome Maxなど足元にも及ばない技術の粋を凝縮したスピーカーだった。案の定Home Maxは全く売れなかった。そこでAmazonはGoogleに追随することはせずにプレミアムスピーカーはBOSEなどの専業メーカーに任せる形で時間稼ぎをして来たと考えるのが正しいだろう。

単純にHomePodの販売数量を取り上げてAppleを負け組と決めつけた上でEcho DotやHome miniのような音の出るWi-Fiマイクを出すべきだと非常識な常識を押し付けようといまだに考えているようだが、Apple Musicを快適に楽しんでもらう一つの手段と考えているAppleがその意見に追従することは将来的にもあり得ないだろう。次期HomePodが登場する時には現行モデルをより安い価格にして継続販売にすることは考えられるが、全く競い合う対象とも考えていないEcho DotやHome miniを潰す目的で廉価品を出すようなことはないのだ。

では、何故Amazonはあれだけ廉価版を売っていながらEcho Studioを出さざるを得なかったのだろうか。私はAmazonの人間ではないので憶測に過ぎないがEcho Dotの購入者がAmazonでのショッピングにEchoをほとんど使っていないからではないかと考えている。一般の人と比べてIT関係の繋がりの人が多い私だが発売開始と同時にEchoやEcho Dotを購入した人たちは良くてラジオや時計がわりに使っているだけでAmazonでのショッピングなどには使っていないし、そうでない人は既に引き出しの中かクローゼットにしまってしまった。IT系でない一般の人なら尚更だ。そもそも安いものを求める人の購買意欲は弱い。Apple製品を買い求める人が高価格商品を景平気で買うのとは対照的だ。そして購買力の高い優良顧客はEcho Dotなどには手を出さず迷わずにHomePodを購入する。Amazonにはそういう人たちを引き付けられる商品がどうしても必要だった。だからHomePodが販売開始されプレミアムスピーカーに需要があることを見極めた上でHome Maxよりも魅力的な機能を持ってHomePodよりも安いものを発表して来たのだ。




結論:個人との入り口をiPhoneの形で既に持っているAppleには全家庭に入り口を作るためにEcho Dotのような製品は必要なく、Amazonは高価なApple製品を躊躇なく買い求めるような優良顧客を引きつけるスピーカーが必要だった。それがEcho Studioだったと考えると手を出さないと言っていたプレミアムスピーカーを出して来た理由が明らかになるわけである。

土曜日, 9月 14, 2019

Apple Watch Series 5を買ってはいけない 〜10の理由〜

内蔵するプロセッサーは64ビットデュアルコアプロセッサーを備えるS5にアップデートされ更に高速処理が可能となり省電力になったとは言え、Apple公称の動作時間は変わらずの18時間。常時表示で同じ時間使えるのだからすごいと言われても他社製では本当のところはそこまでは持たないようだが一回の充電で5日間使えますが売りに文句(そこしかないのかも知れないが)になるご時世。Apple Watch Series 4を使っている私の使い方で18時間でバッテリーが切れることなどないのだが、そうかといって何日も持ったこともないのも事実。心臓が止まるその時まで計測を止めることなくApple Watchを動かし続けようと考えたら複数個持つしか方法が…と言うわけでリクエストにお応えして(本当にあったかは問い詰めてはいけない)Apple Watch Series 5を買ってはいけない理由を書き連ねてみたい。

買ってはいけない理由
その1:Apple Watch Series 4ユーザーだ
知っている場所でさえまともに一度でたどり着いた試しがないと言う方向音痴にとってコンパスを内蔵したSeries 5は最後の頼みの綱かも知れません。大抵の人はGoogle MapやAppleのマップで既に方向音痴を克服しているはずだがそれさえも役に立たなかった人のためにSeries 5は存在すると言っても過言ではない(かも知れない)。と言うわけで徘徊と勘違いされるほどウロウロしたりしないし、既にApple Watch Series 4を持っているなら買い換える必要はありません。
その2:アクティブトラッカーで十分
そんな人も世の中にはいますし決して間違った考え方ではありません。ただしガラケーとiPhoneを比較して世の中を見誤ったようにこれからアクティブトラッカーを買おうなどと考えているならそれは全力で阻止します。何故ならアクティブトラッカーとApple Watchは全く別物だからです。
その3:Androidユーザー
将来に渡ってそうかは分かりませんがiPhoneユーザーだけで年間1,000万台を超える販売数を確保している現在Androidユーザー向けのApple Watch用アプリを出すと言うオプションの優先順位は相当低いと思います。iPodの時はWindows対応したじゃないかと言う意見もありますが、正直Windows対応するまでのiPodのセールスはApple Watchとは比べ物にならないくらいに小さいものでした。その当時はいつ潰れてもおかしくない会社の製品だったのです。と言うわけでiPhoneを持っていないのらApple Watchは絶対に買ってはいけません。どうしてもApple Watch Series 5を使いたいと言うのならiPhoneユーザーになりましょう。
その4:他のスマートウォッチを使っている
iPhoneユーザーだけどApple Watchじゃないスマートウォッチを使っている人もそれなりにいると思います。手に入れてからどれだけシステムのアップデートが行われ便利な使い方ができるようになったかは他の製品を使ったことのない私には分かりませんが、OSの仕様がガラッと変わり名前も変わってしまうものを信じられるほど私は楽観的ではありません。もしもこれからもスマートウォッチを使い続けたいと考えているならサポートが打ち切られる前にApple Watchに切り替える方が賢明かと思います。
その5:金無垢のモデルが欲しい
エディションモデルとしてセラミックが復活したとは言え、残念ですがどんなに待ち焦がれていようと流石にもう二度と金無垢のApple Watchは出てこないと思います。諦めて金無垢じゃないApple Watchを買いましょう。
その6:時間に追われたくない
恐らくそんな方はスマホも携帯電話も持っていないしテレビも映らないようなところにお住まいと思います。Apple Watchはいりません。
その7:みんなが使っているから
最近は老若男女問わずに耳からうどんをぶら下げていることが普通になって来たように、一番多くの腕に収まっているスマートウォッチは間違いなくApple Watchです。どんなにシェアが低かろうが変人扱いされようがMacintoshしか手にして来なかった私も正真正銘の天邪鬼なのでお気持ちは分かりますが、私がApple製品を使っている一番の理由はワクワクさせてくれるから。それも感じないのにみんなが使っているからとか会社で使っているからと言う理由でApple Watchを買う必要はありませんが、ちょっとは心惹かれているのにみんなが使っているからと言う理由で買わないのだとしたらそれは凄くもったいない気がします。
その8:Apple Watch Series 3なら2個買ってお釣りがくる
そうなです。18時間しか持たないから寝ている時は充電するしかないじゃないかと言うのがApple Watch最大の不満点(実際には18時間で切れたことなんてありません)。それをカバーするには複数個持つしかないのですが流石にSeries 5を2個持てとはApple信者の私でも言えません。既に世代は問わずApple Watchを持っているなら充電時間中にそちらと付け替える方法が可能ですがそうでないならSeries 3の2個持ちは十分ありかも知れません。厚労省がApple WatchのECG(EKGとも言う心電図機能)機能を承認してくれるならSeries 4がディスコンとなってしまった現在Series 5を選ぶべきだと思いますが、相手が厚労省だと心電図が使えるようになる前に心臓が止まる可能性だってありますから。
その9:Samsungが好きだ
好きにしてください。
その10:Wear OS by Googleが好きだ
Android系のスマートウォッチはウエアラブル専用じゃないAndroidを搭載すると言う暴走でスタートし、スマホと同じようにハードの開発も終わらないうちにバージョンだけがどんどん先に行ってしまうAndroid Wearですっかりメーカーも怖気づき、ハード要件もある程度コントロールされて発表されたWear OS by Google。一年に一度でさえ多いと言われるWatch OSなのに、半年で2.0にメジャーアップデート。その後はアップデートがないようですが…Apple WatchにWear OS by Googleが載る事はありませんので買ってはいけません。それにしてもこの名前はいつまで持つのだろう。


結論:19,800円という信じられない価格で継続販売されることになったApple Watch Series 3。これからApple Watchをと考えているならまずはSeries 3をお試しで購入するのもありかと思います。そしてSeries 4をお使いならどうしても買い換える必要はないと思います。もちろんどうしようもない方向音痴なら別ですが。

iPhone 11 Proを買ってはいけない 〜10の理由〜

一番期待していたUWB(U1チップ)に関する発表の無かったAppleのスペシャルイベント。こちらに関しては改めて大きな発表があるだろうと勝手に期待している今日この頃です。ハードに関しては噂通り(あまりにも確度の低いものは除外して)の発表となりましたが、最大のサプライズはハードだけではなくApple ArcadeやApple TV+の価格が予想以上にリーズナブルだったことかも知れません。コンパスと常時画面表示以外にSeries 4と違いがないじゃないかと突っ込まれそうなSeries 5を際立たせるためにSeries 4を終了し、その上でECG(心電図)以外のApple Watchに必要な基本機能を備えたSeries 3を継続としたことは正しい判断。その上で同じ機能を備えてこの価格で出したのでは他のメーカーは間違いなく赤になってしまう199ドル(何と日本では19,800円なのでドル換算で100円以下)という値付け。これでスマートウォッチを諦めるところがまた増えることでしょう。と言うわけで製品別に買ってはいけない10の理由を考えるのは大変なので今回はiPhone 11 Proに的を絞って書き連ねてみたいと思います。

買ってはいけない理由
その1:トライポフォビアだ
カメラが2つしかない11は大丈夫だが3つもあるProやPro Maxは見ただけで卒倒してしまう。そんな方が安心して使えるのはシングルカメラのPixelシリーズかも知れません。そんな方にはPixelよりも未来のある継続販売の8やXRをお勧めします。お尻がムズムズするくらいなら良いですが吐き気を催したり、気を失ったりするようでは本末転倒。皆がトリプルカメラのiPhoneを使うようになりそれで写真を撮られることに違和感を感じなくなってからトリプルカメラ以上のiPhoneを買うので問題ありません。
その2:5Gじゃない
インフラもサービスも整っていない現状で5G通信は自己満足以外の何者でもありません。今出しても5Gの恩恵を多くの人が得られるようになる頃には次のiPhoneが出ている事でしょう。こちらも普及段階とは言えませんが自分で設置可能なWi-Fi 6に対応した事で今年は充分だと思います。どうしても5Gと考えているなら他のメーカーから出ているシングルモードではないマルチモードが出てからの方が正しい選択。4K放送の規格が決まる前に4K対応チューナーがないテレビを高い金を払って買ってしまったと言う過ちを繰り返すようなもの。どうしても5Gが欲しいのならAppleが対応するiPhoneを出すまで待ちましょう。
その3:iPhone 11で充分だ
多くの人にとってProやPro Maxに搭載されたカメラが必須かと言われればそんな事はないと答えるのがApple信者の正しい務め。他のメーカーなら11の価格を抑えるために型落ちのSoCを載せるところでしょうが、Appleは昨年のXR同様にカメラとディスプレイ以外はほぼ最上位のProと同じ構成で11を出してきました。その上で途中で値下げしたXRよりも低価格。カメラ命でないなら敢えてProを購入する必要はありません。
その4:発売当日に手に入らない
オンラインも店頭での予約もスタート。欲しかった色は既に完売で初日に手に入らないから優越感に浸れない。そんな理由でProを買わない人は敢えて8やXRを買いましょう。iPhone 6sでは流石に辛いですが7以降のiPhoneなら何ら問題のないiOS。当然、iPhone 8でイライラするような事はまずありません。最新モデルが欲しいならじっと到着を待てば良いし、優越感だけが目的ならこんなに安くなったよと大幅な値下げになった8で去年8を手に入れた人を悔しがらせましょう。それで友達を失っても当方は一切責任は負いません。そもそも、国民の半分以上がiPhoneを使っている日本でiPhoneだからと優越できることなどないのですから。
その5:バッテリシェアではない
GalaxyやHuaweiの端末ならできるバッテリシェアが出来ないから買わないと言うならバッテリシェア対応のiPhoneが出るまで買話なくて結構です。私は常に複数の予備バッテリをバッグに忍ばせそのうちの一つは当然ワイヤレス受電も可能なものなので双方向充電は重要な機能ではありません。最新の未確認情報ではハード的には双方向充電が可能でiOSで機能を殺しているとのこと。充電効率がAppleの望むレベルになるなら機能を復活させる可能性はあるようです。どちらにしろあったら便利だよねの機能。他のメーカーならそのレベルで他社の差別化が必要なのでしょうが。
その6:重くなった
見た目はほとんど変わらないのnいXSよりも重量の増えた11 Pro。1gでも軽い端末が欲しいと言うなら敢えてお勧めはしません。ただし僅か11gと18g増えただけでそれぞれ駆動時間が4時間、5時間と伸びたProその分軽いケースを選ぶなり、裸で使うなりの方法があるはず。10kg近くあったMacintosh Portableと比べたら羽のような軽さです。
その7:指紋認証がない
他のメーカーでは既に出ているディスプレイ内蔵の指紋認証が載っていないので買わないと言う人も世の中にはいます。そんなものは今年のiPhoneには載らないとだいぶ前から確度の高い噂で出ていたのですから期待する方が間違っています。Appleも開発そのものは続けているのでいずれは搭載されるでしょうがAppleは他のメーカーのように物珍しさで売ろうと言う考えは一切持っていません。精度の低い顔認証システムを誤魔化すために指紋認証を載せるような事はAppleはしないのです。
その8:UWBが嫌だ
10cmの精度でどこにいるかがバレてしまうUWBが載っているスマホなど持っていたのではプライバシーが守れないから嫌だと考えている人もいるでしょうがAppleがUWB対応のU1チップを年間1億台以上世の中に出していくことで新たなエコシステムが出来上がるのは間違いありません。iPhoneが携帯市場を変えたようにUWBを仲間にしたiBeaconが世の中を変えると思います。
その9:ToFセンサーじゃない
まだ量産体制が整っていないものを搭載するほどAppleは酔狂ではありません。他のメーカーはニッチ狙いでそんなものを我先に出そうと考えるでしょうがAppleが販売するiPhoneは最低でも数千万台億以上の部材が揃わないようなものはプロトタイプ段階に過ぎないのです。iPhone 11は全て2眼以上になったので画像の視差で奥行き検知の精度は向上しています。シングルレンズしかなく機械学習で得たアルゴリズムだけで奥行きを判断するものよりは高い精度だと思います。
その10:折りたためない
そう言う価値観の人には買って欲しくありませんw

結論:Appleからイノベーションが消えたは随分前からよく出てくる言葉。どこかが折りたためば何故折りたためない、どこかが顔認証を出せば何故顔認証じゃないといつも同じパターンのDisりばかり。Appleが搭載したものは写真やモニターに写った映像でもロックが外れてしまうような出来損ないだったでしょうか?進化とはその後それがデファクトになるものでなければ意味がありません。一代限りで終わってしまうものは進化ではなく単なる奇形に過ぎないのです。深化するからこそ進化と呼べる。目新しいもののつまみ食いばかりしているところの製品に手を出すことぐらいバカらしい事はありません。

火曜日, 9月 03, 2019

9月10日のスペシャルイベントで発表されるもの

Steveの時代と違いあちこちからリーク情報の漏れてしまいどんなものが飛び出してくるかの楽しみがなくなってしまった今日のごろ。今年もそんな時期が近づいてきました。招待状に書かれた文章は「 By innovation only.」と随分と自信満々ですが、チップの高性能化やカメラの数が増えるくらいでは到底イノベーションとは言えないので何か噂になってもいないようなものでも載るのとツッコミを入れたくなってしまうのが人情。とうわけで現在噂として出てきているハードをまずはおさらいしてみたいと考えるのが普通なのだろうが、今回一番重要なのは新しいIPhoneやiPadなどではないと考えている。キーワードはトラッキング。以前から「iPhoneを探す」や「友達を探す」は存在していたが、これらはネットワークにつながっていることが条件となっていた。今までのトラッキング方法では電波が届かない電源が切れたなどによって携帯網やWi-Fi環境などのネットワークから一旦切り離されてしまうと現在位置を割り出すことができない仕組みだったが、今後Appleが提供するトラッキングシステムはBluetoothのアドバタイズをベースにしたものに切り替わる。そんなものはすでにサードパーティーが提供しているじゃないかと反論される人もいるかもしれないが、今までのものは検知するための基地局や検知するアプリがインストールされた端末が存在する前提で成り立つシステムだった。本当に役に立つものにしたいと考えたらアプリユーザーを力技で増やすしか方法がなかったのだ。小資本の企業では全世界どころか国内であってもくまなく展開させるなど到底不可能な話だったのだ。僅かな費用で販売しなければ数を出す事は出来ず、それではインフラに費やす資金を捻出することが出来ない。単独では無理なので交通機関などの公共的なインフラを持つところとのタイアップでの展開がせいぜいだった。当然それでは本当の意味での社会インフラにはなり得ない。そこに降って湧いたのがAppleの新しい「探す」アプリ。これは今まで通りの通信網からの検索も可能だが単独では通信網と繋がることのできないBluetoothしか持たないデバイスでも近くにネットワークに繋がったiOS 13やiPad OSがインストールされたデバイスを持った人が存在すれば場所を通知可能なトラッキングエリアに変えられるシステムをOSのアップデートだけで構築できる画期的な仕組みなのだ。もちろん赤の他人にそんなことをさせるのは嫌だという考えもあるだろうが落とし物だけではなく安否確認のために人を探すなどが、サードパーティーなどの第三者に個人情報を提供する事なくiCloudの利用と言うデフォルトの設定を行う事だけで可能になるのだ。そしてそれは恐らく無償で提供される。iPhoneを持たせることの出来ない子供の安否を知るために警備会社のサービスへの加入やトラッキングタグを持たせていた親御さんも多かったかもしれないが、これからはそんな子供にはApple製のトラッキングタグやライセンス契約されたサードパーティー製のトラッキングタグを鞄の中に忍ばせるだけで済んでしまう。そんなことでは警備会社などのビジネスが成り立たないではないかの意見も出てきそうだが、場所が分かったら人や物をリカバリーする駆け付けサービスが成り立つようになる。BeaconとiCloudを組み合わせることで新たな市場を作り出すことになるのだ。

結論:恐らくスペシャルイベントでApple製のトラッキングタグが発表されるが、それを聞いて何を今更と考える人もいるかも知れないが世界中に遍く優に10億を超えて存在するデバイスがトラッキング検知の基地局に変わり同時にトラッキングタグに変わるという歴史的な出来事になる。5G通信や折り曲げられることがイノベーションだと考えるような人には理解できないことかも知れないが、これこそがイノベーションなのである。

木曜日, 8月 29, 2019

スマートスピーカの覇者は?



スマートスピーカーの出荷台数でGoogleがバイドゥに抜かれてついに3位になったと最新の調査で明らかになったが、そんな記事が出ると中国国内で売れただけとGoogleを擁護するシンパも沢山いるだろうけどそもそも出荷台数の多さに本当に意味があるのかと問いかけたい今日この頃。AlexaやGoogleアシスタントの使えるスマートスピーカーはAmazonやGoogleご謹製の製品以外にも数多くの種類(両者が動くものも多い)が存在しているけど果たして本当に生活の役に立っていますかが私からの一番の問いかけ。

Apple信者の私からすればAmazon echoやGoogle Homeだって出荷台数は多いかも知れないがバイドゥと同じように安価なものをばら撒いているだけで少しもビジネスになっていないではないかと揚げ足を取りたくなってしまう。大事なのは出荷台数ではなくビジネスになっているかどうかなのだが、記事として取り上げるメディアも出荷台数(シェア)という20世紀の尺度から離れられないらしくシェアから見たらその他に含まれてしまうHomePodはAppleの失敗作と平気で書いてしまう始末だ。

Amazonのスマートスピーカーは、そもそもスマートフォンで個人にリーチすることに失敗したAmazonが家庭に入り込むための手段だったはず。AndroidやiOS向けのAmazonアプリは存在するが、家庭の中で使われるPCでググらせて他との比較をさせないための販売窓口になる事がechoの最大の役目。そのために音声だけでお買い物が出来ますよが謳い文句だったけど、それだけじゃ少し賢いダッシュボタン(単機能すぎて単なるガジェットで終わった)に過ぎないので天気予報やニュースだけではなくAmazon Musicで音楽も聴けますよとしたまでのこと。その証拠にスマートスピーカーと言いながらechoやecho dotはどう考えてもAmazon MusicやUnlimitedを楽しんでもらうためのリッチな音が出るようなスピーカーを使ってはいなかった。では、echoシリーズはAmazonの販売窓口として有効に使われているのだろうか?音声だけで注文するようなものは比較する必要のない定番商品。そんなものは定期購入にチェックを入れておけば済む話なのでわざわざスマートスピーカーなどは使う必要はないし、比較しなければいけないような商品なら音声だけで注文などできない。ユーザーは実際に使ってみて買い物には役に立たないと気付くわけだ。

もう一方のGoogleが何故スマートスピーカーを出したかと言えば家庭内にGoogleのネットワークを通らないAmazonの販売窓口など作られては困るからと言う大人の事情と音声認識の精度を上げるための膨大な音声データを集める手段になると言う二つの理由から。物販でAmazonのように儲けているわけではないし音楽サービスもうまくいっていないのでそれを楽しんでもらうためじゃないことは幼稚園児にでも分かること。そう、こちらは音声データをAmazonに独り占めされたくないのでスマートスピーカーを出したと考えればスッキリとおさまる。

累計販売台数は両者とも既に相当数に登っているかもしれないがごく一部の物好きにしか使われていない失敗作であることは間違いない。誰もが生活必需品としてスマートスピーカを使ってくれているなら先を争うようにディスプレイ付きのスマートスピーカーなど出す必要はなかったからだ。そう言えばLineやSamsungはその後どうしているのだろう…

と言うわけでHomePodの話を。こちらはスピーカーで物販の窓口になろうとか音声データを集めようと言う考えで開発されたものではない。ワイヤレスイヤホンのAirPodsを出したのと同じように純粋に家庭内でApple Musicを楽しんでもらおうと言う製品。AlexaやGoogleアシスタントよりも賢くなれればそれはしめたものかもしれないが、そこで争おうとは最初から考えていないのだからHomePodのSiriはGoogleアシスタントとよりも馬鹿だと言ってみても仕方がないのである。


結論:HomePodの真価はオーディオやITの専門知識がない人でも誰でも同じように良い音で音楽を楽しめることにありAppleは間違いなくそれを製品として実現させた。そしてそれがAppleの考えるスマートスピーカーだと示したのだ。AmazonGoogleもクラウドサイドにどれだけの利益をもたらすかがスマートスピーカーの役目でありAppleはユーザーをどれだけゾクゾクさせるかがその役目。クラウド側の基準でHomePodを評価をしても意味はないのである。スマートスピーカーの評価基準をどこに置くかで覇者は変わってしまうのだ。

火曜日, 8月 27, 2019

HomePodを買ってはいけない 〜10の理由〜


買ってはいけないを書きたくてもそもそも買えなかったHomePodが日本国内で発売開始された。AirPodsとは違い予約開始初日で数ヶ月待ちになる様なことはなかったので、またぞろ売れていないとどうにかしてApple製品をDisろうとしている連中にとってはありがたい展開なのかもしれない。
とう言うわけで今回はようやく国内販売が開始されたHomePodを買ってはいけない理由を書き連ねてみたい。

買ってはいけない理由
その1:iPhoneを持っていない
Bluetoothペアリングで使えるわけではないHomePodをApple製品が一切ない環境で使おうと言うのはかける労力に対して見返りが少な過ぎます。音声アシスタントが使えれば音には拘らないと言うのならばecho dotやGoogle Home miniを手に入れれば良いし、少しでも良い音の方がいいならSonos Oneがあります。Sonos Oneで音楽を聴けるように設定を終えるには結構な手間がかかるのようですがiPhoneを持っていないのにHomePodを使おうとするよりはずっと簡単です。iPhoneユーザーにとってHomePodほど簡単に使えるものはありません。

その2:Apple Musicはハイレゾじゃない
本当に聴き分ける耳を持っているのかはこの際置いておいてオーディオに金に糸目は付けないお金持ちにとってHomePodの自動キャリブレーションなど子供騙しの世界。Apple Musicの「Apple Digital Masters」はファイルサイズが桁違いに小さくいのにハイレゾに匹敵する音ですがハイレゾでは無いのは事実です。もちろんHomePodそのものはFLAC対応なのでハイレゾ音源を専用アプリで再生すれば良いのですが。専用のオーディオルームも持たず気軽に良い音で音楽を聴きたい方には最適だと思います。 

その3:Siriはバカ
Siriのことを知りもしないでディープランニング信奉者とってAppleのAI技術なんて鼻糞のようなものと決め付けている人にとってiPhoneよりもできることの少ないHomePodのSiriなど目糞にもなりません。商品購入以外ではHomePodのSiriはAlexaよりも賢くなったと言う話もありますが、どんなに頑張ってもGoogleアシスタントがトップでHomePod単体でSiriがそれを超えることは将来的にもないでしょう。HomePodのSiriが他の音声アシスタントと比べて優っていることはワイヤレスイヤホンからMacまでApple製品に囲まれて生活している人にとってシステムレベルで動作するSiriだからこそ可能なハードウェアからサービスまでを統一的にカバーしてくれていることでしょう。「Hey Siri」と言ったときに家中うのApple製品が一斉に反応したりしないだけでも凄いなと思います。 

その4:高い
確かにiPhoneに限らずApple製品が他とは比べようもないくらいに高価なのは事実です。安いことが正義と考えている人なら、たとえ音が貧弱でもそこに10倍近い金額を出そうなどと考えないのは決して間違いではありません。AlexaもGoogleアシスタントもサービスそのものはGAFAを代表する企業がやっているのでなくなることはありませんが、Appleと違い有象無象のメーカーがハードを提供しているスマートスピーカーではメーカーそのものが潰れたりサポートがなくなると言う危険と隣り合わせなのも事実です。Appleが自社のエコシステムのサービスと結び付いた製品をいきなりやめてしまうような事がないのが価格が高い理由の一つだと思います。 

その5:デザインが嫌い
デザインは好みの問題ですので如何ともし難いです。 

その6:壁と床が薄い
BOSEのM3程ではありませんがサイズ感と音のギャップは結構大きいです。フルボリュームで聴く必要など無いですが隣のお宅のひそひそ声が聞こえてくるような環境で楽しむにはパワフル過ぎるかも知れません。ボリュームの大小に関わらずバランスの良い音を出してくれるので小さい音で聴けば良いのですが結構低音が出る上に中高音も伸びのある音なので元々隣近所とうまく行ってないようでしたらトラブルの原因にもなりかねませんのでお勧めできません。 

その7:スマートスピーカーは腐る程持っている
echoだminiだとGoogleとAmazonが競い合って特別セールで放出されていた時に片っ端からスマートスピーカーを買いあさったのでもう胸が一杯という人もいるでしょう。最初の数日は面白がって「OK Google」、「Alexa」と取り敢えずいろんなことをお願いしてみたけど、結局目覚ましやラジオとしてしか使わないなと引き出しに仕舞い込んでしまった人にさらに買い足させる動機付けは見つからないかも知れません。そうなってしまった最大の理由はスマートスピーカーは何でもできる魔法のスピーカーと幻想を抱かせてしまったから。スマート家電で溢れているような環境であれば役に立つスキルの一つもあったのでしょうが、そんなものがなければスマートスピーカーは音声しかないスマホの出来損ないのようなもの。HomePodはさらにできる事が限られているのですからどうしても手に入れる必要はないでしょう。但しHomePodは数多のスマートスピーカーとは違い、賢いオーディオ機器と言うジャンルの製品。ゾクゾクするような音楽が聴きたいというなら話は別です。 

その8:Sonosに満足している
流石にオーディオメーカーであるSonosの製品は他のスマートスピーカーとは段違いに音が良い製品。iPhoneではなくAndroidの方なら価格から見てもHomePodを新たに購入する必要はありません。しかし、AndroidではなくiPhoneを使っているとなると話は変わってきます。既に家中にSonosが溢れていると言うなら無駄な投資になってしまうのでHomePodを買い足せとは言えませんが、一台しかないのならその音の違いや使いやすさの圧倒的な差は買い足す価値が十分にあると思えます。音質は人それぞれ好みの違いが大きいので一度店舗で実機に触れてみて結論を出されたら良いのでは。 

その9:Apple製品だから
世の中にはApple製品を毛嫌いしている人もいます。私がWindowsやAndroidを受け付けないのと同じですので我が道を行ってください。 

その10:音楽は一切聴かない
HomePodはオーディオ機器ですのでお勧めしません。

結論:7つのツィーターと1つのウーハーで作られる音場は音楽の再生中に6つのマイクで拾った音を元に自動でキャリブレーションされ部屋に最適化。設置直後と音楽をしばらく再生した後では全く違う音質に変わったのがわかるレベルに変化する。そのキャリブレーションにユーザーは全く関与する必要はなく開封からキャリブレーション完了までのステップでユーザーに要求されるのはiPhoneでに表示されたボタンを数回押すだけ。これから未来のスピーカーが欲しいと考えているiPhoneユーザーなら買っても損はしないと保証できる商品なのです。

月曜日, 7月 01, 2019

ビル・ゲイツの最大の失敗

ビル・ゲイツが最近インタビューで本来Microsoftが押さえていなければいけなかった立場をAndroidに奪われたりのは最大の失敗だったと答えていた。まるで手をつけるのが遅かったので本来Microsoftが手にしていたはずの地位をGoogleに奪われたと言う語り口だったが、Windows CE、 Windows MobileとiPhone以前にMicrosoftが出していたものは出来損ないのWindowsで動くものばかりだったのは疑いようのない事実。iPhoneが登場した時にキーボードとスタイラスペンを持ったものが最後は勝つと断言していたのはビル・ゲイツ。iPhoneの登場でまるでWindows CE端末のようなスマホから一気にiPhone風に路線変更をしたGoogleほどの先見性がなかったことは間違いなかった。

デジタルミュージックプレイヤーでも太刀打ちできず、95%ものシェアを持つOSを持ちながら音楽のダウンロードサービスでも完敗。それはひとえにエンドユーザーが何を望んでいるか、それをどう完全なものにするかと言う発想からスタートしていないDNAをもった持った会社だったから。バルマーがゲイツよりも間抜けだったのは間違いないがそんな奴に経営を任せたという段階でアウト。Windowsのビジネスモデルの成功は単にSteveのいなかった時代の Appleがビジョンを失っていたと言う棚から牡丹餅だったのではと疑う気持ちを爪の垢ほどでも持ち合わせていたならモバイルファースト時代にここまでコテンパンにやり込められる事はなかったであろう。

同時にSteveのいなくなった後の Appleが目先の利益に囚われる事なく目指すべき方向を見失っていなければ10年も先行していたMacintoshがWindowsに駆逐されることなど本来あってはいけなかったのだ。もちろん追い出された当時のSteve Jobsが社内をかき回す存在だった事は事実なので同じ結果になっていた可能性もあるが、どんなにPCの世界で高いシェアを維持していたとは言えSteve復帰後の Appleにやる事なす事全てで完膚なきまでに叩きのめされモバイルファースト時代の主導権をAppleに奪われたのは身から出たサビだったのだ。


結論:Microsoftにとっての顧客は設立当時から一般消費者ではなくPCメーカー。それが良い悪いではなくもしもAndroidの占めるシェアを目指してモバイルOSを開発していたとしても誰もが楽しめるものではなくビジネスユースのスマートフォンしか作れなかっただろう。Appleがどんなに頑張ったってMicrosoftにはなれないようにMicrosoftAppleにはなれない。Microsoftはビジネスユースのことだけを考えていれば良かったのにOfficeを人質にすればコンシューマ市場でも勝てると信じていたのがMicrosoftの最大の失敗だったのである。

月曜日, 6月 24, 2019

Appleの失敗すると言われていたものたち

既に根拠がないと3月にIDC持ち出したiPhoneの販売数が30%も減少したと言う数字を持ち出してAppleはもうダメだと言う記事を何本も上げたAxiosをAppleInsiderの論説が批判していたが、未だに根拠なくAppleをDisるのを楽しみにしているジャーナリストはたくさん存在する。そのような論説はsteve復帰以前の本当に潰れそうだった時代ならApple信者でも首肯して当然だったが、iPhoneの売上が金額にして17%落ちる中MacやiPadの売上、そしてサービスが大きく伸びている現状を見てAppleはもうダメだと決め付けるのは大人気ないと言わざるを得ない気がするのだ。と言うわけで今回はIT業界にたむろする訳知りの方々(過去の他社を根拠にAppleを評価する人達)の見当違いの数々を列挙してみたいと思うのである。

失敗すると言われたものたち
その1:NeXT買収
汎用のアプリもまともにない、時代遅れのUNIXベースのNeXTとMac OSの統合など絵空事だと、かのビル・ゲイツも宣っていたNeXTの買収。OS Xとして確固たる位置を確保しただけでなく、その後のApple製のOSの基盤となる
既にアプリの存在する旧システムとの互換性を確保しながらOS Xに移行するなど確かに他のPCメーカーなら無理だったかもしれないが、平気で互換性を無視するのがAppleだと言われながらエンドユーザーが意識する事なくいつの間にかOS Xへの移行を完全に終了しただけでなくVistaやWindows 8の失策を誘発する位の完成度の高いOSに育て上げることに成功。

その2:iMac
フロッピーがない、SCSIがない、RS422がない、Apple独自のADBさえない、USBポートしかない、こんなもの売れる訳が無いとケチョンケチョン批判された初代iMac。カラフルにしただけで売れるならPCをいつでも赤く塗ると宣ったのもビル・ゲイツ。iMacのヒットによりPCだけでなく家電製品までトランスルーセントにすれば売れると勘違いした製品が山のように世に出てきたが、その後iMacはデザインコンセプトを変えながら現在もバリバリの現役。
iMac登場当時一般的になり始めていたメールやWeb閲覧などのインターネット接続が目的の人にとってフロッピーや余計なポートは必須ではなかったことを証明。iMacのデザインコンセプトを変える度に見た目を中途半端に模倣した製品が登場したがどれも討ち死にしてしまった。

その3:iPod
5万円近くするデジタルプレイヤーを買うユーザーなどApple信者以外に世の中にはいないと馬鹿にされたiPod。ポータブルCDプレイヤーから始まり当時各社は主力商品としてMDプレイヤーをラインナップ。一方デジタルメモリープレイヤーも存在したがPCを中心としたガジェット好き向けの製品。そんな中1,000曲以上の曲を持ち歩く奴はいないと言われていたiPodが発売開始。初代発表当時はFirewireポートを持つMacを持っている人以外には無用の長物に過ぎなかったがWindows対応で一気に人気製品に。iTunes StoreがスタートしたことでMDプレイヤーの息の根を止めただけでなく、後続のデジタルプレイヤー全てを叩きのめすことになった。

その4:Apple Store
GatewayやDellなどネット通販で成功したPCメーカーが直営店経営に失敗した中で始まったApple Storeも大方の業界の予想は失敗するだったが、どのように使うかを知ってもらう形の店作りによって大成功を収める。その後、Microsoftなども直販の店舗展開をしたがお世辞にも成功したと言える状態には未だになっていない。一方のApple Storeは坪当たり売上は現在も全米一を誇っている、

その5:iTunes Store
AppleがiTunes Storeを始める以前にも音楽のダウロード販売サービスは数多く存在した。ガラケーと言う独特の進化を遂げていた日本では、着メロ、着うたとキャリア縛りではあるが確実に利益を上げているサービスさえ存在した。そんな中頭打ちになってきたCD販売に変わるものとしてレコード会社やオーディオメーカーを中心に自社独自の楽曲サイトがスタートしたが視聴契約を打ち切れば聴くことの出来なくなるストリーミングサービスばかり。曲の所有が可能なiTUnesが音楽好きの間でデファクトとなったのは当然の結果だった。サブスクリプションが主流となりダウンロード販売は完全に縮小したためi Apple Musicとして健在。

その6:iPhone
携帯電話を知らない素人のAppleは1年持たない、500ドルもする携帯など誰が買うのだと批判された初代iPhoneが登場したのは2007年。iPhone登場以前のスマートフォンを比較対象にキーボードがなくGMSでしか使用できなかった初代は物好き用のスマホだったかもしれないが、あっと言う間にスマートフォン市場を作る形で携帯市場を圧倒。開発当初見た目がWindowsフォンと変わらなかったAndroid端末もiPhoneのデザインを模倣せざる負えない事に。出荷台数ではAndroid陣営が圧倒する形が続いているがハードだけではなくアプリ市場もAppleが圧倒的な市場を握っているのは登場時から変わらないままである。

その7:iPad
タブレットなんて売れないが業界の常識だったが常識を覆した。タブレットをPCの版中と捉えるカウントならAppleは世界最大のPCメーカーと考えられる状態がずっと続いている。

結論
その後に発表されたApple WatchやAirPodsは流石に失敗するとまで言われることは無くなったが、発表当初失敗すると言われた製品は未だに健在どころか市場をリードしてるとさえ言える。それまで市場と呼べる規模ではなかった製品市場を作り出してきた Appleからイノベーションが消えたはかなり前からの常套句だが、それは失敗するとDisれなくなったからなのだろうと考える今日この頃である。

水曜日, 5月 22, 2019

Windows 95はMacintosh 87…

改元で平成を振り返る様々なコンテンツに溢れていた。と言うわけで平成全体を振り返るわけではないが少しだけAppleの過去を振り返ってみたいと思う。

日頃、Appleを持ち上げるばかりで批判が一切なく面白くないと感じている人もいると思うので今回はAppleの暗黒時代のお話を書きなぐってみたいと思う。iPod以前どころかiPhone以降のAppleしか知らない人から見たらAppleは押しも押されもしない世界的な大企業だが、かつてそのAppleは風前の灯状態に陥っていた。その兆候はAppleがPCの売上シェアトップ(そんな時代もあったのだw)に君臨していた時に姿を現し始めていた。

1992年MicrosoftがWindows 3.1をリリースしたこの年長い間係争状態だったMicrosoftやHPとのLook & Feel裁判に敗訴。MS-DOSにGUIアプリケーションを載せただけの代物に過ぎなかったとは言え、曲がりなりにも3.1上で動くアプリケーションがいくつか登場したというのに、一方のAppleは1990年にMacintoshで初めて1,000ドルを切ったと人気商品となったMacintosh Classicは基本的に1986年に発売されたMacintosh Plusの筐体を変えた焼き直し製品。こんなものでも売れると思い上がったのかは知らないがOSの開発が一向に進まないAppleはIBMと提携し開発コードBlueと呼ばれるSystem 7.5とPinkと呼ばれるSystem 8を同時に開発すると言う無謀な賭けに出てしまった。Pinkと呼ばれたシステムは結局IBMと共同設立したTaligent社に移管され、Appleは新たにCopelandの開発を始めたがWindows 95が発表された1995年までに出来上がるどころか結局完成するさえができなかった。

そして、1993年出る出る詐欺と言われていたNewtonが登場。出たは良いがその完成度はお世辞にも高いとは言えず、高かったのは価格だけと揶揄される出来栄えだった。その後潰れてしまったとは言え同時期に進められていたGeneral Magic社のMagic Capの鮮新世には遠く及ばないものであった。案の定、Newtonは膨大な開発費を掛けたにも関わらず初代Macintoshのように鳴かず飛ばず(プロジェクトスタートの時にAppleが派手に騒いだのがそもそもの間違い)で結局プロジェクトの言い出しっぺのスカリーを解任してことを収めると言う醜態を晒すことになってしまった。

1994年。Macintosh販売10周年のこの年Apple車内は完全にカオス状態に陥っていた。大したシェアでもないのに各販売チャネル毎にどこに違いがあるのかとツッコミを入れたくなるような違いしかないモデルをリリース。最盛期のそのモデル数は70種類にも及ぶと言う暴走具合だった。まともな舵取りがいない状態で迎えた1995年。バイトのサクラが並んだだけだとどんなに自分を慰めようがお金持ちのMicrosoftの一代キャンペーンに乗って登場してきたWIndows 95の前になすすべもない状態となってしまった。そして、自社開発は到底無理とようやく悟った頃には運転資金も底を突く寸前。買ってくれるところはないかと相手を探すがどこも相手にしてくれない状態だった

Windows 95の滑り出しの良さを見てWindows 95はMacintosh  Plusが登場後にリリースされたSysytem 6以前のMacintosh 87だと揶揄する声もあったが、そのApple自身は新たに採用されたPowerPCへの対応も影響したとは言え91年にリリースされたSystem 7の改良版しかリリースできず到底Macintosh 95だとは言える状態でじはなかった。結果的にWindowsを超えるOSの登場は、2001年秋にNeXTがベースとなるOS XのV10.1 Puma以降となったのである。

結論:最悪期のAppleは本当に最悪の状態だったのだ。

水曜日, 5月 01, 2019

僕たちの失敗

製品リリースをスペシャルイベントで派手に発表していながら結局発売中止となったAirPowerが話題になったせいかAppleの失敗に関する話が色々と記事なっている。新製品を発表するたびにもう終わっていると貶し続けられているAppleだが販売をすれば最終的にはビジネスとして上手くいっているのが現状。と言う訳でどうしてAppleばかりが失敗の連続のように書かれるのかと思い、会社を倒産寸前にまで追い込んだ時期に積み上げてきた失敗を振り返ると共に現状屋台骨(稼ぎ)がしっかりしているのですぐになかったことにして貰えているMicrosoftとGoogleの失敗をまとめてみたいと思うのである。

Appleの失敗
OS:Copland
System 7の後継OSとして開発がスタートするが社内の連携が全然取れない状況で頓挫。まったく何もしないでもクラッシュするような代物で、実用どころか開発にすら耐えうるものではなくプロジェクトは打ち切り。
OS:Gershwin
名前だけで終わったCoplandの次の大型アップデートOS。Coplandのアップデートだったので当然幻。
プロジェクト:Taligent
オブジェクト指向型の次世代OSの開発プロジェクト。ハードウェア的には成功しRISCチップのPowerPCとして結実したがソフトウェア的には失敗しAppleの足を引っ張り続けた。モダンOSとしての開発は頓挫しNeXTの買収へと至った。
ハード:Pippin@
バンダイと共同開発した世界一売れなかったゲーム機。
ハード:Newton MessagePad
世界初のPDA(個人情報端末)。ジェスチャーなど新たなUIを構築したが初代Macintoshのように処理能力を超えた機能を搭載してビジネスとして失敗。復帰したSteveに引導を渡される。この端末向けにAcornとAppleで共同開発。後に開発グループがスピンアウトされARMとなったことと後のiOSにつながる技術を残したことが最大の評価ポイント。
ソリューション:OpenDocIBM(OS/2用を開発)、ノベル(Windows用を開発)、アップル(Mac OS用を開発)の3社連合で開発。開発の遅れと次期OSが NeXT STEPベースのRhapsodyになったためにOSと一緒に切り捨てられる。ビジネスとして大失敗というよりは殺されたと言うべきか。
ソリューション:QuickDrow GX
旧来のQuickDrawとの互換性の問題があった上にこちらもNeXT買収によりMac OS XでのQuartzイメージングモデルが採用されたことで表舞台から引きずり降ろされたが消えてしまった訳ではない。
ソリューション:QuickDraw 3D
Appleによって開発された3DグラフィックスAPI。こちらもNeXT買収に伴いSteveに引導を渡される
ソリューション:Quicktime VR
静止画を様々な角度でつなぎ合わせることで擬似的に360度パノラマや物体を立体的に表示するQuickTimeの技術。実際に3Dデータを持っている訳ではなかったのでなんちゃってVRだった。

Microsoftの失敗
OS:Windows Me
2000年にリリースされた9x系Windowsの最終バージョン。最も不安定という不名誉な評価を受けたOS。社内的にも世間的にもなかったことになっているOS
OS:Windows Vista
大成功したWindows XPのマイナーアップデートからメジャーアップデートに格上げされたLonghornがベースとなったOS。5年の歳月と60億ドルを費やした出来損ないOS。AppleのOS Xがベクトルグラフィックならうちは3Dだと見当違いなものに競争心を向けたために自ら足を引っ張る結果に、こちらもMeと同じように運悪く手にしたユーザーからは忘れてしまいたいOSとなり、社内では思い出したくないOSとなった。
OS:Windows 8
XPの後継として成功を収めたWindows 7の後継として登場したが7から乗り換える必要性がない上に互換性の問題から7へのダウングレードするための起動OSとして活躍。
OS:Windows Mobile
iPhoneが登場する以前、スマートフォンといえばBlackBerryかWindows CEベースのPocket PCだったが、その実態は携帯の小さな画面にWindowsを収めようとしただけの代物。iOSによってそのUIの根底を覆され葬り去られる
OS:Windows RT
タブレットなどタッチスクリーンを搭載した端末の専用のARM版Windows。Windowsと言う名前を謳いながらRT専用のアプリ以外は動かないと言う戦略ミスとWindows 8で動作するタブレットを後を追うように出すと言う戦略ミスでMicrosoft自身が殺してしまったOS
買収:Nokia & aQuantive
150億ドルも費やしながらレイオフと損失だけを生み出した。
ハード:KIN
Microsoft自身が葬り去った世界一短命なデジタルオーディプレイヤー
ハード:Zune
KINを葬り去って発表した鳴り物入りのZuneはバルマーの思いをよそに一度もiPodに泡を吹かすこともなく終了
ハード:Surface RT
搭載されているOSも残念ならハードウェアも残念と言う残念な端末。
ハード:Windows Phone
GoogleのNexusのように自社製のOSで動く標準端末と言う位置付けで販売されたが、頼みの綱のWindows Mobileは完全に周回遅れでNexusほども売れずに終了

Googleの失敗
OS:Android
シェアを基準にすればどこが失敗なのだと文句の一つも言いたいところだろうが、いつまでたってもなくなるどころか拡大を続けているOSの分断化の問題を無視して成功しているというのはあまりに無責任な話だ。これは最新のOSへのユーザーの乗り換えが常に遅れているMicrosoftよりもタチが悪い。それもこれもオープンソースのお題目の元にメーカーの好き勝手を許してきたGoogle(アンディー・ルービン)が招いたこと。ルービンをAndroidの世界から放逐しはしたが何の改善も見られないのだから大いなる失敗だったと言えるだろう。更にスマートフォンの世界ではデファクトになったかもしれないがタブレットの世界でその存在感はほとんどないことを見ても成功とは到底言えない
OS: Chrome OS
ブラウザーのChromeがどんなに成功しようがOSとしてのChromeに素晴らしい未来が訪れないことはGoogleも承知だからこそAndroidとChrome量端末で動作可能な第3のOS、Fuchsiaを静かに開発しているのではないだろうか。
OS:Fuchsia
分断化を阻止できそうもないAndroidやアプリの広がりが一向に見えてこないChromeの両方を置き換えるものとして密かに開発が続けられている第3のOS。正式にAndroidを置き換えるものになるのかも定かではない状態で失敗と決めつけるのは行き過ぎかもしれないがCoplandを開発していた当時のAppleを見ている気がするのはApple信者だからだろうか。
買収:Motorola & Nest
150億ドルも費やしたにも関わらず何千人もの労働者を解雇し、残りの資産の大部分を大きな割引で売却。
ハード:Google Glass
これこそイノベーションとメディアで持ち上げられたがそのせいでプライバシー問題などの矢面に立たされることになった上に動作時間、発熱など様々な問題が続出し一般販売をアナウンスしていながら計画を中止。コンシューマ向けを引っ込めB2B用として開発は継続。
ハード:Project ARA
ハードウェアを設計したことがある人間なら、そんなものできる訳がないと即却下間違いなしの机上の空論の上に開発されたモジュールパーツ組み立て式のAndroidスマートフォン。結局3年以上も開発に手間取った上でようやくメイン基板の分解さえできそうもないことに気付き開発を中止。ハードを作ったことがないからこんな馬鹿なことを実現できると思い込む典型。
ハード:Chromebook
AppleのK12での米国の売上には多少の影響を与えたが、iPadへの影響はまったくなしの端末。
ハード:Nexus 
1992年から98年にかけてのApple Performaシリーズによく似た期待外れのスマートフォン。
ハード:Pixel
カメラの機能など見るべき技術は沢山持っているし最新のAndroid OSが間違いなくインストールできる利点はあるがハードウェアビジネスとしては失敗。
ソリューション:Tango
2014年に発表されたセンサーを利用することで空間認識や奥行き、モーションの把握が可能なスマートフォン向けのAR技術。その目指したところは妥当Kinectだったのだろうが、それをあまりに意識してしまったために専用のハードウェアが必要となるため端末の製造コストがかさむことが災いして乗ってくるメーカーがほとんどなかった。その上Appleは専用のセンサー類を必要としないARKitを2017年に大々的に発表。GoogleもARCoreプラットフォームに一本化に急転回。専用ハードを作ってしまったメーカーはいきなり梯子を外されると言う悲惨な目に。

結論:潰れる寸前までいった当時のAppleはまるで今のGoogleのように開発者を野放しにして好きなようにさせていた会社。当時のAppleとMicrosoftやGoogleで大きく違うのは収益額だけと言うのは穿ち過ぎかもしれないが、Appleの失敗の大部分はSteve復帰以前のものばかり。Microsoftの失敗は2000年以降に加速し、新しい会社であるGoogleの失敗の多くは2007年以降に始まっている。1997年はSteveがAppleに復帰した年であり2007年はiPhoneを発表した年。

水曜日, 4月 17, 2019

AppleとQualcommの和解

一昨日までは両社のトップ同士が顔を合わせさえしないのだから泥沼だとの記事が普通にアップされていたAppleとQualcommの訴訟合戦。Intelが間に合わなければうちが協力しますよってHuaweiのトップがコメントをしたりと結構な盛り上がりを見せていたのにと突然の完全和解。和解を受けて5Gスマートフォンモデムからの撤退を正式に発表したIntel。派手な発表会などせずにニュースリリースの形で済ませたところなどいかにもTimらしいやり方だったのではないだろうか。

マスメディアは5Gと騒いでいるが2019年の5Gモデムの主流はスタンドアローンタイプでしかない。ワンチップでLTEもカバーする5Gモデムチップが登場するのは今年後半。それが搭載されるスマートフォンが続々登場してくるのは2020年。Appleは第一世代はスルーして2020年に間に合えばなんら問題ないと言う考えのもとIntelからのモデムチップを前提に計画を進めていたと思われる。

Intelの開発は上手くいっていないため2020年には間に合わないとの情報が飛び交い、そんなことはないとIntelが火消しにつとめたのが数日前。本当に上手くいっていなかったかどうかは別にしてアップルとQualcommが和解したことによってIntelhが5Gモデムの事業をこのまま継続しても大きな利益を出すことは難しいと考えられるので事業計画を中止すると言う形でリリースできたことはIntelにとっても最良の幕引きだったのではないだろうか。

Qualcommから今回の和解を見ていくとこのまま訴訟を続けていった場合にAppleに勝訴したとしても得るものは決して大きくないと言う台所事情があった気がする。

もしもこの順番が逆だった場合、どんなに取り繕うとも世間の印象はIntelは5Gモデムチップの開発に失敗、それを受けての和解ならAppleが白旗を上げてQualcommに屈服となり両社にとっては最悪の展開。Qualcommだってこれを機に更に強引な取引条件を出してくるのではないかと業界を疑心暗鬼にさせていたかも知れない。

結論:と言うわけで今回の和解劇はApple、Qualcomm、Intelの三者にとって一番良い落としどころになったのではないだろうか。

火曜日, 4月 16, 2019

SiriはAlexaやGoogle Assistantに劣っているのか?

やれ、AppleのHomePodは価格が高いのでAmazon EchoやGoogle Homeの前に惨敗だと言うのが通り相場になっている。メディアがそう言う記事ばかりを書いているのでそれが事実だと信じている人も多いことだろう。特に未だ発売されるかさえ分からない日本では翻訳記事や提灯記事を鵜呑みにするしかない状態なのも事実なのだが、HomePodの売上台数=Siriの能力と言う判断は完全に間違っている。どんなにAmazon Echoを投売りして台数を上乗せ仕様がそれでAmazonの売上に貢献していないことは厳然たる事実。スマートスピーカーの多くはスマートホームのキーデバイスではなく音声で操作可能なスピーカーでしかないと言う現実だ。それでビジネスになっているならAlexaやGoogle AssitantがiPhoneアプリとして出てくる必要などないわけだ。

そのEchoをライバルと考えているGoogle Homeも売上に貢献することなく湯水のように資金を浪費し続けている。Appleからの正式な発表はないがスマートスピーカーを売上ベース考えた場合、下半期だけで300万台を売り上げたと言われるHomePodはその期間に販売されたEchoよりも大きな売上を上げている。その基幹技術と言えるSiriのインストール数はAndroid端末へのインストール数よりも多く、Amazon Echoなど遠く及ばないの。現在Siriの動くデバイスはiPhoneやiPad、iPodは言うに及ばず1億台を超えるMac、Apple WatchにAirPodsとその数は優に15億台を超えている。

それでもAlexaやAssistantの方が優れていると考えている(利益が出せているかは関係ない)人たちが口にするのは多くの情報を握るデータをクラウド上に持っているAmazonやGoogleの音声認識アシスタントの方が賢いと言う理屈。確かに発表直後に次の元号に答えられなかったSiriよりは少しは賢く思えるかもしれないが、その日のうちに正しく答えられるようになったSiriとの差は1光年も離れているわけではない。何万もSkillに対応するデバイスが山のようにあるAlexa、同様にActionに対応するデバイスも増えているAssitant。それに比べて未だに対応機器を限定しているSiriKitは役立たずだと言う指摘はある面では正しいかもしれないが、Alexa対応で業績が何倍にもなったと言うメーカーは未だに現れていないしAssistant対応になったので夜も眠れないほど忙しいと言う話も一向に聞こえてこない。対応する機器までを買い揃える人など一握りしか存在せず、要はそんなものの数はどんなにあっても実生活する上で大きな意味を持っていないのだ。

そんな中、Siriの強化策としてAppleが提示したのがSiriショートカット。「おやすみ」と言ったらテレビを消して部屋の明かりを暗くするHomeKitと何処が違うのだとツッコミを入れたくなる気持ちも分からないではないが山ほどあっても自分の目的を果たしてくれるものがないかも知れないSkillやActionとは違い自分の目的にあったワークフローをショートカットとして自由に登録しSiriによって使う方がよっぽどユーザの役に立つ。専用の機動の構文を覚えなければいけないSkillやActionは何処まで言ってもCUIの音声版に過ぎないがSiriシュートカットは自分で設定したキーワードで簡単に動作させることが可能だ。そのためにクラウド上のエンジンに音声を送る必要さえない。AppleのCoreMLを学習モデルを構築するためのエンジンと勘違いしてローカルでの学習しかしないからバカなのだと見当違いな批判をする人もいたりするがCoreMLは登録された学習モデルを利用するエンジン。Googleのニューラルネットワークとは比べものにもならないなどと批判されても、ニューラルエンジンが立法府(ルールを作る方)ならCoreMLは行政府(ルールを実行する方)なのだからそもそも比べること自体が間違っているのだ。

結論:AlexaやGoogle Assistantは何処かの誰かが必要と思うかも知れないことを全てカバーするために膨大なデータをディープラーニングで学習モデルを作り、対応する機器を操作するためのSkillやActionの管理が必須となるお化けのようなシステムになってしまったがSiriはユーザ自身によるワークフローのカスタマイズのための重要なフロント技術になった。SiriKitやHomeKitに対応したアプリやハードウェアが出てくればSiriショートカットで個人に最適なカスタマイズが簡単に行えのだ。特別な呪文を覚える必要など一切必要ないのである。

日曜日, 4月 07, 2019

Apple Cardなど怖くない?

発行手数料や年会費が掛からない上にキャッシュバックが付きますよとアナウンスされたApple Card。その上、無料でチタン製のクレジットカードももれなく付いてくると言われてもそれくらいでカードを作るのはごく一部の信者だけ。上手くいくはずはないと言う意見は常識の範囲と言えるだろう(Appleには常識が通用しないが)。

そんなApple Cardで一番気になったことがiPhoneで簡単にクレジットカードが作れてしまうと言う部分。与信に問題がある人は当然作れないだろうが与信に問題がなければ面倒な書類の提出もなしにわずかな時間で決済可能なクレジットカードがiPhoneの中に作られてしまう。カードが出来上がってしまえばすぐに使い始められると言うのはバックエンドのシステムがしっかりと作れられている(iTunesのアカウントを作ったらすぐにアプリや音楽、ハードウェアの購入が可能なのと同じ)からだ。

世の中にはすでに多くのクレジットカードが溢れ、これからはカードレスのQR決済だなどとマスメディアの情報に踊らされている人たちも多いが(ポイント還元競争に便乗して得したいと言う助平心)、冷静に考えてみたら一銭も使わずにポイントがもらえるわけではないのに還元を当てにして普段は買わないであろうものを購入するなどどれだけ愚かなことかを考えてほしいものだ。

話が脇道に逸れてしまったがApple Cardの一番の肝は堅牢なプライバシー保護とセキュリティーの高さ。QR決済のように脇の甘いシステムは参入のし易さ(提供する側と決済システムを導入する店舗側)以外に利点はない。有線電話の インフラが未整備だったことがスマートフォンの普及を一気に推し進めた中国。そんな中国ではQR決済が当たり前で日本が遅れていると騒ぐのはお門違い。紙幣も信用できずクレジットカードも普及していなかったからデビットカードである銀聯カードが広まり、それが個人商店でも決済可能なQRに飛びついて一気にというのが実態。

クレジットカードの不正利用を減らす方法として作られたApple PayをベースにしたApple Cardと同類に考えてはいけないのだ。Apple Cardはコンシューマ市場拡大を狙うGSの戦略の一環としてスタートしたのでしばらくは他のカード会社が加わることはないかも知れないが、Apple Cardがそれなりの成功となれば他のクレジット会社も手を上げてくることは十分に考えられる。Apple Cardの方式がカード発行の新たなデファクトとなる可能性を秘めているのである。

結論:今の所Apple Cardなど敵じゃないと鼻息を荒くしているカード会社はないようだが、それは様々な業界が痛い目にあっているのを見てきているからなのだろう。

木曜日, 3月 28, 2019

iPhoneが頭打ちだからサービスを拡充に走ったと言う浅い理解

サービスに関する発表しかなかったのでがっかりしたなどと言う真性のバカは放っておくとしても、売上の9割(実際は6割前後なのでどこからこんな数字が出てきたか気になる)を占めるiPhoneが頭打ちなのでサービスの拡充に走ってると書いてる記者までいるが、スマホ市場が飽和状態になっていることを置いておいてAppleだけが上手くいっていない(そう思いたいだけ?)路線で書かれている記事も多く見られた。その上で、既にNetflixやAmazon Prime Video、huluが覇を競っている中でのApple TV+は周回遅れで上手くはいかないとの意見も散見出来る。確かに黙っていて成功するほど世の中は甘くはないがApple TV+に関してはハードウェアのApple TVで得られた経験を元に作り上げられたサービスであることを忘れてはいけない。Apple TVは登場時はMacやiOSデバイス以外でiTunesを楽しむデバイスと言う位置付けだった。HomePodがまだそんなに広がっていないのと同じようにApple TV専用のアプリが提供可能になっても爆発的に売れる状況にはなっているとは言えないのは事実だ。それでもApple以外のメーカーなら累計でそこそこ以上のヒット商品と言える台数が出ていることは動かしがたい事実でもある。

そして今回のApple TVアプリの発表。この位置付けはWindows版のiTunes と捉えられるだろう。iTunes が化けたのはWindows版のiPodとiTunesを発表してからだということを覚えている人は信者だけかもしれないが、前述したようにハードウェアであるApple TVとApple TV 4K(今回の発表でApple TV HDに名称変更)は販売台数からすれば当時のMacの総台数は超えているかもしれないが、それだけにサービスを展開してもWindows版のiTunesを発表する前のように大きなビジネスになることなど不可能なことは間違いない。現状はMacやiOSデバイスだけで10億台を超えるインストールベースが見込めるが、ライバルとなるNetflixやAmazon Prime Video、huluが存在し、間も無くFoxを吸収したDisney+もスタートする。だからこそ自社製品だけにこだわる事なくAmazonのFire TV、Rokuなどのストリーミング機器やSamsungなどのサードパーティー製スマートTVへのアプリを提供する形に舵を切りApple TVの総出荷数量の二桁以上のデバイスを味方に付ける戦略に出てきたのだ。その中の数%が利用してくれれば一気にApple Music並みのユーザー数に近付くという戦略なのだ。

そして、それとは別立てでApple製品に限定する形で発表されたゲームのサブスクリプションサービスであるApple Arcade。こちらは他社製品へのアプリの形での展開は考えられていないが、それはAppleが既に持っているApp Storeのユーザー数だけで十分にビジネスが成り立つ上にApple製品であれば6月のWWDCで発表される新しい開発環境を使う事で一つのソースで全ての機器向けの同質のアプリ作成が可能になる事が大きく影響している。ビジネスを成り立たせるほど全方位をカバーするに十分な数のハードウェアを自社だけで揃えることの不可能なGoogleはクラウドベースのゲームソリューションを発表しているが通信環境とローカルのハードウェア仕様のバラツキというボトルネックを回避して最良のゲーム環境となるハードウェアを既に10億台も揃えているAppleは他社製品を必要としていない。Apple製品ユーザーの5%が利用してくれればそれだけでApple Musicに迫るユーザー数になってしまうのだ。

そしてApple Cardの発表。そのベースにあるのはApple Payだが、そのApple PayもApple IDに紐付けられたiTunesの決済システムがベースになっている。WalletだPayだと複数の決済システムを立ち上げてはいつの間にか消えたりとどれが本命になるかも分からないような腰の座らないGoogleとは違いAppleは腰を据えて自社の決済システムを育ててきた。その集大成がApple Cardだが各国ごとに大きく違う金融政策もあり直ぐに世界中でと言う訳には行かないがApple Payが導入されている国はいずれApple Cardが利用可能となるだろう。

どのサービスもドコモのdのついたサービスの焼き直しに過ぎないという指摘もある。そしてこれは必ずしも間違った指摘ではない(質は段違いだと思うがw)。Apple自体iPhoneを展開する上でドコモのi-modeや日本のガラケーを相当研究していたのは間違いないことだ。そこで得られた結論からAppleは1キャリアに閉じたサービスでは世界に通用できずグローバル展開させるにはインターネットそのものを取り込むしかないという観点でソリューションを作り上げていった。i-modeそのままの形で海外展開を目指していたドコモは全て失敗に終わりAppleが成功したのはスマートフォンをPCの補助器具ではなく持ち運べる次世代のコンピュータと定義し直したからなのだ。他のクレジットカードと比べてアドバンテージなどないと言われるApple Cardだが、すでに使われているApple PayのWalletの中に端末側の処理だけでカード作成が可能なApple Cardの恐ろしさを侮っていたら痛い目に合うのである。

結論:レガシーを切り捨てたiMacなど誰が買う。500ドルもするiPodなど売れるわけがない(確かに初代を買ったのは信者だけだったw)。iPodのためだけのiTunesなど上手くいくわけがない(Mac版しかなければ当然そうなっただろう)。iPhoneなんか来年には消えている(数年後にはそういっていたメーカーの方が消えたw)。Apple Payなどおサイフケータイに勝てっこないと言われてきたが現在Android携帯のおサイフは壊滅状態になっていることを思い出して欲しい。Appleの新しいサービスも二番煎じに過ぎない(確かにそうだ)から脅威じゃないと思いたい気持ちはわかるがAppleを甘く見ていると過去の敗者と同じように自分たちの方が消えることになるのである。

火曜日, 3月 26, 2019

「It’s show time」

先週は見た目は全然新しくないけど中身の一新されたハードウェアを3日連続でリリースしてきたApple。その辺りのことと今日発表のあったサービスに関して個人的な見解を書き連ねてみたい。

ハードウェア1:新しいiPad AirとiPad mini

何年も塩漬け状態だった為オワコンではないかと半ば諦めモードだったiPad mini。そしてFace ID搭載の新しいiPad Proが発表されたことで、どう見てもProじゃなくてiPad AirじゃないのApple信者以外にツッコミを入れられても言い負かすことのできない、どうにも中途半端な位置付けだった旧iPad Pro。miniもProも去年出たiPad第6世代と比べてどうなのと言ってはいけない存在だったが今回のモデルチェンジで完全に無印の上を行く製品としてのポジションを確保した。miniとAirは価格が違うが基本的な性能は同じレベル。Appleは画面サイズの違いで選びましょうと言う方向に変えてきた。メインのチップはA12 Bionicとなりこれで文句を言ったらバチが当たるレベルになったのである。

ハードウエア2:新しいiMac
間にiMac Proが登場すると言う状態で更新なし状態だったが突然のアップデート。こちらはiPadと違いiMacとiMac Proの間があまりにもかけ離れすぎていてどちらを偉っば良いのか分からない状態だったが今回のアップデートでBTOによって基本モデルからBTOによって現行のiMac Proに限りなく近いレベルまでの幅広いミーずに対応可能となった。当然次に来るiMac Proは全く新しいレベルの弩級マシーンになるであろうとは間違いないだろう。

ハードウェア3:新しいAirPods
耳からウドンとなじられながらもワイヤレスイヤホンの覇者となったAirPodsも見た目には何の変化もないが新しくなった。メインチップとして使われていたW1を一から設計し直したH1を搭載することで「Hey Siri」への対応、通話時間の延長、レイテンシーの軽減とかなり地味目なアップデートだが初代を発売開始時に手に入れ、そろそろバッテリのへたりが気になっていた人にとってはベストタイミングでのアップデートだった。今回の本命は今はまだ姿を現していないBeatsの完全ワイヤレスとなる「Powerbeats Pro」になるのでは。


サービス1:Apple News+
いつまで経っても日本では始まらなかったApple Newsに優良な雑誌も加えてサブスクリプションの形で登場。個別の購読契約でNewsを見ることができるAppleNewsがiTunesの立ち位置ならこちらはApple Musicになる。オンラインでそれなりに上手く言っているNY Timesなどは不参加を表明。日本ではApple Newsはいまだにサービスインがされていないので現在Apple Newsサービスが可能となっている地域向けのサービスで終わるかもしれない。こちらはアメリカでは月額9.99ドルで本日からスタート。

サービス2:Apple TV+
Apple製品だけではなくFire TVやSamsungのスマートテレビなどのサーパーティー製のハードウェアに対してApple TVアプリとして配布されるアプリの中で視聴可能なAppleオリジナルの映像コンテンツサービス。スピルバーグやJJエイブラムスなどの大物監督などが制作に携わる長編映像作品やドキュメンタリー、ドラマなど100本あまりをサブスクリプションで視聴可能となるサービス。NetflixやAmazon Primeビデオのように他社の映像も見られるのかは不明だが日本向けには字幕や吹き替えで対応可能だろう。アメリカでの今秋のスタートを予定している。

サービス3:Apple TV channel
こちらもApple TVアプリの中で提供されるサブスクリプションサービス。HBOなどケーブルTV各社のコンテンツを束ねるサービスとなっており個々のチャンネルとはアプリを通じて契約するか形になる。こちらはそのままを日本に持ってきても上手くいかないコンテンツも多い為同じように英語圏ではない国向けにローカライズしないと難しいサービスと言える。Apple News+と同じように日本では提供されない可能性もあるのだ。アメリカで5月にスタートする。

サービス4:Apple Arcade
世界中で同時に提供可能となりそうなコンテンツの本命。現状のApp Storeは売り切り型アプリにとって非常に厳しい状態。大当りのアプリで大儲けの次の年に売上ゼロもあり得る継続性のないビジネスモデルになっていた。そんな中Appleが導き出したビジネスモデルはサブスクリプションによる安定的な収入の確保。数日前にGoogleが発表したストリーミング型のゲームプラットフォームとは違いこちらはダウンロードによるローカルアプリの提供。Apple Musicと同じようにサブスクリプション契約を解約すると端末から個々のゲームが消える仕様だろう。こちらもApple製品用に秋からスタートする。


サービス5:Apple Card
Apple Payの実績があったからこそ実現した独自のクレジットカード発行。取引情報は個人の端末内で管理されどこで何を買ったかはAppleも感知できない仕様になっている。基本はApple Payの中で使うクレジットカードだがApple Payが使えない通常の店舗対応のためにチタン製の物理カードも合わせて発行。Appleマークと登録者の名前しか印字されていないカードは不正利用はほぼ不可能である。他のカードとの大きな違いとして発行手数料などの一切の費用が発生しない上に決済に対してその日のうちにキャッシュバックがApple Cashの形で還元されることかもしれない。同時に米国内でSuicaをベースにしたと思われる方式でApple Payで今年後半に米国のいくつかの主要都市で、公共交通機関の乗車が可能になることを発表した。

結論:ハードは小出しにしてきたがサービスは一気に発表。どこかのようにとりあえず始めてみて雲行きが怪しくなったらやめてしまうスピード感はないかも知れないが覚悟を持ってのサービス開始なので途中で放り出したりしないのがApple。日本ではサービス開始されそうもないものも含まれているが10億台を超えるApple製品向けとそれ以上に多くのデバイス向けに展開可能なサービス。これで無風で終わることはないのである。