木曜日, 3月 28, 2019

iPhoneが頭打ちだからサービスを拡充に走ったと言う浅い理解

サービスに関する発表しかなかったのでがっかりしたなどと言う真性のバカは放っておくとしても、売上の9割(実際は6割前後なのでどこからこんな数字が出てきたか気になる)を占めるiPhoneが頭打ちなのでサービスの拡充に走ってると書いてる記者までいるが、スマホ市場が飽和状態になっていることを置いておいてAppleだけが上手くいっていない(そう思いたいだけ?)路線で書かれている記事も多く見られた。その上で、既にNetflixやAmazon Prime Video、huluが覇を競っている中でのApple TV+は周回遅れで上手くはいかないとの意見も散見出来る。確かに黙っていて成功するほど世の中は甘くはないがApple TV+に関してはハードウェアのApple TVで得られた経験を元に作り上げられたサービスであることを忘れてはいけない。Apple TVは登場時はMacやiOSデバイス以外でiTunesを楽しむデバイスと言う位置付けだった。HomePodがまだそんなに広がっていないのと同じようにApple TV専用のアプリが提供可能になっても爆発的に売れる状況にはなっているとは言えないのは事実だ。それでもApple以外のメーカーなら累計でそこそこ以上のヒット商品と言える台数が出ていることは動かしがたい事実でもある。

そして今回のApple TVアプリの発表。この位置付けはWindows版のiTunes と捉えられるだろう。iTunes が化けたのはWindows版のiPodとiTunesを発表してからだということを覚えている人は信者だけかもしれないが、前述したようにハードウェアであるApple TVとApple TV 4K(今回の発表でApple TV HDに名称変更)は販売台数からすれば当時のMacの総台数は超えているかもしれないが、それだけにサービスを展開してもWindows版のiTunesを発表する前のように大きなビジネスになることなど不可能なことは間違いない。現状はMacやiOSデバイスだけで10億台を超えるインストールベースが見込めるが、ライバルとなるNetflixやAmazon Prime Video、huluが存在し、間も無くFoxを吸収したDisney+もスタートする。だからこそ自社製品だけにこだわる事なくAmazonのFire TV、Rokuなどのストリーミング機器やSamsungなどのサードパーティー製スマートTVへのアプリを提供する形に舵を切りApple TVの総出荷数量の二桁以上のデバイスを味方に付ける戦略に出てきたのだ。その中の数%が利用してくれれば一気にApple Music並みのユーザー数に近付くという戦略なのだ。

そして、それとは別立てでApple製品に限定する形で発表されたゲームのサブスクリプションサービスであるApple Arcade。こちらは他社製品へのアプリの形での展開は考えられていないが、それはAppleが既に持っているApp Storeのユーザー数だけで十分にビジネスが成り立つ上にApple製品であれば6月のWWDCで発表される新しい開発環境を使う事で一つのソースで全ての機器向けの同質のアプリ作成が可能になる事が大きく影響している。ビジネスを成り立たせるほど全方位をカバーするに十分な数のハードウェアを自社だけで揃えることの不可能なGoogleはクラウドベースのゲームソリューションを発表しているが通信環境とローカルのハードウェア仕様のバラツキというボトルネックを回避して最良のゲーム環境となるハードウェアを既に10億台も揃えているAppleは他社製品を必要としていない。Apple製品ユーザーの5%が利用してくれればそれだけでApple Musicに迫るユーザー数になってしまうのだ。

そしてApple Cardの発表。そのベースにあるのはApple Payだが、そのApple PayもApple IDに紐付けられたiTunesの決済システムがベースになっている。WalletだPayだと複数の決済システムを立ち上げてはいつの間にか消えたりとどれが本命になるかも分からないような腰の座らないGoogleとは違いAppleは腰を据えて自社の決済システムを育ててきた。その集大成がApple Cardだが各国ごとに大きく違う金融政策もあり直ぐに世界中でと言う訳には行かないがApple Payが導入されている国はいずれApple Cardが利用可能となるだろう。

どのサービスもドコモのdのついたサービスの焼き直しに過ぎないという指摘もある。そしてこれは必ずしも間違った指摘ではない(質は段違いだと思うがw)。Apple自体iPhoneを展開する上でドコモのi-modeや日本のガラケーを相当研究していたのは間違いないことだ。そこで得られた結論からAppleは1キャリアに閉じたサービスでは世界に通用できずグローバル展開させるにはインターネットそのものを取り込むしかないという観点でソリューションを作り上げていった。i-modeそのままの形で海外展開を目指していたドコモは全て失敗に終わりAppleが成功したのはスマートフォンをPCの補助器具ではなく持ち運べる次世代のコンピュータと定義し直したからなのだ。他のクレジットカードと比べてアドバンテージなどないと言われるApple Cardだが、すでに使われているApple PayのWalletの中に端末側の処理だけでカード作成が可能なApple Cardの恐ろしさを侮っていたら痛い目に合うのである。

結論:レガシーを切り捨てたiMacなど誰が買う。500ドルもするiPodなど売れるわけがない(確かに初代を買ったのは信者だけだったw)。iPodのためだけのiTunesなど上手くいくわけがない(Mac版しかなければ当然そうなっただろう)。iPhoneなんか来年には消えている(数年後にはそういっていたメーカーの方が消えたw)。Apple Payなどおサイフケータイに勝てっこないと言われてきたが現在Android携帯のおサイフは壊滅状態になっていることを思い出して欲しい。Appleの新しいサービスも二番煎じに過ぎない(確かにそうだ)から脅威じゃないと思いたい気持ちはわかるがAppleを甘く見ていると過去の敗者と同じように自分たちの方が消えることになるのである。

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