金曜日, 1月 19, 2018

音声アシスタントに思うところ(1)

やれAppleはガラパゴスなのでGoogleやAmazon、Microsoftと比べてディープラーニングのレベルが低いのでSiriはあのザマだなどと宣う人がいる。確かにAppleがGoogleやAmazon、Microsoftになろうと足掻いているのならばおっしゃる通りなのだがAppleはそんなことはみじんも考えていない会社。膨大なデータを使って賢い情報が得られるならそれは利用すれば良いだけで張り合うことはない。それよりはクラウド上に個人情報を送ることなくエッジ側でどれだけその人の望みに答えられるようにするかをターゲットにしているのは間違いない。そんなものGoogle Assistant経由でクラウドに送れば良いじゃないと言う人が普通なんだろうが、私は「1984」型の考え方をするGoogleは嫌いなので何から何までGoogleに情報を送らなければいけないようなものはお断りなのだ。

話を表題の方に戻そう。今年のCESはさながらAlexaとGoogle Assistantの一騎打ちの様相だった。去年のCESはどこを見てもAlexaがらみの話題だったので元々CESに積極的ではなかったGoogleが遅れを取るまいと力を入れてきたせいなのだが、現在製品ジャンルのバッテイングするスマートスピーカーでしのぎを削っている両者なので力の入りようも違っていたのだ。シェアで遅れを取るGoogleは積極的に自社製品を会場で配っていたようなので危機感はより強いのかも知れない。どちらも音声アシスタントの言葉で括られてしまうため全く同じ目的と捉われがちだが、それぞれ得意の分野は違う。スマートフォンでは完全に敗れてしまったAmazonにとってスマートスピーカーの目的は家の中の音声アシスタントの主導権を奪う事が狙いなのだ。

AlexaはGoogleに購買につながる情報を渡さないためのツール。一言に言えば物売りのためのスピーカーなのだ。実際に特定のデバイスの情報を得ようとAmzon EchoとGoogle Homeに質問すると、Alexaはデバイスに関する情報提供ではなくAmazonに在庫があるよと返してくると言った塩梅だ。同じものをGoogle Homeに質問すれば購入したいと考えていてもWikipediaやそのデバイスの製品情報を読み上げるかも知れない。つまりGoogle Homeは物知りを売りにしているわけだ。

全くの一般ユーザーはそんな違いなんて分からないので物知り、物売りのどちらで使うのがメインかによって買ってから後悔する事になるのだろう。いずれAlexaとGoogle Assistantは同じような機能を持つのだろうが、ここに両者と全く性質の違う音声アシスタントのSiriが加わるとますます話が分からなくなってくる。メジャーな会社がリリースした音声アシスタントの先駆けがSiriなのだがここのところHomePod以外に派手な話は聞かない。当然まだ発売されていないHomePodはCESの会場にある訳もなく。Appleの嫌いな人たちからしたら見る影もない(物がないので影ができるはずはないのだが)Appleはもう終わったと考えているようなのだがそこで冒頭の話に繋がる。

音声アシスタントで覇権を競い合っているAmazonやGoogle、Microsoftが目指しているのはユーザーの個人情報の掌握しクラウドでディープラーニングに利用する事。もちろんそう言った形で機械学習されたエンジンがなければAIが賢くならないことは事実なのだがAppleはそんなところを抑えようなどという気は全くない。だから、AppleはSafariに自社製の検索エンジンを載せようなどと一度もしたことがない。実際SiriはGoogle検索の情報を使っている。そしてそれぞれのAssistantに質問すると明らかにSiriの情報量が少ない事に気付くはずだ。それを捉えてAppleはガラパゴスだからこんなザマだと批判する訳だ。あえて言えばSiriの最大の強みは馬鹿な質問に強いことだ。質問とは言えないような会話に対する返答はユーモアに溢れている。賢さよりも擬人化に重点を置いている訳だが、そこから見えてくるSiriはただの物知りや物売りではなく対話の相手を目指していると言うことである。現在のバージョンでは質問を時系列に累積する形になっていないため何かをお願いするには物足りないだろうがいずれはローカルに質問情報を溜めてその人に最適な情報を探しに行くように育つのだろう。

音声アシスタントはSkillなどの形で外部機器のコントロールを行える事を売りにしている。対応機器があれば明かりを付けたりエアコンを入れたりテレビのチャンネルを変えたりできる。数が少ないとは言え対応機器があればAppleのHomeKitでも同じように可能だが「おやすみ」と言えば照明やエアコンを睡眠時の状態に自動で再設定してくれるわけだ。そのためのツールとしてAmazonやGoogleはスマートスピーカーを用意している。対するAppleのHomePodは恐らく他の二つほど賢くはないだろう。スクリーンを持たないスピーカーに任せられない事は単独では行わずiPhoneやApple TV、Macに任せる形にしてくるだろう。何事も適材適所。長くなってしまったので続きはまた次回。

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