木曜日, 12月 25, 2008

水平分業か?垂直統合か?

 「すり合わせの」神話の回で、池田信夫氏のバカを明らかにしたが、全く別のページで夏野氏(iモード)が行ったセミナーの事が書いてあった。内容は「すり合わせ」の関する事で、結論は池田氏と全く逆のことを言っていたのだ。

 池田氏は、IT業界は水平分業(モジュール化)のだから強く、製造業はそれが出来なかった(すり合わせ)からトヨタのようになってしまうのだと、製造業も水平分業しろと愚かな主張しているが、夏野氏はトヨタは垂直統合だから世界一になれたが、その思想で日本のIT業界が動いているから駄目なのだと言っているのだ。明らかに夏野氏の発言の方が正しい。トヨタの業績悪化(本当にそうだとして)の原因は製造過程にあるのではなく為替の読み違い(それにしても酷い読み違いだ。薄らバカが担当していたとしか思えない)と資産運用の失敗が原因である。池田氏の理屈で物づくりをしていたらもっと悲惨な状態になったに違いない。

 池田氏は物づくりと言うものが一切わかっていないから、水平分業が優れている(自分のいる業界は確かにそうだが)とバカの一つ覚えで吼えまくるが、水平分業で儲かるのはソフトウェアを押えているものであって組み立てメーカーではない、車で言えばその部分は製造ノウハウに当る。

 トヨタだってエンジンを始めとした部品は殆どは下請けのメーカーが作っている(開発はトヨタが中心に行っているが、量産段階に入ると下請けに任せる)。池田氏は全て内製しているとでも考えているのだろうが、トヨタが世界一になったのは、世界一の製造ノウハウ(最高のものを作っているかは別にして、最低のコストで作っているのは間違いない)を持っていたからなのだ。トヨタは既に水平分業は行っており、それを垂直統合しているから強かったのだ。

 Appleを除くIT業界はそれが出来ていない(ソフトウェアを他社に依存している)から脆弱だと言うのが私の考えで、夏野氏の主張は携帯電話業界は未だに垂直統合(キャリア依存型)だから、世界に出ていけないと主張しているのだ。

 水平分業だけだった為に業績が急速に落ちた(恐らくこのままなら破綻だ)代表企業がSamsungである。デジタル化の進んだ家電業界は部品さえ手に入れられれば、どこの国でも組み立ては可能だが、同じレベルの部品を作り出すにはそのノウハウが必要になる。Samsungなどの安かろう悪かろうのメーカーに追撃されていた日本の家電メーカーは、完成品のパーツ出荷と製造方法の漏えいを防ぐために完全内製化で対抗した。部品がブラックボックス化してしまったために、Samsungの技術レベルでは日本製を越える製品を作り出せなくなってしまったのだ。

 そうなれば、小さい企業でも、部品、製造を全て外注に出すファブレス化が進めば、技術的に特別なものを持たない(図体のバカデカい)Samsungが負けるのは当たり前の話なのである。そして、そのファブレス化しか持っていないために息切れしてしまったのがDellなのだ。PCの命であるOSを持っていないPCメーカーは自社に責任が無くてもショウもないOSしか手に入れられなければPCを販売する事は出来ない。もしも、MicrosoftがXPへのダウングレードを認めなければPCの売りようが無かったのがその証拠である。

結論:良く垂直統合の権化のように考えられているAppleは自社工場を持たないファブレス企業である。備品の製造も現段階では全て外注だ。そう言う意味では池田氏の大好きな水平分業の様に見えるが、Appleは自社純正のOSを持つ事によって、完全な垂直統合を行っている。水平分業だけだったらAppleがここ迄上手く筈など無かったのだ。Jobsは水平分業など子供だましに過ぎない事を知っている。そんな事も分からない池田信夫はやっぱりバカなのだ。水平分業か垂直統合かって?両方同時に出来なければこれからは生き残れません。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

初めまして。
水平分業と垂直統合を調べていたら、このブログに行き当たり、非常に感銘を受けました。
確かにおっしゃるとおりだと思います。私も水平分業と垂直統合のバランスが大事だと考えます。
一つ付け加えさせて頂きますと、水平分業と垂直統合は設計(R&D)と生産(工場)で分けて考える必要があると思います。アップルは設計は垂直統合で,生産は水平分業であると思います。
http://www.b-sup.co.jp/reports/26.shtml
このURLにあるようにもっとビジネスモデルを区別して考えなければならないと思います。

駄文、失礼致しました。

G4 Cube Everlasting さんのコメント...

 貴重なコメントを頂きありがとうございます。私の大好きな(笑)池田信夫氏などは、どうしても自分の意に沿わないものは全否定しようと考えているようですが、どんなものにも少なからず欠点があるもの。どれか一つが正しいなどと考えていると結局取り返しの付かない過ちを犯してしまいます。自社の業態を考えた上で、水平・垂直のバランスを考えるのが利口なやり方。無理やり他社のやり方を当てはめたってうまく行く筈はないのです。構造改革とは別に水平分業をする事ではないのです。