田母神論文に関する問題を何回か書いてきたが、今回は論文の内容そのものではなく論文に関連した外野の動きに対する問題について書いてみたい。
今回の本当の問題点は、誤ったシビリアン・コントロールが今回も行われたと言う事だ。辞職に応じない田母神氏に対し内局がとった方法は、1日に3枚も出した辞令(幕僚長の定年は62歳だが、色を解かれたことにより60歳の定年が適用された)による自衛隊からの追放(退職)だった。何故そのような措置になったかと言えば、思想信条の自由の行使を理由(自己の意見を発表する事を拘束など出来ない)に、通常の手続きで田母神氏を懲戒にする法的権限は誰にもないが、騒ぎが大きくなる前に防衛省から排除しなければならなかったからだ(内局や大臣に火の粉が掛からないようにと言う単なる保身だ)。
そして、マスコミはそれさえもシビリアン・コントロールであるように報道した。前から書いているように自衛隊の内局にはシビリアン・コントロールを楯に超法規的措置を行う権限などない。そもそも、内局もシビリアン・コントロールの制約を受ける立場であって、その権利を行使する側ではない。自衛隊は軍隊ではない(軍隊ではないので本来シビリアン・コントロールはおかしいのだ)が、役人が法的権限もなしに人事を行う事は本来あり得ない。しかも法的根拠もないのに「退職金を返せ」とまで言い、マスコミもそれを当たり前のように書いた(良く、中国は法治国家でないなどというが、法的根拠もない事を正義のように振りかざす日本だって対した違いはない)。
口封じのための更迭など日頃言論の自由を口にするマスコミが騒がなければいけない筈なのだが、彼らの言う言論の自由は左翼思想にしか適用されないと言う恣意的なもののため、今回の事例には適用されなかった訳だ。現役の空幕長が解任されるなど前代未聞の話なのに、解任の記者会見も開かれず(記者クラブもそれをしなかった)、報道の自由が奪われたと言うのにそれに抗議をするメディアもなくメディア統制と言うシビリアン・コントロールも同時に行われたのだ。そんなマスコミは口を開けば戦前の報道は大本営発表だったなどと平気で口にするが、今回の記者クラブの動きなどまさに戦前と全く同じであり、体質は全く変っていない事を自ら示したのである。
結論:内局や政治家の都合によるルール破り(法的根拠はないのにマスコミの論調だけ方を曲げた)でや自衛隊に対する言論統制が平然と行われることは、シビリアン・コントロールではなく魔女狩りと言う。そんなことにさえ気付かない連中(内局、政治家、マスコミ)にシビリアン・コントロールを委ねるなど基地外沙汰なのである。
月曜日, 12月 08, 2008
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2 件のコメント:
どこかの田舎の企業の似非名士のオーナーも回りに身内や近所づきあいの仲間を配置してシビリアンコントロールという名の独裁恐怖管理をおおなっている。つい先日も内部通報が匿名で社内にまわったが、内容から本人たちが反省する気はまったくなく、人事を使って魔女狩りを今も必死でやっている。自衛隊におけるシビリアンコントロールを社内で見たようだ。
シビリアン・コントロールの拡大解釈(自分こそシビリアンだと定義)は世の常。大体、そう言う人達は声の大きさや、発言者の権力の強さがシビリアン・コントロールだと勘違いしています。シビリアン・コントロールと言うのは実際には法律でストップを掛けることであり、法律を作るのは議会、議会の代議員を選ぶのは国民という間接的な関与で軍をコントロールすることです。決してプロパガンダにのった世論の流れで左右されるようなものではなりません(直接民主主義ならば別ですが)。
すぐにマスコミの論調に左右されるような政治意識の無い国民がシビリアン・コントロールなどを行ったら、戦争を防止するのではなく戦争を引き起こしてしまうのは日本の戦前を見れば明らかです。情緒的な反応しか出来ない人間にシビリアン・コントロールなど不可能なのです。
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