水曜日, 4月 23, 2008

インフレは悪?

 オイルショックのトイレットペーパーで騙されたのか、インフレは悪だという間違った常識が罷り通っている。貧乏人が唯一財産を殖やすチャンスを得られるのはインフレ時しか有り得ないのにだ。

 それは、インフレだった70年代から90年代にかけての給与の上昇率を見れば一目瞭然だ。70年代中に大卒初任給は、37,400円から109,500円に上昇(2.9倍)し、80年代には、114,500円から160,900円に上昇(1.4倍)したのに、90年代は、169,900円から196,900円にしか上昇していない(実質は90年代前半のバブル期でストップ)。それ以降は全く給与は増えていない状態である。

 失われた15年の間に企業業績は上がってきた(勿論、バブル崩壊で潰れたところも多いが)。この15年間人件費を増やさずに来られたのだから利益が増えるのは当たり前の話だ。

 だからこそ、日本以外で利益を上げられる国際的な企業にとって日本国内の不景気風は(人件費を抑える口実として使えるから)好都合な話。不景気を煽る政府の施策(増税、社会保障の削減、緊縮財政など)を後押しするのは、資本の集中を目指す大企業にとって当然のことなのである。

 インフレは庶民にとっては間違いなく善である。実質所得が増えないとしても名目所得が増えると金持ちになった気持ちになり多幸感に浸れる(この多幸感が実は好景気の正体だ)。ハイパーインフレだって実は借金が多ければ多いほど善になる(前に書いたようにハイパーインフレで物価が100倍になれば、借金は100分の1に減る。そんなことになって困るのは借金では無く大金を現金で持っている連中)。その仕組みがバレたら困るのでインフレを悪者にしたいのが、政府でありマスコミであり財界なのだ。だからインフレ策を取れと言った植草さんは変態にされてしまったのだ。

結論:インフレになると景気が悪くなると言うのは質の悪いデマゴーグである。インフレが悪ならばデフレの今は幸せになっていなければ行けない筈。中国製の安物しか買えない事が幸せなのならば、そんな幸せは要らないのだ。

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