金曜日, 4月 25, 2008

Appleの本気

 iPhoneのSDK βを発表以降、2週間置きのペースで3回目のアップデートを迎えた。実際にiPhone用アプリを作り始めている人にとってライブラリー構成などの変更が度々行われることは願い下げかも知れないが、β2でinterfacebuilder、β3で実機でのテスト環境、β4でOpenGLの実装と確実に内容がアップしている。

 噂では既に20万のデベロッパーがiPhone用のアプリの準備を始めているというし、誰もが考えもしなかった場所に大きな鉱脈が発見されたのだ。iTunesがWindowsユーザに対する撒き餌だったように、iPhone SDKはデベロッパーをObjectiveCの世界に引き込む撒き餌。iPhoneで初めてObjectiveCの洗練された世界に気付かされた開発者達が、iPhoneの開発環境がそのままMacに繋がると理解した時に大きな潮流となってAppleに流れ込むのだ。

 iPhoneでアプリが開発出来るツールも用意されるのではないかという噂もあるが、iPodからサーバ・アプリ迄、一つの統一された開発環境でアプリケーション開発出来る世界がMacの中に標準で用意されているという事実は非常に大きいのである。

 Xcodeで作り出されたアプリケーションを使うために必ずしもMacは必要ないが、アプリケーションを開発するためにはMacが必要だ。そして、全てのMacにその環境が標準で用意されている(それも無料で)。ハードを持たないMicrosoftにはそんな芸当は出来ないのだ。

 個々の事象を比較しただけではAppleとMicrosoftの違いは分からないだろうが、全体を俯瞰すれば戦略(ビジョンとも言う)の有り無しは明確だ。Appleには戦略があるがMicrosoftには戦術しかない。どちらが最終的に勝つかは明白なのだ。

結論:OSXの発表と同時に無料で数万ドルに値する開発環境をこっそりとバンドルし続けたApple。一つのOS、一つの開発環境で全てをカバーするエコシステム。Jobsが返り咲く時に既に用意されていた戦略の全貌が漸く姿を現わし始めたのだ。Appleは本気だ。

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