木曜日, 6月 19, 2008

ガラパゴス論議

 ”黒船”と呼ばれる”iPhone”の上陸を前に、”日本の携帯業界がガラパゴスだからいけない”、”ガラパゴスだから素晴らしい”、”Appleはガラパゴスを真似しただけ”と盛んにガラパゴスを引き合いに出して語られている。

 絶海の孤島状態(世界とは全く違う進化形態にある)という比喩としてはガラパゴスは言い得て妙だが、日本の形態市場は、どちらかと言えばオーストラリアみたいなものではないかと考えている。どういうことかと言えばオーストラリアは何故か異常に有袋類が多い。カンガルーもコアラもウォンバットもタスマニアデビルもオーストラリアを代表する動物はどういうわけか有袋類だ。他の大陸にはいない固有種だ。それもコアラみたいにユーカリがなければ生きていけないような土地に縛りつけられたものまでいる。コアラはまるで日本のケイタイサービスだ。

 話がずれそうなので元に戻そう。”Appleはガラパゴスを真似しただけ”という、主張は日本の通信キャリアが囲い込みのために販売奨励金を使ったようにAppleも3Gでは販売奨励金を今回導入したから日本の真似だと言うのだ。揚げ句の果てには池田信夫のように日本の1周遅れのことをしていると言うバカさえいる(同じトラックを同時に走り出して1周少ないのを1周遅れと言うのであって。全く違うトラックを後から走ったからといって1周遅れとは言わない)。

 池田氏らの主張は、”軟式テニスでしていることを硬式テニスはまだしていないのか”と言っているに過ぎない。軟式テニスのラケットでは硬式ボールを受けただけで折れてしまうのも棚に上げて偉そうなことを言っているのだ。井の中に閉じたケータイサイトという疑似インターネットサービスで囲い込んでいるだけの話に過ぎないのだ。言ってみればiTunes Storeだけとi-modeを比べて、i-modeのほうが便利だと宣っているわけだ。iPhoneは垣根の無いグローバルなネットワークが使えることが重要であって、通信速度やネットワークの方式が重要なわけではない。端末による囲い込みとサービスエリアの囲い込みは全く別問題だ。

結論:日本の携帯電話が有袋類になってしまっていることに気付かなければ世界には出ていけないのである。どんなに威張ってみたってワンセグもオサイフもi-modeも海外では無用の長物なのだ。軟式テニスで世界一になったって硬式テニスでは全く意味がないように...

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