火曜日, 2月 27, 2007

マーケティング屋さんの勘違い

 昨日の期待されることに続く話なのだ。当初”マーケティング屋さんの思い上がり”という題にでもしようかと考えたが、そこまで攻撃することはないかと表現を少し和らげてみたわけである(趣旨は一緒なので結局同じなのだが)。

 何故そこまでマーケティング屋さんを目の敵にするかと言えばトラウマ(電通は私を入社させなかった)があるからと言うと納得する人もいるかも知れないが、そんなケツの青い話ではないのである。実際私が代理店(要するに折り込み屋の大きな奴だ)に入りたいと考えていた80年代はマーケティング全盛だったし、世の中を変えるのは俺だと思い上がっていることが許される時代だった(要は皆いかれていたのだ)。しかし齢40を越えてそんなションベン臭いことはおかしいとやっと気付いたわけである(結構馬鹿なのだ)。

 とかくマーケティング屋さんは、トレンドを作るなどという馬鹿なことを平気で言う。私に言わせればトレンド(日本語には、流行り廃り、浮き沈みと言うもっと適当な言葉がある)を作られては困るのだ。トレンドを作り出すことが必要(転職の為の実績作り)なのはマーケティング屋さんだけであって、実は他の人達には全く必要ないものなのである。市場調査なんてのも、マーケティング屋さんに任せるとロクなことがない。何か例でも上げないと信用してもらえないだろうからいくつかあげてみたい。

マーケティングの大失敗例
コカコーラ:今は盛り返しているので問題はないのだが、Appleをすっかりダメにしたジョン・スカーリーがペプシコーラの社長だった時代に、ペプシにシェアで負けるという大失態を演じている。何がいけなかったかと言えば盛んに市場調査を行ないその結果を元に商品のブラッシュアップ(修正)を密かに行っていたことである。市場のニーズを捉えると言うと一般的には良い事をしているように思える(浅はかな人はそう捉えるものだ)が、彼らはなんとコカコーラを飲まない人が望んでいる条件を市場調査したのだ(そもそもそれが間違いだと彼らは気付かない間抜けだった)。そしてその結果を正直に反映させてコカコーラの味(これが肝なのに)を徐々に変えてしまったのである。その結果シェアは落ちてしまったのだが、落ちてしまった理由は明白だった。何故ならばいつのまにかコカコーラの味はペプシになってしまっていたのだ。これでマーケティングの失敗の理由がお解りになっただろうか。実はコカコーラを飲まない人はペプシのユーザだったのだ。市場調査を重視した結果コカコーラファンを無視してペプシファンに阿った商品を作ってしまったのである。要するにコカコーラファンは味が変わってしまったのでコカコーラを飲まなくなってしまいシェアを落としたのである。そこで起死回生の策としてコカコーラclassicを発売したのである。これと同じことをキリンビールもやってしまいアサヒビールにトップの座を奪われたのである。

マーケティングの成功例
アサヒビール:失敗ばかりでは仕方ないので成功例も。アサヒのスパードライは綿密な分析の結果開発された商品である。しかし、彼らは売れている他社のビールの売れている理由を市場調査してスーパードライを開発した訳ではない。テイスティングのマトリックス上で穴が空いている空間にプロット出来る味のビールを開発したのだ。つまり今までに無かった味で新鮮さを打ち出したのだ。まさにコカコーラと全く違う発想だったのだ。
Apple:Jobsの考えるマーケティングは自社商品の認知だけである。実際に商品のユーザビリティの調査を行うが、それはマーケティングではなくインターフェイスの改良の為だけである。何故ならばマーケティングで良い商品が出来ないことを知っているからだ。

 ここまでで、大体ご理解頂けたかと思うがトレンドがどうのと仰るマーケティング屋さんは、お客様のことを全く理解していない(自分と同じ感性の優れた人だけが世の中に溢れていると考えているか、迷える小羊たちを導こうと上からものを考えているだけなのだ)。そんな人にはトレンドではなくスタンダードを作る方法を考えなさいといいたい。成長する企業にはトレンドではなく必ずスタンダードがある。それを失ってしまえばもう取り返すことは出来ないのである。

結論:マーケティングとは決してトレンドでない商品に如何に新鮮さを与えるかという事に尽きる。成長したかったら自分たちの一番強い分野を伸ばすに限るのだ。それもせずに他に手を出すのは優良顧客を裏切る事になりかねないのである。

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