木曜日, 2月 14, 2008

日本のメーカーがダメになった訳

 技術力では未だに世界でも最高峰なのに世界を変えるような製品を生み出す事が出来なくなってしまった日本のメーカー。その原因は何処にあるのかと言えば、答えは到ってシンプル。エンド・ユーザの方を見て製品を作っていないだけなのだ。

 例えばiPodは、世界で一番高性能な音楽プレイヤーではない。音質はケンウッドやSONYには勝てないだろうし、そこにAppleの主眼がある訳でもない。iPodの売りは他のメーカーには真似の出来ない使い易さにこそある(使い易いと言うのはユーザをバカにしている訳ではない)。

 最小限のボタンによって操作出来るようにハードが設計し、ハードウェアをソフトウェアでカバーする事によって簡便に音楽を楽しめるツールにしている。ユーザは音楽を楽しみたいだけだと言う事が、わかっているからこそAppleは煩わしい操作(音楽の購入方法も含めて)を必要としないシステムを構築したのである(世の中にそう言うものがなかったのでiTunes Storeまで用意した)。

 これは、iPhoneでも全く同様である。携帯電話に何が必要かをまず始めに考え、現行の携帯電話のシステムに乗っただけでは実現されないとわかるとキャリアに新たなサービスを用意させると言う方法に打って出た(結果的に囲い込みのようになっているが、他にはないサービスを提供している)。

 日本のメーカーでこういう発想で携帯電話を開発している所は何処にもない。キャリアの都合に合わせてサービスを限定する発想から一歩も踏み出す気がないから、電話とは関係のないワンセグなどと言う機能を搭載する(それはそれで便利かもしれないが)事で違いを出そうとしているだけで、その発想の何処にも顧客優先の考えは見られない。

結論:本来、日本はメーカーにしろ小売業にしろお客様の顔を見て商売をしてきた(中には財布の中身しかみていないのもいたが)。だからこそ他の国には真似の出来ない芸の細かい商品を作り出す事が出来たし、それを買う事が出来る中産階級を大事にする社会構造をとってきた訳である。日本の物づくりがダメになりつつある根本原因は株主などと言う顔の見えない物を相手に商売を考えているその精神構造にある。千倍の収入がある人は千倍の買い物をする訳ではないことを忘れてはいけない。アメリカの物づくりが顧客無視ででダメになったのが分かっていながら同じ事をしていると言う事は日本をダメな国にしようと言う意志が働いているとしか考えようがないのである。

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