火曜日, 2月 26, 2008

江戸商人の知恵

 江戸時代考証に関する本が出ているので早速買い求めたのだが、その中で一番先に目に留まったのが息子に家を継がせないと言う下りである。男の子が産まれた場合には、別家または養子に出せというのだ。そして、基本的に娘婿に店を継がせることを半制度化してしたのである。武家は、男子が継ぐのが決まりなのだが、商家では全く逆だった訳だ。

 家督を継ぎ繁栄させる為には能力が必要だが、必ずしも息子の能力が高いとは限らない。より多くの人材の中から一番優秀なものを選び出すために従業員から選ぶと言う決まりにした訳である。そして、もしもその中に我が子が含まれていれば情が入り込むのが世の常。だからこそ、情が移る前に息子は養子に出してしまい家督を継ぐものの中から排除してしまう事にしたのだ。

 さらに、婿養子を選ぶ時には親族の了解と株仲間(同業者組合)の承認と言う手順を踏み、間違いの無い能力を持ったものが家督を守る形にしたのである。こうやって家業を守り抜く術を江戸の商人(京や上方は完全にこの制度だった訳ではない)身に付けていたのである。

結論:叩き上げの企業に三代目くらいになるとダメになってしまうものが多いが、ご多分に漏れず息子に事業を継がせている。江戸時代から続いている大店ではきっと今でも同じことを続けているのだろうが、昨日や今日商売を始めた人達には江戸商人の知恵は期待出来ないのである。

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