金曜日, 2月 08, 2008

経済に対する誤解

 不景気になって収入が減れば節約をする。そうすれば懐に余裕ができて、いずれはそのお金でいい暮らしをしようというのは、一般的に個人として非常に正しい行動である。そして個人に良くなることは国民(個人の集合)にとっても良いに決っていると誰しも考えるだろう。現に、マスコミもそう言う論調で、不景気なんだから我慢しなさい、国が困っているのだから増税に協力しましょうと宣う。

 しかし、経済は算数ではないので個人の正が、集団の正になるとは限らないのだ。不景気な時に、お金を使わずにため込むと経済の縮小が加速されて、より不景気になってしまう。そしてより不景気になったので更に倹約を進めれば、更に経済は縮小してしまう。勿論、タンス貯金でなく銀行に預けるのだから、そのお金が市場に出て行って景気が良くなるのだという大嘘付きが世の中にはいるが、不景気な時にお金を前向きに使う頓馬など滅多にいない。その資金を必要とする人達は金に困っている人達なので不良債権が増えるだけ(それだって、貸してもらえたらの話で、恐らくどこも貸さないのでお金は市上には出てこない)なのだ。

 今の政府が、やろうとしている事はまさにこういう事であり、それが構造改革の正体である。世界大恐慌時にあたる昭和恐慌を僅かな期間(世界で一番速く)で日本が抜け出せたのは、高橋是清による積極財政が効果を上げたからである。口の悪い(頭はもっと悪い)人間は、ニューディール失敗後のアメリカのように戦争を始めたから景気が良くなったのだと、高橋是清を批判したりするが、戦争が始ったのは高橋是清暗殺後であり、その後のGNPの上昇は景気が良くなったのではなく超インフレになった為なのである。

結論:経済に関して一般個人がそう言うレベルの誤解をするのは構わないが、国の財政を司どる連中がその程度の頭では困る。そんな連中が財政を握っているから国際金融資本に対抗出来ないのだ。

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