木曜日, 2月 19, 2009

戦略と戦術と戦法の違い 〜その2〜

 小泉構造改革と言うのは戦術で、郵政民営化は戦法である。小泉構造改革を戦略だと考えているとその正体を見誤ってしまう。構造改革は日本の資産を略奪すると言う戦略の元に組み上げられた作戦なのだ。

 そこでは、日本や自民党がどうなるかなどと言う考えは一切考慮されていない。その証拠に、小鼠純一郎は、次の選挙で自党がどうなるかなど全く無視して現職総裁を攻撃し、郵政民営化の見直しさえ阻止できれば良いという戦略のもとに蠢いている。

 ここで立てるべき正しい戦略はグローバルと呼ばれる時代だからこそ、自存自衛が可能な社会を構築することなのだ。何処かのバカ(大作じゃない方の池田)が言っているように水平分業などしてしまえば、資源の多くを海外に依存している日本は輸出を止められればそこでジ・エンド。それを阻止しようとしたのが大東亜戦争だったことを忘れたのだろうか。前回の封じ込めの時には軍隊があったので一発逆転が狙えたかも知れないが(失敗だったが)、今回はそれさえ持たないのだ。軍隊も持たない国が世界に立ち向かうには自給自足の社会を用意するしかない。資源が乏しければ責めてこられることもないのだから、日本列島しか地球上に無くなったと仮定し、それで生きていくためにはどうすれば良いかを考えるとすれば、それは立派な戦略になるのである。

 さて、本題に入ろう。国と国の外交は戦術レベルの話である。企業活動であれば何処の企業と組むかと言う話だ(勿論、何処とも組まないのも戦術だが)。個人商店レベルの事業しか想像できない人にとってみれば、目の前のライバルだけをどうにかすれば良いと考えるので、相手よりも良い商品を仕入れるか、安く売るか、チラシとコマーシャルを大量に打つか、或いは良くはないが圧倒的に安い商品を大量に売れば良い訳であるが、これは単なる戦法であって戦術ではない。

 これを戦術レベルで考えればどうなるか。

その1:物量で圧倒する(しゃれた店舗、大きな店舗、圧倒的な種類と在庫量)
その2:相手には仕入れることの出来ない業者と独占契約を結ぶ〔ブランド化)
その3:相手のお店を買収する(お金さえあれば出来る)
その4:相手のお店の商品を買い占め自店で販売する
その5:何も変えずに我が道を行く
その5:営業時間をずらす(顧客層をずらすも同じ)
その6:相手に卸す会社に商売替えする(新たなライバルが登場する)
その7:撤退する(商売替えをするのも一つの方法)

 4までは責めの戦術で、5からは守りから逃げとなるが、5から下が間違っていると言う訳ではない。1から4までが成り立つにはこちらが相手を圧倒しているという条件が満たされている必要がある。ところが、営業だけをしてきた人が思い付くのは戦法レベルか、戦術の2迄なのだ。そして、それをやっても無理となれば行きなり7になってしまうだけなのだ。

 しかし、対他店で考えたのが1だとしても、そこに見合うマーケットが存在しなければ1の戦術を取るのは基地外沙汰であり、2は余程の信用(信頼関係)が無ければ出来ない相談だ。結局、戦法レベルでやるしか方法はなくなり最後は7になってしまって終わりなのだが、これは相手に勝とうとした場合の話だ。

 こちらが圧倒しているか互角の場合には戦って勝つと言う方法もあるかも知れないが、そうではなければ相手の土俵には足を踏み入れないと言うのが実は正しい戦術なのである。何故なら自分が相手と同じことをして儲からないのだとしたら、相手だって儲からないに決まっている。自分が撤退してしまえば相手が漁夫の利を得る結果になってしまうのだ。

 さて、それではもう諦めるしかないのだろうか。そこで出てくるのが戦略レベルの戦いである。例のような特殊な地域があった場合には出店しないのが戦略レベルで正しい方法だ。あるいは、その地域で一番信用のあるお店と提携を結んで支援するのも良いだろう。イギリスなどは常にこの戦略で世界を支配してきたのだから、見習う点は大いにある。つまり出店戦略には絶対出店しないという作戦もあるのだ。何でもかんでも全国制覇、世界制覇などと考えるのは単なるバカがすることなのである。何処までも戦域を拡大しても大丈夫な兵站と戦力が無い限り、何でもかんでも拡張すれば良いと言う話ではないのである。

結論:書き始めの文章に戻るが、どんなに負けても自給自足可能な領域をきちんと確保していれば消えてなくなることは、企業も国家もないのである。戦略と言うのは最低限それを踏まえた上で立てられなければ何の意味もないのである。

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