木曜日, 2月 12, 2009

価格破壊

 景気が悪くなると、短絡的に値下げをすると言うバカがいる。一般消費財のように中身が補償されている商品で何処でも手に入るのであれば、買いに行く手間を惜しまなければ安い物を買いに行くのかも知れないが、そうでない商品まで値下げをすると言うのは愚の骨頂だ(下げたと言う事は今迄はボッタクっていたと言っているようなもの)。

 小売業が価格を弄ると言うのは、メーカーが人員を整理するのと一緒で、自分達には何も考えがない(バカだ)と宣言しているのと同じなのである。前にも書いたかも知れないが、100均は価格を下げたのではなくどんなものでも100円で売ろうと言うビジネスモデルである(分かりやすく、オペレーションも明確)。それが成功したから安くすれば良いと言うのでは商売をする能力がないと言うことなのである。安くした理由(売れないなどと言うのは売る側の都合であって理由ではない)が、そこになければ安くする意味はないのだ。

 例えば、現在の世界経済を見れば通貨の価値が一番高くなっているのは円である。他の通貨に対して上がっているドルでさえ、円から見れば下げている。どの通貨に対しても円は、1年前と比べたら4割以上値上がりしている。つまり、輸入品は1年前と比べて4割り安く売る事は何の問題もないが、それに対して純国産品を値下げする理由にはならない。大切なのは、純国産品が4割下がった輸入品に対抗できる価値を持っているかどうかなのである。そんな事をしたら国産品は売れないと言うのならば、それは国産する意味のない商品なのだ。

 そんなのは、空論だと考えるならAppleの製品価格を考えて欲しい。Appleは新製品が出るまで商品の価格は基本的に弄らない。新製品が出たら旧製品は売り場から全て引き上げてしまう。何故そんな事が可能かと言えば生産管理が徹底している為に不要な在庫が殆どゼロだからなのだ。そして、モデルチェンジのタイムスパンも常識では考えられないくらいに長くとっている。iPod touchなど基本的に1年に1回しかモデルを変えていないのだ。つまり、1年やそこいらで陳腐化しない商品(日本の家電でそんなものがあるだろうか?)を始めから計画している訳である。

結論:売り方が間違っていないか?作っている商品に本当の魅力があるのか?ビジネスモデル(プラン)を持っているのか?と、まず己を省みるのが先なのである。顧客の財布に合わせて価格を付けていたのではどんどん景気は悪くなってしまうのだ。理由もなしに価格を下げて勝てる訳など無いのである。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いつも楽しく読ませてもらっています。

今回のエントリ、激しく同意です。
現金が必要で資産を叩き売りでもいいから現金化するのはわかりますが、本業の商品を値下げするのはアホとしか思えませんね。不景気は需要が無いんだから、値下げしても売れないのに。。。

G4 Cube Everlasting さんのコメント...

 コメントを頂きありがとうございます。売れないから値下げするのなんてどんなバカにでも出来ることです。値下げをするのも主導権を持ってするのでなければ意味がありません。製造コストが下がったから還元するのなら分かりますが、売れないからというのは商品に魅力がないだけの話。製造コストよりも安くゲーム機を販売していた家電メーカー(SONYとか言いましたか)がありましたが、ライバルは大儲けなのに結局大赤字を出しました。円高だからと言い訳していますが戦略が間違っていただけだと思います。
 これからも、宜しくお願いいたします。