月曜日, 1月 12, 2009

自慢話

 大学で4年間心理学を学んだ。3年生のゼミ(実験心理学)を担当していた講師(能力は教授になっておかしくないのだが天才型なのではみ出していた)が、最後の講義の時に、実権心理学を学んで何が分かったと全員に質問をした。

優等生の人達は、
「人の心が分かるようになった」と答え、
私は、
「人の心は心理学では分からないと言う事がよく分かった」と答えた。

 担当講師は、優等生達に向かって
「こんな講義で人の気持ちが分かる訳がないだろう。君達は1年間、何を学んできたのだ」と一喝した。

帰り際に、担当講師から、
「君は大学院に進まないのか」と尋ねられ、
「いいえ、マスコミ関係に進むつもりです」と答えた。
「そうか」と頷く担当講師の背中はどこか寂しそうだった。

 後にも先にも大学院に残らないかと言われたのはこの時だけである。それしか、私に自慢できる事は無い。

結論:一喝された優等生の人達は卒業式で優等賞を貰い、教育や臨床の心理学関係の仕事に就き、私は大学院どころかマスコミ関係にも進めなかった。人の心理がわからない事は分かっていたのだが、世の中の真理は判っていなかったのである。何でもすぐに分かった気になる人間(自称天才)は、努力をしないただの怠け者なのだ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いいおはなしですね。
今からでも遅くはないのでは?。。。なぁ〜んて。

G4 Cube Everlasting さんのコメント...

 どういう巡り合わせか、結構変わっている先生が担当だったので大学の勉強は面白かったのです。件の先生は日本で初めて心理学を大学(東京帝国大学)で始めた松本亦太郎先生の孫(学内では傍流)で、その他にもユングの研究(これも学内では非主流)で第一人者だった先生の最後の生徒が私たちだったりしました。類は友を呼ぶ(失礼か?)というか、変わり者の私は、変わり者の先生の薫陶を受けたのです。今でもしっくりいくのがユングだったり、アフォーダンスだったりするのはそのせいかも知れません。