厚労省の役人は仕事が増えて権益が増えるチャンスと捉えたのかは知らないが、派遣切り(普通のホームレスのような気もするが)対策として行われた派遣村に対して信じられないくらいに早い対応(ポーズだと思うが)をし、日比谷公園の厚労省施設を一時宿泊施設として提供した。今日で期限が切れるため、都や区が廃校などの施設を一時避難所として提供するという話だが、問題の本質を解決する訳では無いだけ(しないよりはましなのだが)に、どうなのかと思うのである。
世間の空気が左向きになり始め叩きやすくなったせいか、トヨタなどの派遣切りを堂々と報道するように(それも批判的に)なったのは良いのだが、それならば正社員である労働者たちは本当に真剣に派遣社員のことを考えているのだろうか。恐らく自分達の給与が減っても派遣社員を守れなどとは考えていない(これは誰だってそうなので責める気はないが)はず、トヨタなどは内部留保があるのだからそれで賄えと言うだろうが、それはあくまでも自分には火の粉が掛からない世界を想定しての話に過ぎないのである。
政府は二言目には財政の健全化をしなければ国が潰れると言うが、経済が破綻して国が残って何か意味があるのだろうか。臨時雇いで派遣を切られた人々を雇用しようと言う地方自治体も一部見られるが、それは僅か一ヶ月の繋ぎ雇用に過ぎない。公務員と言うのは、言葉は悪いがある意味で雇用の調整のためにあるものだと思う。実際に、日雇い労務者を公園管理などの職員(ゴミ収集などもそうか?)として雇うと言う施策は過去に行われている。同様の施策を講じて失業者を吸収する役目を負うのは決して間違いではない。
今迄に何度も書いてきたので繰返しになってしまうのだが、財政再建と言うのは結果であって目的になってはいけない。財政再建に必要な税収を始めにはじき出してしまったのでは、当然増税しかあり得ないからだ。増税して景気が良くなる事はないため、全体の税収は増えないから、更に増税が必要になる。堂々巡りならばまだしも、間違いなく負のスパイラルに陥るに決まっているのだ。江戸時代景気が悪くなる(飢饉)と何をしたかと言えば、貨幣の改鋳(今ならば紙幣の増刷だ)と徳政令の実施だった。実はもう一つ行われたのだが、これを現在行う事は倫理上許されれないので執れない(放火による市街地調整だ)。
景気を良くすると言うのは経済理論の世界ではない。財布の紐を緩くすることなのだ。そのためには国民にユーフォリアを抱かさなければいけない。日本のバブル時に庶民が潤ったかと言えば、只世の中全体が浮かれていたため釣られて景気が良くなったような気がしていただけだったのだ。勿論企業も浮かれて経費(人件費も)を潤沢に使えたので、会社の金で豪遊が出来、従業員も金持ち気分を味わえたのがその実体だったに過ぎないのである。つまり将来が暗くなるよと言っても大丈夫なのは誰もお実感していない時だけで、実感している時にそんな事を言ったのでは景気など良くなる事はないのである。
政府がすべき事は将来を心配するなと思わせる事で、それを実感させるには減税に尽きるのだが、所得減税などは金持ちにしか効果はない(格差が広がっている現在バブル期よりも給与が減っている人の方が多いのだから対象者は減っているのだ)。誰にも効果があるのは諸費税の廃止なのだ。場合によったら消費に対して払い戻し税を創設してもいいかもしれない。5%の消費税が無くなれば所得が5%増えたのと同じ事になる。貯蓄に回す人もいるかも知れないが、金融商品に注ぎ込んで胡散霧消するよりは余程健全な経済活動と言えるだろう。
結論:日銀はすぐにインフレを心配するが、実体経済のある国がインフレになったって何も怖い物はない。アメリカがおかしくなったのもインフレではなく博奕に失敗したからに過ぎない。何度も言うがインフレになって困るのは国際金融資本の方であって庶民ではないのだ。財政を健全化する前に政府がしなくてはいけないのは景気を良くする事なのである。
月曜日, 1月 05, 2009
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