TPPがアメリカからの圧力であることは間違いないが、関税を撤廃するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加したら国産米はコシヒカリなどの一部ブランド米を残して壊滅状態(国内産は1割になるそうだ)になるなどと言う農水省の試算は全くの出鱈目である。日本の農政が間違っているために今のままの制度で世界に通用しないことはその通りだが、農水省が米を引き合いに出して脅しを掛けているのは全く違う思惑である。
農水省が大げさに騒ぐ理由は農家の保護などではなく、関税によって手にしていた補助金(輸入価格と国内生産価格の差額を関税で補い、農家の競争力を奪う原因)と言う名の利権が消えてなくなることを阻止しようとしているだけなのである。現在の農政は兼業農家の延命政策。自己消費分しか生産量がない農家に減反を奨励し、農作をしないようにするために補助金をばらまき、その上で必要のない農機具を農協(天下り先)経由で買わせるビジネスモデルで成り立っている。農地の利用をオープンにし国際競争力のある農家に貸し与える農政に切り換えれば関税が撤廃されても農作物の輸出で賄える農業にすることは可能なのだ。
そんなことをしたら小規模農家は廃農しかないと批判される方もいるかも知れないが、補助金で廃農せずに済んでいる農家は後継者もなく実質的には既に廃農状態に陥っている。今まで単なる生活保護費を得るために形式的に農業を続けていた農家の農地を補助金と同じ金額で国が借り上げ、競争力を持った農家に無償で貸し出す政策に切り換えれば作付け面積辺りの収穫量は格段に増え、余剰分を輸出に回せる農業に変える事は十部に可能なのである。
自分たちで世界に通用しない農業にしておきながら関税が無くなったら農家が死んでしまうなどと騒ぎ立てるのはお門違いも甚だしい。関税が無くなっても世界で通用する農業にすることが農水省の仕事だと思うのだが。
結論:今の農政はお恵みが無ければ生活出来ない貧農(農業では食えない農民)を増やして補助金で縛りつけて農水省の奴隷にする農奴制度に過ぎないのである。関税があれば農家に対する補助金の原資は潤沢になるが、今のように弱い農業に使うのではなく強い農業に使わなければ国際競争力も食料自給率も上がらないのだ。
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