世の中に"iPhone縛り"などと言う言葉はまだ存在しないが、6月以降(WWDC2008)には、誰もが認識する言葉になると踏んでいる。今年のWWDCの一番の目玉は、正式リリースされるiPhone SDKになるだろうが、SDKで開発したものをiPhoneやiPod touchに入れてもらうためには、iTunes App.storeに登録しなければいけないと言うきつい縛りが用意されている。
個人ベースでプログラミングをしている人や大きな販売チャネルをもたないソフトウェア会社にとってApp.storeは、まさに天国のようなシステムなのだが、Officeなどといいう銭の種を持っている企業にとっては3割も上前をはねられるというのは死活問題に違いない。少ないシェアだからと問題にしていなかったAppleのシェア回復速度は日増しに速くなっている。その上に、iPhoneやiPod touchのシェアを加味すると共通プラットフォームとしてのOSXは非常に大きな市場を形成することになる。勿論Microsoftは、それを指をくわえて見過ごすような会社では無いのだが、もしもiPhone用のOfficeなどを商品にしようとしたら、それはダイレクトにAppleの懐を潤すことになってしまうというジレンマに陥ってしまうのだ。
OSの95%を押えているソフトウェア会社が、たった1社に首根っこを押えられることになるなど誰が予想しただろう。前に大前研一氏を薄らバカ呼ばわりしたのだが、大前研一氏を持ってしてもAppleの戦略(Jobsの戦略だ)を読み取ることは出来ないくらいに壮大(奇想天外)だったのであって、それは大前氏の能力が低いと言うよりもAppleの戦略が高度過ぎたに過ぎないと言うことなのだ。
Appleの戦略
iTunes:一般的にはCDのリッピングソフトと考えられているが、Macを含めたハードウェアのゲートウェイ(メディア・ハブ)。Microsoftさえ、その存在を過小評価していた。iTunesアップデートで、Safariがインストールされることで明らかにされたようにWindows版のiTunesは、Appleの”トロイの木馬”だったのだ。
iTunes Store:一般的には、音楽ダウロード販売サイトと考えられているが、音楽、動画、ゲーム、ソフトウェアを一元的に管理販売する新たなコンテンツ・メディアである。日本では未だに著作権問題で、YouTubeやニコ動などが問題になっているが、iTunes Storeは、CDやDVDといったハード・メディアを世の中から駆逐し独占するメディアになろうとしている。そして、その第一段がiPhone SDKとApp.storeになるのだ。
iPhone:一般的にはiPod機能付きのスマートフォンと考えられているが、iPhoneで重要な部分は携帯電話ではなく、iPod touchと共通のネットワーク機能の部分に隠されている。数多の他のスマートフォン(高機能携帯も含めて)と言われるものには出来なくてiPhoneに出来ることは、AppleTVと同様に進化すると言うことだ。お仕着せでバカみたいに多くの機能を組み込んで販売しなければ差別化出来ない他社の携帯と違いiPhone(当然touchも)は、携帯ネットワーク端末と捉えるべきで携帯電話としての機能は、"Some of them"なのである。
結論:iTunes Storeをコンテンツ販売のサイト、iPodをメディアプレイヤー、iPhoneを携帯電話と捉えている限りAppleのやろうとしていることは絶対に理解出来ないのである。
木曜日, 3月 27, 2008
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