火曜日, 3月 11, 2008

成り立たない論拠で...

 ITバブル華やかかりし頃、”収穫逓増”なる変な理屈が罷り通っていた。そのもとはジレットのビジネスモデル(ホルダーを無料で配って替え刃で儲ける。初期投資はあるが後は儲けが転がり込んでくる)からの派生なのだが、ソフトウェア(ここで言うのはWindowsのようなOSなど)で囲い込んで、それ専用のソフトで儲けると言うパターンが成り立つ論拠が”収穫逓増”だったのだ。

 バブル時代PS2がその成功例だと持て囃されたものだからPS3を作ってしまったのだが、結果はご存知の通りである。

SONYの桶屋理論
1:PS3が飛ぶように売れればBlu-rayが普及する
2:Blu-rayが普及すればPS3はコストが下がり更に安く売れる
3:PS3が大量に売れれば多くのゲームが登場し更にPS3が売れる
4:莫大なコストを開発したcellが大量に売れデファクトチップになる
5:cellチップのコストが低くなれば更にPS3が売れる
6:DVDの時と同じようにBlu-rayがデファクトになる

 この中で実現したのはBlu-rayのデファクト化だけである。それもHD DVDの早期撤退の為でありPS3が売れたからでは無いのだから、コストを下げる要因にはなるはずがない。

 ご存知のように飛ぶように売れたのは一世代前のGekkoの流れを組むBroadwayを使ったWii。製造しているIBMはcellの共同開発会社。cellチップの能力を発揮出来るようなゲームは構造が複雑なため開発が大仕事。PS3の売上を押し上げるほどのゲームが揃えられなかった。ソフトで回収出来なければハードで儲けなければ行けないのだがソフトがなければハードは売れない。結局cellで儲けると言う算盤は破綻し、東芝(共同開発社)に売却となった。

結論:HD DVDで負けた形になった東芝は、将来金の成る木に化けるcellを手に入れた。Blu-rayのように将来の無いデバイスではなく、映像関係などのAV家電では計り知れないポテンシャルを持つcellチップを手に入れたのは大きなプラスだったのに、SONYは相変わらず成り立たない自分に都合の良い未来像に縛られているだけなのである。それどころかまた墓穴を大きくしているのに気付いていないようである。

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