火曜日, 10月 27, 2009

経済指標に騙されるな

 経済指標には色々なものがあるが、日本が駄目で中国が素晴らしいとされる時に直ぐに持ち出されるものに外貨準備高の多さが使われる事が多くなってきた。GDPも持ち出される事が多いが、人口が10分の1に満たない日本の方が中国よりも大きいため大抵は、後何年で日本が抜かれて世界第2位は中国になってしまうという話になっているようである。日本のGDPは、減少しているがインフレ率がマイナス(世界最下位)なのだから当たり前と考えるべきだろう。と言うわけで、中国で一番の自慢の種になっている外貨準備高の意味を考えてみたいと思うのだ。
 
外貨準備高:中国が世界一になったのは確かなのだろうが、だからと言って世界一の金持ちだと言う事ではない。何故なら見ているのは飽く迄、外貨の保有金額であって貿易収支の結果だけではないからだ。またIMFの管理に入るとさえ言われている韓国だって外貨は持っているが(ドルでなければ決済できないのだから当たり前だ)、それを手に入れる資金は借金であるから、いくら外貨を持っていようが貧乏なことに変わりはない。そして、もう一つ外貨が積み上がる要因として資本収支の黒字がある。海外から入って来た資金と出ていった資金との収支が黒字だと言う事だが、その資金が投資か借金かは分からない。現在の中国は投資目的の資金が世界で一番多く注ぎ込まれているので、外貨の準備高を引き上げている資金の多くに使われているはずである(実は赤字だったりする)。ここで、おさらいすると経常収支の黒字によって外貨準備高が増える外貨準備高の増加、単純に外貨を買い集めて増える外貨の準備高の増加(大抵は決済のため)、そして資本収支の黒字を外貨に費やした外貨準備高の増加の3つが考えられるが、この中で返す必要のない外貨準備高の増加は経常収支の黒字によるものだけである。外貨準備高がいくらあるかが問題ではなく、どの資金でそれが積み上がったかが重要なのであり、それを無視した外貨準備高の比較など全く意味がないのである。さて、それでは経常収支で外貨が増えるのは全て正常だろうか、日本は基本的に外貨を円に自由に交換できるので国内の資金として使う場合には円を買ってドルを売る(外貨が減る)という仕組みを利用しているが、お隣の中国では外貨は全て政府の管理下に置かれ、企業がドルを売って人民元を買う事が出来ないため外貨が減る事がない。外貨の増えた分人民元を刷って配分し、再び中央銀行に集まってきた人民元で為替介入を行って人民元を安く押えているのである。これで、外貨が準備高が増えなければそれこそおかしな話なのである。

結論:中国を評価する時にすぐに持ち出されるのが、外貨準備高が世界一だと言う話だが経済政策の全く違う国同士を比較しても意味はないのだ。

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