世界中のマスメディアを巻き込んだiPad旋風。PCメーカーだったAppleがiPhoneで携帯の覇者になろうとしている時期に次を打ってきたのだから注目されるのは当然なのだが、iPhoneがiPadを登場させるための撒き餌(タッチインターフェイスの教則用デバイス)だったと書いたら何をバカなと思われる事だろう。でも、恐らくはそうなのだと...
Apple復帰時にJobsは、30年間のプランを持っていたという噂(恐らく事実だ)があるが、iPadの発表でそのプランは通常の人が考えるように復帰時からの積み上げで作られたプランではなく、30年後のあるべき姿から逆算して作られたものだと言う事が伺い知れるのである。
どういう事かと言えば、iPadを出すためにiPhoneが必要だったという流れだ。Jobsの最終目標は、エージェント型のヒューマンインターフェイス(タッチ、音声、カメラを認識可能なエージェント)で操作可能なパーソナルコンピュータである。他のメーカーなら、畑違いのスマートフォンよりも先にPCに標準で搭載されているデバイスを全て拭くんだタブレットを販売する筈だ(マルチタッチインターフェイスのOSも持たずに)。
もしもAppleがiPhoneよりもiPadを先に出そうとすれば、流石のAppleでも同じようなStepを踏まなければならなくなりDVDさえも持たないデバイスをいきなり出す事は難しいが、最初からそんなものが入るわけもないスマートフォンの進化型なのだから余計なデバイスもコネクターも排除可能だったのだ。それはマルチタッチインターフェイスににも言える。大きなディスプレイでマルチタスクを処理するインターフェイスよりも、小さなディスプレイでシングルタスクの方が単純で、ユーザもそれに慣れるのに要する時間は短い。
PCから入ったのでは現在持っているものから削り落としていくので機能の低下なのが、全てがないに等しいスマートフォンから入れば何をしても機能の拡張になる。そして、それはOSが更新されるたびにPCへと近付いて行くものなのだ。
iTuneで、音楽を買う事を教え、同じインターフェイスでビデオを買う事を当たり前とし、スマートフォンで簡単にアプリを買える事を示し、遂にはアプリはダウンロードが当たり前の所まで辿り着き、それを有効に活かせるiPadをデビューさせた。
結論:Jobsが復帰した時に目指していたのは、誰もがコンピュータと意識せずに使える本当のパーソナルデバイスを作り出す事だった。iPadは、PCがiPadにダウングレードされたのではなく、iPodがPCに進化し続けている途中のマイルストーンなのである。
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