金曜日, 2月 03, 2006

松下に迷いはない

 松下電器の四半期決算が発表され通期で年間4000億円の利益を出せそうだと発表された。今四半期はSONYも利益が出ているが、その内容には大きな差がある。SONYで利益が出ている事業部は明確な戦略の上に成り立っているとは思えないが、松下は明確にプラズマとSDを中心に戦略を組み、それが功を奏した形で利益を叩き出しているのである。

 それだけではなく完全にUniversalとの資本関係も解消し、今後のコンテンツビジネスに対してフリーハンドを得た事は非常に大きなポイントである。コンテンツを抱え込むと言う発想はデジタル以前には決して間違いではなかった(物を売って利益を得られる)が、コンテンツがデジタルデータとなった現在は、より多くのデータを扱うためには自社の所有するコンテンツが邪魔になるのである(SONYや楽天はそれが解っていない)。つまり、レコード会社も映画会社も持たない松下は今後コンテンツビジネスで大きく化ける可能性を秘めているわけである(どことでも契約を結べると言う自由がある)。同様にコンテンツ企業は同じコンテンツを複数のチャネルに同じ条件で販売出来なければ生き残る事は出来ない。

 デジタルカメラでも松下の巻き返しが始まった。カメラ専業であったメーカーはついに家電との勝負に白旗を揚げてしまった。カメラメーカーの中で唯一生き残れるのはキャノンだけだろうが、それ以外のライバルはSONYだろうか。コンシューマー用で唯一気を吐いているフルハイビジョンのデジタル・ビデオに関しても松下はSONYを包囲する体制に入っている。デジタル・ビデオに関してはSDで保存するメカレスタイプ(SANYOが最初だったが今後H.264対応になればテープを駆逐するだろう)も用意し決して侮れない。
 
結論:iPod対抗やPCなどでSONYは、Appleに対抗意識をむき出しにしたが、結果を出せなかったためにかえってブランド・イメージを低下させてしまった。それに対して松下は全く別のアプローチで地道に実績を積み重ねている。コンシューマーに対してはリコールに対する他社では考えられない真剣な対応を示し、結果的に松下の評価を底上げした。つまり松下は誰かを見て戦略を組む(常に後追いになってしまう)のではなく、自社で考えた明確な戦略を持っているのである。

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