月曜日, 9月 25, 2006

何も変わっていない

 最近少しはましになったが、戦前は暗黒だったと言うのが半ば真実だったように騙られ続けてきた。しかし、これは今に始まったことではなく。明治の政府が江戸時代を士農工商(実際には士商工農)という身分制度で縛りつけられ自由を奪われた暗黒時代だったとしたのと全く同じ精神がその根底にある。我々のように昭和以降に生まれた人間が江戸時代に生きた人間から直接話を聞く機会はなく、教科書やそれに類した書籍から得る知識では江戸時代は農民は食料にも事欠く貧しい生活を江戸時代を通して続けさせられていたような印象を持ち、それが常識化されているが、実際にはそのようなバカな話はない。戦国時代は武士階級でも文字を読み書き出来ないような人が多かったかもしれない(戦争で文字の読み書きを習うような時間がなかった)が、266年に及ぶ平和な時代が農民に至るまで文字の読み書き、算盤を習う時間を与えてくれたのだ。

 266年間のうちには何度かの大飢饉があり餓死者が出たことも確かだが、これは武士階級が飢饉にも関わらず年貢を徴収して農民を飢えさせた訳では決してない。何故ならば決して武士階級が私腹を肥やして贅沢な生活をしたりはしていなかったからだ。これは天皇も同じだ。テレビドラマの時代劇では豪奢な着物を来た越後屋と悪代官が付き物だが、江戸時代にあんなことをしていれば即刻お取りつぶしになってしまったのだ。戦後の日本は社会民主主義国家だったと言われるが、実は封建時代と言われた江戸時代も、身分に差はあったが生活には大きな差はなく基本的に平等な社会だったのだ。だから、開国でもめる幕末まで大きな騒ぎが起きなかったのである。明治になって徴税制度が変わってむしろ日本は一時的に貧しくなったのが本当の姿なのだ。

 江戸時代やそれ以前に日本に訪れた欧州人の記述にそれは顕著に表れている。彼らの中で日本を蒙昧な国だと指摘しているものはなく、国民全体の教育水準の高さはヨーロッパでさえ及ばないと書かれている。日本人の好奇心の強さ(新し物好き)と飲み込みの早さは教育水準と道徳水準の高さの賜物だったのである。文明開化する以前の江戸時代にあるイギリス人(ユダヤ系らしい)は、日本は何れ産業でイギリスのライバルになると指摘している。産業革命は起きていないがそれを支える技術は既に蓄えていることを見抜いていたのである。

結論:安倍総理は戦前回帰を目指そうとしているようだが、それをやると近隣諸国(どうでも良い相手とも言えるが)を刺激する。ここは思い切って江戸時代の良かった部分を復活させるということでやってもらえないだろうか。少なくとも官僚には江戸の武士のように国を憂ふ気持ちで働いてもらいたい。

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