金曜日, 8月 03, 2007

Appleと組むのは危険

 ”アップルと組むのは危険”という話が出ていた。確かに表面的に見ればそのように見えるかも知れない。Appleは自分のことしか考えない企業(経営者)だから提携しても酷い目に遭うよという話である。しかしこれを書いたライターは完全に間違った観点にたっている。その理由をこれから一つずつひも解いてみたい。

酷い目に遭った
Adobe:1980年代にアップルが長年のパートナーであった米アドビ・システムズ(ADBE)を騙まし討ちにした。アドビのポストスクリプトというページ記述言語を採用しながら、その一方で独自のトゥルータイプフォントを開発して戦いを挑んだのである。これは、Jobsのいない地代の話であり、高額なライセンス料の問題も絡んでいた。Jobsは、NEXTでディスプレイ・ポストスクリプトを採用し、それが現在のOSXの描画の標準になっている。
Motorola:「iTunes(アイチューンズ)」を搭載した携帯電話「ROKR」を製造することで軽率にもアップルと契約を結んでしまった。結果は惨憺たるものだった。保存できる楽曲数をたった100曲までにすることにアップル側がこだわったことが失敗の一因である。これも全くの誤解だ。曲数の問題は多少影響したかも知れないが、売れなった最大の原因は「ROKR」のデザインがあまりに不格好だったからだ。その後に出した「RAZR」(Motorolaのヒット端末)のデザインであったならば、そこそこ成功した筈である。それと、Motorolaとの間にはPowerPCの供給と言う関係もあったが、いつまで待ってもAppleの望むパフォーマンスを得られるチップが出荷されず、Appleの製品ロードマップを傷つけたのはMotorolaの方である。Intelに鞍替えした一番の理由は、出せもしないチップで時間稼ぎをされたからである。
HP:2005年に米ヒューレット・パッカード(HPQ)のCEOに就任したマーク・ハード氏の初仕事の1つは、アップルとの契約を打ち切ることだった。HPはアップルのために何百万ものアイチューンズ・ソフトを普及させたというのに、HPブランドのアイポッドはほんのわずかしか供給してもらえなかったのだ。実はHPでも売れるのならばもっと供給を増やしたかも知れないが、結局Apple製しかユーザーが買わなかったのが大きな原因だったのだ。売れなかった原因をAppleの所為にしているだけである。

結論:確かにAppleは自分たちのビジョンを実現するためには手段を選ばない企業である。脱落した連中からみれば血も涙もない悪魔だろうが、Appleに着いて行くだけのスピードがなかったのだから仕方がない。義理や人情で出来損ないと関係を続けるほどAppleはお人好しでは無いだけだ。

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