金曜日, 1月 13, 2006

松下の本気

 松下電器は石油ファンヒーターの回収を本気で行うようだ。これまでにもテレビでのスポット(あれだけでもとんでもない量だった)や新聞の全面を使った告知を行ってきたが、今度は日本中の全世帯に対してハガキで回収の告知を行う。これは前代未聞である。確かに排気ホースの劣化で命を落とすと言う最悪の結果を招いたとは言え、既にメーカーの保証期間(出荷から8年)を経過した商品に対するリコールとしては考えられない規模での対応と言えるだろう。恐らく松下は、全商品の回収を絶対命令として、ハガキでの告知の後は松下の販売店網を使った個別の回収を開始するだろう。初期の対応に問題があったことは確かであったが、それに対する対応は聞きしに勝るものである(例え今回の処置がポーズであったとしても他のメーカーにここまでやることは不可能だったはずだ)。

 ここには消費者用商品を販売しているメーカーの一つの明確な答えがある。自分たちが作ったものに対して最後まで責任を負うと言うことである。これが出来ずに、自社の商品が売れない理由はお客がバカだからと考え、お客をバカにしたような自分勝手なものしか作らないメーカーも多い。松下のように人の生き死にに影響しない商品だから、サポートはなおざりでいいと考えているメーカーもある(SONYお前のことだ)。自分勝手な規格を作っておきながら(デファクトにならなかったのはウチの所為じゃないとはいわせない)、平気でその規格を捨てる(或いは変更する)というのは研究者レベルでしか許されないことを知らない所がそもそもの敗因なのだ。

 そこまでやるかというところまでやることによって松下はメーカーの責任の取り方の見本を示そうとしている、他のメーカーは松下のやり方が当たり前になることを前提にして商品を売ることだ。短期的に松下は利益を失うかもしれないが、今回の決断は他社との差を見せつけた結果になった。腐っても松下だったのである。

結論:メーカーは自分の作ったものに最後まで責任を持つべきである。自己満足のために作り出したものを押しつけるのだけは止めて欲しい。SONYがダメなのは、自分たちの方が上だと考え顧客の望むものを作らないからだ。少しくらい高くても松下の商品を買う。そういう消費者が多くなればアメリカのように利益優先の会社が日本に入り込む余地は無くなる。

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