金曜日, 12月 09, 2005

暗い唄が聞こえる 〜第4章〜

暗い唄と言うと4畳半フォークを思い浮かべる人が多いが、4畳半フォークは暗い唄の範疇には決して入ることはない(少なくとも俺の目が黒いうちは)。4畳半フォークは暗いのではなくせこい唄なのだ。じゃあどこが違うのよ疑問を持っているあなたのために簡単にご説明させて頂きたいと想います。

キーワード:死
4畳半フォーク:憧れの先輩が交通事故で死んでしまって、そして必ずお星さまになる。
暗い唄:薬の飲み過ぎか、酒で体を壊して野垂れ死ぬ。或いは玉川上水に気付いたら浮いている。

キーワード;季節
4畳半フォーク:冬にかじかんだ手をこすりながら、彼氏の帰りを街灯の下で寂しく一人待つ。できればそこに電報で彼氏の死を知らせる連絡が来て欲しい。
暗い唄:夏の暑い盛りの真っ昼間、汗まみれになりながら薬で眠り続ける君。結局目が覚めることは無く、僕はそれをじっと見つめている。汗をかいている唄なのに心は冷え冷えとするばかりである。

キーワード:小道具
4畳半フォーク:手編みのマフラーやセーターは欠かせない。ようするに手作り感が愛情だと勘違いしている訳だ。ただ貧乏臭いだけである。正直寒い。
暗い唄:注射針、薬瓶、カミソリの刃。ようするに死ぬ時に必要なものが中心となる。これらの道具は通常クレゾールの匂いがしそうだが、有機溶剤の臭いを感じるから不思議だ。こっちは本当に寒い。

キーワード:デート
4畳半フォーク:公園のベンチで一晩中語り明かす。
暗い唄:公園のベンチで君の口がうまく回らなくなってくる(薬が効いてきたか、死にかけているらしい)。

結論:4畳半フォークは不幸にしても、幸せにしても三文芝居のようにありふれた小市民の域を出ていないだけではなくとってつけた様な設定に作り物であることが明らかであるのに対して、私が信奉する暗い唄は、普通の人が死ぬまでに経験することの無いアナーキーな死の臭いがプンプンしているし、実際はもっと凄いことが起きていたんじゃないかと新聞の縮刷版を閲覧したくなるようなものである(起きていれば刑務所に入っているとは思うが)。と言う訳で4畳半フォークに浸るのはブスな子で、暗い唄にはまるのはいかれた暗い男(俺のことか?)である。

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