日曜日, 7月 03, 2011

AppleとGoogleの違い

 「化けの皮が剥がれたAndroid」などと言う題名を付けたために数多くの来訪を受け、多少戸惑っている(もともともう一つのblogの方が来訪者数は多かったのだ)今日この頃。Twitterからの流れだったようなので覗いてみると否定的な反応よりも肯定的な意見の方が多いよう(多かれ少なかれ皆Androidに辟易としているよう)なので懲りずに好き勝手な事を書き続ける事にした。
 
 さて同じ花形IT企業と考えられているAppleとGoogle。スマートフォンやクラウドと同じ言葉で括られるサービスやプロダクトを競い合っているので両社が同じような戦略を持っていると勘違いされそうだが、iOSとAndroidの展開の方法に違いがあるように、全く異なるビジョンを持っている事は明らかだ。
 
 それぞれの思想を良く理解していない人(マスコミのデマを鵜呑みにしている)は、Googleは自由(オープン)でAppleは閉鎖的(プロプライエタリ)だなどステロタイプに語ればすむと考えているようだが、どちらが本質的によりユーザに対してオープンマインドであるかも含めてAppleとGoogleの違いを書いてみたいと思う。
 
基本思想
Apple:どれだけ多くのApple信者(信者は伝道もしてくれる)を作り出すかが目的。【キーワード】洗脳?
Google:どれだけ多くを支配するかが目的。【キーワード】全体主義。

顧客へのアプローチの違い
Apple:一度Appleの製品を手にした人のメンタルな部分を部分を鷲掴みにし、Appleから逃れられない状況を作り出そうというアプローチ。個人の集まりが集団。【キーワード】鷲掴み。正しくはハートを鷲掴み。
Google:どれだけ短時間に多くのシェアを確保するかが第一義。そのためならば無償でOSやアプリを提供するのもやぶさかではない【キーワード】底引き。個人は集団の構成要素の一つ。要は一網打尽。

マーケット戦略
Apple:一人の人間にどれだけ多くのApple製品を買ってもらうかが基本戦略。ロイヤリティを高めるためには回りくどいと言われようが直営店は必須のアイテムである。満足度の向上のために必要なのは、一も二もなくユーザビリティの向上。【キーワード】One to One。
Google:一人でも多くの人にGoogleの製品を使わせるかが基本戦略。その考え方は民放と同じで目指しているのはシェア拡大。当然収入減は広告なので撒き餌として使われるOSやアプリは無料で構わない訳だ。【キーワード】Free。Androidは、ただで自由だとすり込めたのだから大成功だろう。

得意分野
Apple:技術のベースにあるのは認知心理学。認知科学的なアプローチでユーザがどのように使うかを考えた上で、一般コンシューマがどれだけ苦労なく使える(マニュアル無しで使えなければいけない)システムを作り出すかが至上命令。OSが新しくなればなるほど操作法は単純化され速度が向上しなければいけない。【キーワード】ヒューリスティック。皮膚感覚が大事である。
Google:技術のベースにあるのは統計学。統計的なアルゴリズムで処理出来る分析は得意中の得意だが、個に対するアプローチは大の苦手。スペースシャトル「チャレンジャー」の事故の記事検索時に「チャレンジャー」のAdが表示されたのなどは、個は全体の構成要素に過ぎないと軽んじている証拠。【キーワード】アルゴリズム。効率が大事である。

開発者へのアプローチ
Apple:厳格に管理され自由がないと批判されるAppleの開発者に対するコントロールは最終ユーザへの便益を最優先しているから。LionやiOS 5で分かるようにAppleはユーザのデータにまで責任を持とうとしている。ユーザのデータを横取りしようとしているなどと批判する人もいるが、Appleのこれまでの動きを見ていれば分かるようにそれは誤解だ。ユーザによるヒューマンエラーの被害を最小限にするために、Time mashineやTime Capsuleを用意したのにそれが本来のターゲットである一般ユーザではなくヘビーユーザにしか使われていなかったからコストを度外視してiCloudを準備。【キーワード】手取り足取り。
Google:開発者に自由をと言いながら一番自由にシステムをいじくり回すのがGoogle。Androidのバージョンアップに振り回されている開発者はもう十分に思い知った事だと思うが、Google Appsなどを見れば分かるように事前のアナウンスなしに使用を変更するのは日常茶飯事。【キーワード】無責任。

結論:Googleのようにヒューリスティックをないがしろにする全体主義は嫌いだ。

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