水曜日, 10月 05, 2011

Amazonと東芝とApple

 寝ずに待っていたのにAppleから発表されたのが「iPhone 5」ではなく「iPhone 4S」だったとお嘆きの方もいるようだが、そう言う人はネーミングに惑わされているだけの人である。勿論、噂されいたデザインのものが欲しいと言う理由なら解らないでもないが単純に名前だけでがっかりしているのだとしたら、見当違いも甚だしいとしか言いようがない。と、言うわけでiPhoneの話なのかと思われるかも知れないが、これは単なる前振りで、今回の話題は一番旬なiPhoneではなくタブレットに関してである。
 
 Appleが参加しないイベントはどんなものであれ全く興味が湧かないタチなのだ(なら、貶さなければいいのだが、そうは問屋が卸さない)が、ここに来て全く対照的なAndroidタブレットが二つ(他にもあるかも知れないが、そんなものはどうでも良い)発表されたので勝手な意見を書いてみたい。その一つは唯一iPadのライバルとなりそうなAmazonの「Kindle Fire」であり、もう一つ(複数のモデルがあるようだが、画面の大きさなど瑣末な問題なので一括りにする)が東芝の「REGZA Tablet」。
 
 「Kindle」は、OSにAndroidを使っているが、徹底的にカスタマイズされていてAmazoidと考えるべき代物(だから駄目だと言うのではなく良いと考えている)で、東芝の方は、ほぼ最新のタブレット用Androidを搭載した純然たるAndroidタブレット。一言で言えば「Kindle」は持ち運べるAmazonストアであり、専用のSilkと言うブラウザを介してAmazonサイトを利用するためのデバイスと言えるだろう。対する「REGZA Tablet」の強みは東芝の「REGZA」シリーズとの連携で家の中のどこででも「REGZA」に蓄えられた動画を見る事が出来る事なのだが…
 
 個人的には「テレビ番組全部取りのREGZAのコンセプト」はありだと思うが、それと連携させた事以外に特別なところのない「REGZA Tablet」を出すと言うあり得ない。「REGZA Tablet」をキーにして「REGZA」を買って貰おうとの算段か、その逆なのかは全く分からないが、もしも「REGZA」の方を売りたいと言うのならば「iPad」で動画を楽しめるアプリを作る方がよっぽど裾野が広がると思うのである。
 
 対するAmazonは、Amazonを利用させるために各デバイス用のアプリをリリースするだけではなくAppleのような自分勝手なOSの制限を受けずにAmazonの考える使い易さを実現するための専用のデバイスとして「Kindle」をリリース。ハードウェアで儲けようと考えている分けではないので思い切った価格で他のタブレットを嘲笑うかのような戦略を掲げてきた。Appleには触れていないが、それはいつも書いていることなので割愛である。

それぞれの戦略
Amazon:ハードウェアはコンテンツ(物販も含む)販売のための手段に過ぎない。強いて言えば決済機能の煩わしさを専用端末でクリアと言う戦略。より良いものがあればOSがAndroidある必要さえ無い。
東芝:家電メーカーなので仕方がないのだが自社製品を抱き合わせで売るための手段としてのタブレットと言う戦略。REGZAシリーズの考え方は他のテレビ絡みの製品よりはまともだと思うのだが、OSにAndroidを使ったとしても利益など望めないのである。
Apple:ハードで儲け、コンテンツ(何れは物販も入る)販売でも儲けるテッパンの戦略。そのため、ある意味Amazonの方が思い切った戦略を打ち出しているとも言えるが、言い値でハードを買わせるなど他のメーカーには出来ない芸当が可能なのもビジョンが壮大だから。

結論:東芝を引き合いに出してしまったが他のメーカーはそれ以下の戦略しか持っていないのは間違いない(中にはわざわざ電子書籍専用端末を出すバカさえいるのだ)。Amazonが目指しているのはコンセントとワイヤーから開放されたワイヤレスのネット販売であり、Appleが目指すのはライフスタイルそのもの変革。中には情報の独占を目指しているところもあるようだが、世の中をどう変えるかのビジョンを持っていないなら自社製のハードなど作っても仕方がないのだ。

2 件のコメント:

bluehips さんのコメント...

恐らくあまりに痛々しくて取り上げなかった某メーカーも含め、Androidタブレットというとみんなおんなじというイメージの中、さすがAmazonというべきでしょうか。

IPadを持っているのでIPadモドキはいらないのですが、Apple製品と明確にキャラをズラしたKidleFireはちょっと欲しいと思います。

一方、東芝も某メーカーも自社で売れないタブレット(競合他社に比べて高すぎます)を出さなくてもiOSなりAndroidなりで動作するアプリを安価で提供する方がお客もメーカー自身も幸せになれると思います。特にAndroidはせっかくオープンになっているのに自社製品にしか自社のアプリを載せないのであれば自らビジネスチャンスを失っているように思えます。

G4 Cube Everlasting さんのコメント...

コメントを頂きありがとうございます。

本当にbluehipsさんの仰られる通りだと思います。AmazonにしろAppleにしろハードウェアは自分達が目指そうとしているビジョン実現のための手段に過ぎません。OSだってそうだと考えているはずです。

手段に過ぎないならどうでも良いのかと言われてしまいそうですが、手段だからこそ最高でなければと考え自分達で責任を持っているのがAmazonとAppleだと思います。シーズン毎にモデルチェンジをするなど両社には有り得ない戦略だと。

Kindleは、現在OSにAndroidを採用しているのに私が貶さないのはAndroidタブレットに変な小細工をして厚化粧をするのではなく逆にAndroidにある不要な機能を殺す方向で磨き上げているからなのです。両社が売れているのは実際に使ったユーザがそれを体で感じているからでしょうね。