日曜日, 5月 29, 2011

脳は嘘をつく

普段人間は両眼視差で立体視などしていないから3D映画を見ると疲れるのだとしつこく書いているのでくどいなと思われるだろうが、今日はそんな脳の情報処理についての独断と偏見を。

 表題と同じ本を読んだ事がある人もいるかもしれないが、私は基本的に脳は非常に手抜きな処理を行なっていると考えている。立体視は両眼視差で起こると信じている人には信じられないかもしれないが(私にはそう思い込んでいる人が信じられないが)、そんな人にはもしも人間が常にそんな高等な処理をしているなら錯視など絶対に起こりませんよと耳打ちすればお仕舞いである。距離感などの判断は図と地の関係や視線の動き(目は常に動いている)による映像の運動量の差(近くの方が変化量が大きい)や遠近法を判断材料にしている。

 さて、前置きはこの辺にしよう(前置きが長すぎる)。斯様に、脳は一番処理速度の稼げる(つまり手抜きできる)方法で認知処理を行なっている。何故なら判断の正確さよりも判断の早さの方が重要なのだが、一番重要な欲求が生存欲求なのだから当然であろう。そんな認知処理をしているのであるから、情報の蓄積(記憶)の方もかなり好い加減なのは間違いない。PCとは違いインプットされた情報をそのままに保存する事などありえない。自分に都合の良い様に内容を改変したり、類似する経験と同じパターンに収めてしまうのは日常茶飯事。結果として脳は嘘をつくという事になるのだ。

脳は手を抜く
その1:一番単純な方法で処理をする
その2:不要な処理はしない。例:気にしていない物は目に入らない
その3:徐々の変化は認知処理をしない。Aha体験などは物を見ていても短期記憶が全て認知処理に回されていない証拠。情報処理速度の速い人(IQの高い人)の方が余計な物まで認知処理をしてしまうので処理系が暴走する頻度も高くなる(基地外とも言う)恐れがある。
その4:記憶は自分にとって一番都合の良い形で保存し直す。時と共に徐々に記憶が変質するのはそのせい。

結論:意図して脳が嘘を付くとまでは言えないが、手を抜いているのでその処理が好い加減である事は間違いない。適当にやり過ごしているのだから結果的に嘘を付いた事に…まるで民主党だな。

4 件のコメント:

gbc さんのコメント...

そもそも目は網膜に映った像をどう処理しているんでしょう?静止画の連続として見ている?多分もっと複雑な処理をしていると思う。

G4 Cube Everlasting さんのコメント...

一つのヒントはmpegにあると思います。注視していない限り全体を処理するのではなく変化量の大きな部分(動いたり、消えたり)だけをコンピュータにおけるレジスタ(短期記憶)に対応する部分だけでパターン処理で済まし、大脳での統合型の処理は行なっていない(目、筋肉などから得られる情報をそのラインだけで分散処理し実は揃ったデータを元に最適解を見出すような事は殆どしていない)のではないかと私は考えています。

つまりざっくり考えれば静止画ではなく動画の処理をしているという事です。動画の静止画が綺麗な静止画にはなっていないのに動画では滑らかに見えるのがその証拠なのですが、だとすれば重要なのは左右の目に入ってく画像の変化量の差が大きい方を優位な処理にしてしまい過去のパターンに合わせて簡易処理を行なっていると考える方が良いのではないでしょうか。

まあ、私の考えに過ぎないので絶対に正しいかと言われればその限りではありませんが。

gbc さんのコメント...

丁寧にどうもありがとうございます。実は、人間が立体視出来るのは両目があるからだとばかり思っておりました。両目があるのは、距離を正確に割り出す為でしたか、例えば目の網膜と脳細胞をつなぐ神経は画素数が100ドットなら100本網膜から脳神経に並列に直接繋がり、それを何層もの形や色を感じるフィルターが重なっており、ちょうどセルアニメの様な感じで合成して見ているような感じになるのではないかと、読んだような気がするんですがどうなんですかね、たぶん見える仕組みはまだはっきりしていないんでしょうね、

G4 Cube Everlasting さんのコメント...

コメント頂きありがとうございます。

実は両眼の視差を利用して距離の把握や立体視を全くしていない訳ではありません。学習の過程では当然そうやって来たのですが、その処理に慣れてしまいパターン化が終了してしまうと処理をはっしょってしまい入ってくる全ての情報を処理するなどと言うまどろっこしい事はしなくなってしまいます。

その手抜きが完成するのにどれ位の時間が必要なのかと言う時に一つの目安となるのが逆さメガネの実験です。どのような実験かと言えばプリズムを使って上下が逆さまに見える状態をずっと続けるとどのように世界が見えるようになるかと言う物なのですが、結果は一週間もすると最初は上下逆さまに見えていた世界が何時の間にか普通に上下を正しく判断できるようになってしまいます。

上下が逆さまに見えていた時には頭の中でどう対応しなければいけないかを考えなければなに一つまともに出来なかったのに一週間もすれば何も考えなくても普通に上下を正しく把握出来るようになってしまうのです。つまり一週間で処理のパターンが完成した訳です。

面白い事にこの実験の結果習得してしまった処理パターンを忘れる(逆さメガネを外した状態になれるには)のには一週間以上の期間が必要となります。その間は、逆さメガネを掛け始めた時よりも酷い状況が続く事になるのです。

つまりここでわかる事は一度取得してしまったパターン処理は成り行きで使っているだけなので捨てるのが楽なのに、学習直後の物を捨てようとなるとそれはまだ完全に成り行きまかせにはなっていない(完全な手抜き処理になっていない)事が大きな問題になるのだろうと思います。

ご指摘のようにものを見ている状態を調べれば並列処理をしていてそれぞれを担当する領野から得られた情報を統合して認識しているのは間違いありません。しかし、ここが面白いのですがそれは見えると言うものを理解しよう(自覚して)として調べたから全ての処理を正しく行ったのであって、常にそうしている訳ではないと言う事です。自覚していない時には脳は統合作業などは全く行なっていないかもしれないのです。