火曜日, 3月 14, 2017

iPhone登場から10年

一年もすれば撤退するとバカにされたiPhoneもあっという間に登場から10年。確かに初代が大成功かと言われればたかだか680万台しか売れていないじゃないかと言われてしまうのは当然だが、2G(GSM)ではネットに繋がる部分の良さが全く発揮できずWi-Fi前提のネット端末感はぬぐいようもなかった。

しかし翌年に登場したiPhone 3Gはインターネットにダイレクトに繋がる意味を思う存分発揮しAppleを素人扱いしてバカにしていた当時の欧米の携帯トップメーカー(Motrola、Nokia、BlackBerry)は業界再編の渦中に放り出されることになり無残な結果になってしまった。

iモードもおサイフもないし地デジ(ワンセグやフルセグ)も見られないから日本では絶対に売れないと騒がれたが、ないないづくしの状態のままで気がつけば国内のスマホの半分(実際に動いている台数はもっと多い)はiPhone。あれだけあったキャリアお抱えの携帯メーカーの多くはその姿を消してしまった。と言うわけで今回はiPhoneの何が他と違っていたのかについて書いてみたい。

iPhoneは何が他と違ったのか

その1:インターネット端末
BlackBerryなど業務に特化してシステムと繋がるビジネスフォンや電話回線を使ったSMSでのメッセージのやり取りやiモードのようにナンチャッテ(キャリア内のサーバ上のサービス)なネットサービスは存在したしiモードアプリがApp Storeの大きなヒントになったのは間違いないが、iPhoneはキャリアの回線を文字通りインターネットへの土管として利用する端末だった。形は携帯電話だがそこでやっていることはPCの世界そのものだったのだ。
その2:タッチパネル
タッチスクリーンを使った携帯電話はIBMの「Simon」(OSはシャープのZaurus)や、パイオニアのDP-211などだがそのタッチパネルはポインティングデバイスの代わりに過ぎず、その後に出てきた端末もその域から一歩も踏み出せず文字入力のためにキーボードが付いていた上に使われていたOSがWindows CEなどだったために小さい画面の中の操作をするためにスタイラスペンが必須の感圧ディスプレイだったが、静電容量型のパネルを使用したiPhoneは指での操作が可能だった。その上複数の指を同時認識可能だったので画像の回転拡大などがマルチタッチで可能になった。iPhoneの登場で急遽キーボードではなくタッチパネル方式に切り替えたAndroidはスクリーン感度のチューニングもまともにしていない代物だったのでその差は大きかった。
その3:Apple Pay
iPhoneにはおサイフ機能がないとずっと言われ続けていた。逆に言えばそこだけが唯一iPhoneをリードできる差異だったせいか初期の国内のAndroid端末はOSもCPUも常に世代遅れなのにFeliCaだけは載せると言う作戦を取ってきたが、どんなに頑張ってもFeliCaなしのiPhoneを凌ぐことは出来ず一番の目玉のはずのモバイルSuicaも利用客は全然伸びす年々搭載端末を減らすと言う結果になってしまった。そんな中Appleは米国内でApple Pay(こちらはプリペイドやポストペイの少額決済ではなくクレジットやデビッドカード決済)をスタート。リーダー端末の普及が今ひとつなので大成功とは言い難かったがJR東日本とのSuicaを利用した決済を機に一気に国内に展開Apple Pay自体 も急激に利用金額が拡大した。Android Payも追いかける形で国内展開が始まったがFeliCa搭載端末が減少傾向にある上に対応端末がAppleのiPhone 7やApple Watchよりも少ないと言うのが現状。国内のキャリアやメーカーが独自サービスを打ち出すことなど考えられないので結果的にApple Payに軍配は降るだろう。
その4:エコシステム
正直これが一番大きいのだがアップルのエコシステムはクローズドなシステムなので自称リテラシーの高いお利口さんはAppleの閉じたエコシステムがお嫌いだ。挙げ句の果てに今はそんな連中はそんなに存在しないのにAppleの仕組みを正当に評価する連中を信者呼ばわりする始末(私は信者かもしれないが多くのiPhoneユーザーは堅気だ)。そんな人は、Androidはオープンで自由が許される素晴らしい世界だと宣うが、それこそオープン思想に囚われたかわいそうな人たち。好き勝手を許してきたAndroidには本当の意味でのエコシステムが存在しない上に利益の出しようのないビジネスモデルから選手の入れ替えが激しく、いつまでもたってもそのビジネスは売り切り御免の世界を脱していない。どんなにオープン思想を開発者が賛美しようが一向にOSの分断化が解消されない世界で端末を使わされているユーザーは不幸なままなのだ。

結論:日本でiPhoneがここまで浸透したのは当然の結果なのである。

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