月曜日, 7月 21, 2014

Samsungが世界で通用しなくなった理由

日本のメーカーが世界中を席巻していた時代はアナログが全盛だった。製品の組立に要するノウハウ(製品設計や組立技術)が全てを決めるキーだった。技術の積み重ねの結果がそのまま製品の価値に繋がっていたわけだ。最高のものを作ろうとしたらネジまでの全てを自社独自のものとして一から作る事が最良だった。自前の技術で作られたものの特許を押さえ他社には真似の出来ないものを出す事が至上命令。それが上手く行かないならば他社がまだ手を出していないハードウェアを先に追加する。それが日本のものづくりの考え方であった。そして、日本のメーカーが立ち後れになってしまったのはその考えを捨てられなかったからなのだ。

デジタル時代に入ってもしばらくの間はその方法が有効だったが、それはPCが特別なものであり一般家庭で普通に使われるものではなかったからに過ぎない。その中では井の中の蛙に過ぎなかったが、MS-DOSベースだった時代には日本語と言う特殊事情に守られて世界とは違う流れの中で生き延びる事が出来たに過ぎなかったが、Windowsの時代にもそれが通用すると考えたのが大きな間違いだった。その結果、海外勢と同じ土俵で戦う事になり単純な価格競争になってしまい…

アナログ時代は製品を構成する部品同士を結びつけるには職人的な技術(ノウハウ)が重要だった、同じ部品を使ってもそれをどう組み合わせるか、どうチューニングするかで出来上がってくる製品の品質には大きな差が出せたのだが、デジタル時代になってしまい多かれ少なかれ自社で作れないパーツは外部から調達し他社と同じ構成部品で作らなければコスト的に価格競争には付いていけない。それらを結びつけるOSも他社の製品なので、より低コストで作るところが出てくると勝負にはならなくなってしまった。

そんな時代の家電メーカーの覇者と持ち上げられていたSamsungも大メーカー同士の戦いには勝利していたが、ここに来てゲリラ的に製品を出してくる中国の弱小メーカーとの価格競争に負けている。既に白物家電ではそうなっていたのだが、スマートフォンの世界(ここが唯一の稼ぎ頭)でも数を稼いでいる新興国向けの廉価版で食われ始め、ハイエンド機はAppleの牙城を崩すには至っていない(ハイエンド機主流のアメリカや日本では悲惨な状態だ)。利益も大きく減り始めていて将来は非常に暗いように思える。

結論:日本のメーカーから手に入れた技術者たちのネタもそろそろつき始めた。国内メーカーと同じような発想でものづくりをしているのだから通用しなくなるのは当然の帰結だったのだ。

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