木曜日, 9月 15, 2005

デファクトになるのは難しい

 SONYと言えば新しい技術を生み出す企業として評価されることが多いが果たしてどれだけ世の中を変えることが出来たのだろう。そこでSONYオリジンでデファクトになったものを分析することによってつまびらかにしてみたい。

<トランジスタ時代:何でもかんでもトランジスタ>
トランジスタラジオ:東京通信工業時代に世界に先駆けて開発(先駆け)
トランジスタテレビ:世界初のトランジスタテレビを開発(先駆け)
トランジスタビデオ:世界初のトランジスタ業務用ビデオを開発(先駆け)
トリニトロンテレビ:SONY独自のブラウン管を開発。アップルがMac用ディスプレイに採用(非デファクト)
 この時代の商品はその後デファクトとなっていくが、実は自社オリジナルの技術はプロダクツの実用化だけであり、それまで存在しなかった商品を作り出した訳ではない。悪く言えば真空管をトランジスタに置き換えることに燃えていたのである(実は凄いことなのだ)

<ウォークマン時代:何でもかんでもさ小さくしてしまう>
Uマチックビデオ:オープンリールを使わないカセットタイプのVTRを開発(負け組)
ベータ式ビデオ:家庭用VTR機器を初めて商品化(負け組)
Lカセット:SONYの社史の中でも抹殺された商品。オープンリールを使う人間は小型化など望んでいなかったのである。(なかったことになっている)
ウォークマン:世界的なヒットとなったコンパクトカセットプレイヤー(先駆け)
 ウォークマンに関しては音楽の聞き方そのものを変えたと言う意味で新しい文化を作ったと言えるかも知れない。しかし全体を通して見えてくるのは、実は何も独自の技術は開発していないと言うことである。要するに何でも小さくしていただけなのだ。

<デファクトの時代:オリジナルをデファクトに>
3.5インチFDD:当初アップル以外は使わなかったが、押しも押されぬ存在であった(デファクト、但し既に過去の技術)
CD:フィッリップスとの共同開発であるがデファクトのフォーマットとなった(デファクト)
DVD:これもフィッリップスとの共同開発でデファクトになる(デファクト)
MD:これはSONYの踏ん張りでデファクトになったが既に死に体になってしまった(デファクト、但し既に過去の技術になろうとしている)
 SONYのオリジナル技術が世界を席捲し現在普通に使われているデバイスのライセンス料だけでやっていけるくらいにヒットを連発した。思えばこれが現在の悲惨な状況を生み出したとも言える。この時のデバイスはもう既にレガシー物になってしまったので、新たなお金は期待薄なのだ。

<井の中の蛙の時代:独りよがりの迷走劇>
Playstation:この時期唯一と呼べる勝ち組商品。しかし元を正せば次期任天堂マシーンとして任天堂と共同開発されていたゲーム機である(デファクト)
メモリースティック:コンパクトフラッシュやスマートメディアに対抗して開発されたが、SDに完全にしてやられてしまった(負け組)
ネットウォークマン:出遅れただけでなく、やることなすこと的外れと言う体たらく。オーディオメーカのくせにアップルにしてやられる(負け組)
AIBO:ペットロボットというおもちゃを開発(迷走)
二足歩行ロボット:エンターテイメントというおもちゃを開発(暴走)
QUOLIA:誰も欲しいと思えない高価な商品を発売(もうじきLカセットと同じ運命)
 やることなすこと失敗ばかりと言ったら言い過ぎだろうか。でも何をやりたいのかが不明なものか、世の中の流れを考慮(将来を見通してという意味)で作られた商品が見当たらないのである。

結論:これからデファクトになれるかも知れないBD(松下が乗ったから)だが、時代はシリコンへと進んでいることを忘れないことだ。既にディスクはテラクラスの容量じゃない限り意味がないのである。なんのことは無い、SONYの技術でデファクトになったものはわずかだったのだ。

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