水曜日, 6月 13, 2018

実り多かったWWDC 2018

通常ならWWDC前に何が発表されるかの予測を書くところだが、今回はハードウェアの発表がないとわかっていたので事前に何も書かなかった。去年のように沢山のハードが発表されるなどと妄想していたおめでたい連中もいたようだが、昨年撒かれた種がどう育ってきたのかを目の当たりにする中身の濃いWWDCだったのである。

昨年のWWDCの発表を受け、GoogleがTango プロジェクトを捨てる結果となったARKitは一年の時を経て2.0となりARの共有と言う次の段階へと進化した。GoogleもARの共有は織り込み済みなのだがWWDC初日にダウロード可能になったiOS 12のベータで直ぐに確認できることとは大きい。対応する製品はARKitが動作するA7搭載であることも重要なポイントである。ARKItの発表を受けて慌てて発表されたGoogleのCoreKitは未だに利用可能なデバイスはわずかでありiPhone 7以降が対象となるAppleに大きく水を開けられたままなのはお笑いぐさである。

そしてARに関してもう一つの大きなポイントはPixarとのコラボレーションでリリースされたオープンファイルフォーマットの「usdz」の発表である。iOS 11上では未サポートだがiOS 12のベータのインストールされているデバイスならば「usdz」フォーマットのファイルはSafariで開kいARボタンを押すだけでカメラを通した現実世界上に3Dモデルを自由に配置することが可能になる。簡易とは言えAR体験に専用のアプリを作る必要がないと言うのは非常に大きなメリットなのだ。

昨年発表されたCoreMLは、外部のシステムで作成したモデルを利用するレベルであったが、CreateMLを使うことでXcode上でMachine Learningモデルを作れるものに進化した。現状作成できるモデルは画像と自然言語に関するものだが、これはクラウドベースのMLでも同じこと。ローカルのMac上でMLモデルを簡単に作れることも大きなアドバンテージと言えるだろう。

他にもSiriのShortcutsなど色々と発表があったが、全体を俯瞰して分かることはクラウドに個人情報を投げることなくローカルで処理を完了させるエコシステムの構築を着実に進めていることである。もちろんAppleはローカルの環境だけで全てが完結できるなどと考えているわけではないが少なくとも個人情報を野放図にクラウド上に渡してしまうような真似はしたくないと意思表示したのだ。

結論:昨年撒かれた種が着実に育っていることを知るWWDCとなったのである。

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