火曜日, 8月 14, 2012

iPhoneを作れ

液晶で世界をリードしていたシャープが青息吐息で株価もストップ安になってしまう状態に。開発技術力もあるし製造技術もあるけど一番大きな市場であるアメリカでSamsungに負けているのは事実。それ以上に影響が大きいのは国内メーカーの一番のドル箱である国内市場が冷え込んでしまったのが大きい。かつては国内シェアのトップだったケータイ市場もiPhoneの登場によりスマホにあらずんばケータイにあらずの環境になってしまい、一見数が出ていようとも他のメーカーとの価格競争の中利益をもたらすような状況にはならなかった。これは鳴り物入りで各社が参入した3D液晶テレビも同じで無駄な開発費が嵩んだだけで利益を上げる事は出来ず、パナソニックもSONYもシャープと同様に大赤字になってしまったのだ。皮肉な事に液晶テレビを早々と諦めた日立や三菱の方(こちらは重電を持っているので比較すべきではないが)が早々と業績を回復する事になったのだ。

そんな、シャープにとっての一つの光明がiPhone向けのディスプレイの供給。次期iPhoneのディスプレイの生産を開始したと行きなり発表したのも、下げ止まらない株価をどうにかしようと言う考えが働いたのは間違いないだろう。Steveが生きている時にそんなことをすれば、それだけで取引は無かった事になっていたのだろうが、Appleが何の声明も出されていないところを見るとAppleに事前にお伺いを立てていたのかもしれない。家電メーカー各社は大きな投資をしなかった白物家電で赤字を叩き出した訳ではなく、液晶テレビやスマホで回収の見込みの立たない開発費や設備投資を投入してしまったのが大きな敗因。完成品で利益を得る目算は地デジ化需要が消えた中で雲散霧消してしまった。

揚げ句の果てに、どこぞのキャリアのように多品種で他社への流れを食い止めようなどと言う間違った戦略に乗ってしまったのでは、とてもではないが自社製品で利益を上げる事など取らぬ狸の皮算用以外の何物でもないのは明らかだ。そんな逆風ばかりの中に出てきたのがAppleへのディプレイの供給話。Foxconnとの提携により、より強いAppleとの紐帯が出来たのは間違いないであろう。批判を承知の上で書くが、シャープだけに限らず幾ら作っても利益の出ない事業から撤退するのは一つの手だと考えるのはあまり利口ではない。それによって合従連衡は進んだがどこも利益を上げるには到っていないし、利益が出せる時代が来た時に再参入するくらいにバカな話はないのだ。工場だって一端閉鎖したら…

結論:自社製品を作るのを暫くやめEMSに徹するのも一つの方法である。ラインを閉鎖するくらいならiPhoneを作れば良いのだ。

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