水曜日, 11月 21, 2018

その製品はライフスタイルを変えたのか?

どんどん販売価格の高くなるiPhone。確かに誰でも気軽に買える金額ではなくなったことは確かだが、イノベーションもなくなったのに(そういう意見の人はSamsungなどにはあるとたわけたことを宣う)と見当外れなことを宣う連中には賛同しかねる。イノベーションというのは携帯電話が折りたためることだと考えているならそんなものはiPhoneが誕生する以前はフリップタイプばかりだったじゃないかの一言で終わる。折り曲げられるディスプレイが重要なんだと食い下がってくるかもしれないが、スクリーンが折り曲げられることで生活がどう変わるのか私には全く想像できない。そしてそんなものに食いつくような人達にAppleにイノベーションがなくなったなどと偉そうに言って欲しくないのだ。

Appleが起こしたイノベーション
Apple Ⅱ:それまでもマニア向けのマイコンは存在したが本物のパーソナルコンピューターと言えたのがApple Ⅱ。Apple Ⅱが成功していなければ汎用機の巨人であるIBMがPCを出すのはずっと遅れていただろう。IBM PCが登場し互換機を許したことでPC市場が生まれたのだ。


Macintosh:Macintoshが画期的だったのはコマンドを知らなくてもコンピューターを操作可能にしたこと。それまでも中途半端なGUIは存在していた(Alto)がマウスだけで捜査課のなものはなかった。MacintoshはPARCのAltoのパクリの一つでWindowsも元を正せばAltoに行き着くとも同じだなどと馬鹿なことを平気でほざ
く馬鹿がいまだにいるがデビュー時点でそのインターフェイスは既にAltoを凌駕していた。Macintosh(中途半端な形でLisaにも)のインターフェイスがAltoにインスパイアされたのは事実だが。Macintoshのデビューは1984年。Windowsが一般に受け入れられる(使い物になり始めた)ようになる10年も前のことだった。

iPod + iTunes:全ての音楽コレクションを持ち歩ける(1,000曲なので多分に誇張されているが)デジタルミュージックプレイヤーであったiPodはそれ以前の音楽プレイヤーを駆逐してしまったと言うだけで十分にイノベーティブだったと言えるかもしれないが、CDからクリッピングした曲を聴いているだけならライフスタイルを変えたとは言えなかっただろう。音楽ダウンロード販売サービスであるiTunes(元はiTunes Store)で音楽の入手法を根本的に変えた事でライフスタイルを変えてしまった(CD販売店の抹殺とも言う)。音楽業界は既にダウンロード販売からサブスクリプションのストリーミングサービスに主力は移っているがiTunesの成功がなければ違う形になっていたかもしれない。

iPhone:タッチ画面のiPod、電話、情報端末を一つにしたiPhone。こんなものは売れないと批判の矢面に立たされた製品はわずか数年で携帯電話市場だけではなくコンピューティングそのものを変えてしまった。iPhone以前にもスマートフォンと呼ばれる携帯電話は存在していたがiPhoneの登場によってその定義は大きく書き換えられた。それまでのスマートフォンは所詮ポケットサイズに押し込めた出来損ないのPC。OSも出来損ないだったので小さな画面しか持たないのにPCのUIで操作しなければいけない代物だった。iPhoneの登場によってコンピューティングはモバイルファーストが常識となり、ミレリアム世代ではPCを持っていないことがコンピューティングの障害でさえなくなっている。これをイノベーションと呼ばずして何をそう呼ぼうというのだろう。

結論:イノベーションとは製品の再定義ではなくライフスタイルの再定義を起こすこと。Appleだって毎年起こせるようなものではないのである。

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