火曜日, 11月 20, 2018

Appleは負け負け組なのか?

新製品の発表も新たな機能追加の発表もなくスマートスピーカーの中で存在感がどんどん小さくなるHomePod。このままではスマートホームという未開拓の地を失ってしまうとの意見の方が多い昨今である。確かにスマートスピーカーと言う範疇にHomePodを入れてしまえばそうなるだろうが周りがそう捉えているだけでAppleはHomePodをAmazonのEchoやGoogleのHomeのようにスマートスピーカーだと言ったことはないし、家庭へアプローチするデバイスをKidleしか持たなかったAmazonとは違いスピーカーや他の製品(70もの製品が発表されたらしいが)をスマートホームのハブとして買ってもらう必要もない。Androidほどのシェア(それにどんな意味があるか知らないが)はなくともスマートホームの可能性が高い先進国にはiPhoneが既に行き渡っている。足りない物はハブとなってくれるデバイスではなく、それに連動して動作するスマート家電の方。もちろん先にデファクトとなるシステムを完成されてしまえば付け入る隙が無くなるのは事実だが少なくともAppleはそう考えていないだろう。

エンタープライズを背景とした広告がビジネスの中心である企業であれば当然である個人データの収集もAppleは極力しないためにAIの負け組だなどと宣うGoogle信者も多いようだが、一度もエンタープライズの覇者になるなどと言ったこともないAppleにしてみれば大事なのはそこじゃないよの一言で終わってしまう。これはMicrosoftもほぼ同じ考えでエンドユーザーをターゲットとするビジネスを手掛けているならフロントエンドとなるUIに対話型AIを持ってくる方がより重要となり、個人情報を端末内で処理するエンジンが肝になる。現状のAppleのSiriはサーバー上で動作するものであるがいずれは端末内での完結させる形になるだろう。

繰り返しになるがスマートスピーカーで出遅れていることを危惧する論調のベースはスマートスピーカーがスマートホームのh部になると言う前提で成り立っている。Amazonはスマートスピーカーで家電が操作可能なスマートホームと言う夢を描かせてAmazonのECに直結するデバイスを家庭内に置いて貰うことが真の狙い。同様にGoogleもウエブを経由させずにダイレクトに個人情報を収集する手段としてスマホを使わないユーザーの懐に入り込むのが本来の目的。クラウドに繋がらずに端末だけで完結してしまうようなものを出す気などどこにもないのだ。対するAppleはiCloud経由で連携し合うデバイスはユーザーのそれぞれのシチュエーションで必要となる機能を持ったバリエーション展開。互いに補い合えば良いだけなので一台で何でもこなす製品を作る必要はない。もしもAppleがスマートホームのためのハブを出して来るとしたらそれはマイクもカメラもスピーカーも持たない製品で構わないのだ。Apple製品のヘビーユーザーであれば家電の操作はApple TVからでもApple Watchからでも構わない。ハブの中に収められたローカルで起動可能なSiriが各デバイスからの指示を元に家電をコントロールする。Appleはそう言うスマートホームを考えているに違いないのだ。

将来、音声インターフェイスがユーザーインターフェイスの重要なキーであることは間違いないが、スピーカーがそれだと考えるのはあまりにも短絡すぎる。そして本当にそうだと考えているのならAmazon Echoなどのマイクはお粗末過ぎた。クラウドにどんな優秀なAIがあろうが、そもそも音声を正しく拾えなければ何の意味もない。そしてそこを重視してどんな悪環境でも聞き逃さないシステムにしようとしたら高性能な処理が可能な部品と処理系が必要になりそれなりに高価なものにならざるを得ない。HomePodが高価なのはそう言うシステムを組み上げているからなのだ。

結論:今どれだけのシェアがあろうが近い将来に多くの家庭がスマートホーム化することはない。それは全ての家電のスマート化にはそれくらいに時間が掛かると言うことだ。Appleは現在のスマートスピーカーは携帯で言えばガラケーに過ぎないと考えている。だから安心してガラケー時代のiPodに当たるHomePodを出してきたのだ。もちろんAppleがiPhoneのようなガラケーばかりのスマートスピーカーを駆逐する製品を出せる保証はどこにもないがその時が車でどんな事を言われようがAppleは現在のスマートスピーカーと真っ向勝負する製品ではなく進化を続けたiPodのようなスピーカーを出して来るのである。

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