月曜日, 4月 25, 2016

イノベーションのジレンマ

世の中にはイノベーションというものを新製品に搭載される電子部品が新しくなることと勘違いしている人が結構いる。技術動向に疎い人がそうなのは仕方ないとして業界にありながら根本のところを理解していないために素人以上に馬鹿な発言をする輩がいることに正直驚いている。そういう連中が真っ先に口にするのはsteveのいなくなったAppleはイノベーション企業ではなくなったという常套句。

まるでsteveがいた頃は毎年のように世の中をひっくり返すようなイノベーションを起こしていたような言いぐさだがiMacの発表が1998年5月、iPodが2001年10月、iPhoneが2007年1月でiPadは2010年1月(プロトタイプの開発開始はiPhoneよりも早い2002年)と早くても3年、平均すれば4年以上掛かっている。iPhoneからiPadまでが短い印象だが前述しているようにiPad開発で得られた技術を携帯に詰め込んだのがiPhone。世の中にはタブレットに対する悪印象(使い物にならない製品がいくつも出た)があったからiモードなどで既に確実なニーズの存在するiPhoneを先行させた訳だ。そして製品が出ただけでは本当のイノベーションにはならないことが重要なポイントなのだ。

iPhoneに限らずAppleの製品はハードウェアに依存した機能を最小限にし、ソフトウェアのアップデートでハードウェアを進化させる方法でユーザーを増やし結果的にハードウェアで利益を得るビジネスモデルを続けている。Appleがイノベーションを起こしたとすればそれはそれまでのハードウェアのビジネスモデルを根本から覆したところにあるのだ。

結論:ユーザーの生活をより良くするには何が必要か、より良いユーザー体験を提供するには何が必要か、それを実現できるハードウェアは何か。Appleのモノづくりは物を作る以前の人間観猿に重きを置いているから本当のイノベーションを起こせるのである。

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