Appleが次の四半期の出荷数量を10%以上削減する為に部品発注量を調整したようだ。タイなど一部地域からの部品調達の影響があるとも言われているが、今後欧米での景気後退懸念が強いのが最大の理由なのは間違いない。何故それが可能なのかと言えば、世界中に拠点を構える店舗(他者の販売店も含む)の生のデータをベースにSCMを回しているからに過ぎない。何処かのメーカーのように市場に出荷した量を自慢する事(そんな事で人気を煽っても意味はない)など馬鹿げた事だと考えているので、Appleが発表する数字は常に顧客の手に渡った数がベースになっているのはご存知だろう。Appleが販売店に要求する数字は、常に発注数ではなく週次で販売された数量なのだ。
当然、販売店に出荷する量はAppleに主導権がある(実績ベースの予測数)。販売店の見込み数量による発注など鼻から相手にはしていない。これは、日本のメーカーではあり得ない話なのだが、日本のメーカーが競争力を失った最大の理由だと未だにきづいていないのだから憐れなものだ。製造や販売部門が勝手な予測で販売数量を弾き出し、それを消化してくれる発注を出す販売店を優遇する。挙げ句の果てにはちっとも売れないと泣きつかれれば、販売奨励金でサポートする形で目標販売数を達成すると言う無様な結果に終わるのだから利益など出る筈はなく、でかいアドバルーンを上げておきながら突然の撤退となりユーザの信頼を失うのだ。
典型的なのが2010年が3D元年で2011年が3D断念になった事だが、潜在的なニーズの存在しない製品を各社が右に習えで出しまくったのがそもそもの原因。来年辺りにAppleが潜在的なニーズのある3D使った製品のを出して来たらその後追いをするのか、それとも羹に懲りて様子を見るのかが最大の楽しみである。
さて、長くなってしまったがティム・クックがCEOに選ばれた最大の理由が今のAppleの強さを支えているサプライ・チェーンを完成させたからだとお分かりいただけただろう。趣味に過ぎないApple TVを出し続けられるのも単に資金に余裕があるからではなく売り切る事が可能な数量しか作っていないからなのである。Appleに大量発注をした事があれば分かるのだが、あなたの大量発注は通常の製造ラインに回っている中からは割当されない。絶対に買い取ると言う確約(Appleと直接契約書は交わさないがどこの一次卸を通して何台仕入れるかの確認がAppleから直々に入る。それに答えられなければ商品はいつ迄立っても入らないと考えるべきです)の元に一つのラインを作る方法をとっている。他のメーカーでこんな事を頼んだら何ヶ月先になるかは分からない(そもそも余裕在庫があるのですぐ届くだろうが、もしも万が一人気商品だったらの話)が、Appleならば最短で半月もみれば十分なのだ(その期間でお金を手立てきるかの方が問題だったりする)。
結論:以上でお分かり頂いたように(理解頂いた事が前提)、Appleは一週間単位で販売予測に基づいた製品の製造を行っているため最悪一週間分の不良在庫しか存在しえない。iPhone 4Sの様に人気の商品は毎日各工場から出荷されている(船など当然使わない)。ここまでコントロール出来るのだから強いのは当たり前なのだ。
木曜日, 11月 10, 2011
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6 件のコメント:
今回の記事に関係ない質問で申し訳ないのですが、
遅ればせながら私の会社でも本格的にiPad2を導入すべくいろいろと調査しているのです。
現在、私の考えは上層部を納得させるために現在、社内会議用(プレゼン用)と製造現場での資料表示を考えていますが、どうしてもMicrosoft Officeとの互換性の問題が発生してしまいます。
何か、他に便利な使い方が有りましたら教えていただきたいのですが・・・
長々とすみませんが、よろしくお願いします。
コメントを頂きありがとうございます。
未だに、Officeありきなのは仕方のない事です。私の場合はプレゼンの資料でOfficeは一切使わずiWorksなのですが、iPad上で修正をする場合はKeynoteを使ってOfficeで作成したパワポのデータ(主にフォントですが)を修正したりしています。(勿論、人の資料です)。
iPadで閉じていて良いのならその方法を使いますが他の方に渡さなければいけない資料であればPCでPDFにしてメールするか、iPad上でPDFに変換してダイレクトにメールしています。
基本は編集のいらないものはPDFです。但し、私の経験からするとAdobeのAcrobatはOfficeとの相性などの問題があるので、PCであれば別なツールを使われる方が安心だと思います。
以上ですが、参考になりましたでしょうか?
また、具体的にご質問を上げていただければまた、ご回答させて頂きます。
ジョブズ本をいっぱい読むとスティーブの真似事くらいできそうな気がしてきますが、ティム・クックの仕事の真似をしろと言われると最初から心が折れそうです。
具体的な難しさが想像できる分、企業人として素直に尊敬できます。(スティーブは偉人として尊敬する感覚)
夢というか、理想を現実にするという事においてクックはスティーブに負けてないと思います。
コメントを頂きありがとうございます。
且つて、現金は60日分しかないのに不良在庫を1年分位抱えていたApple。Steveの目標は在庫を2週間分以内にする事でしたがティムはそれを4日に縮めました。それでいて、パーツの調達は1年分を確保と言うのですからまさにジーニアスですね。4日分の在庫で現金は米国政府よりも多い。たった15年でここまで変わった会社がそう容易く潰れる事はないと思います。
お返事ありがとうございます。
G4さんのコメントを参考にした資料と自分なりの資料を持って、上層部と話をしてきました。
結果、1、2台導入して試してみるという方向になりました。
さすがに一気に導入とはいきませんでしたが、とりあえず、一歩踏み出した感じです。
ありがとうございました。
まずは上層部の方に触れて頂くことが一番だと思います。PCが苦手の方是非触って貰いましょう。
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