水曜日, 1月 24, 2018

音声アシスタントに思うところ(2)

さて前回の続きである。現状のGoogle Homeの特徴は質問を“文字通り”とらえ聞かれたことしか答えない点である。そして何でも検索しようとしてGoogle検索の一番上に位置する情報を返答する。それよりも新しい情報があってもだ。その返答は四角四面でやっぱりGoogleだなと納得するほど人間身がない。

対するAmazon Echoは“なにかにつけて物を買わせようとする”。「ビッグマックはいくらだ」と聞けば並行輸入品のビッグマックを売りつけようとさえするらしい。該当するAmazonになければ当然その情報に関連する本を勧めてくるし、質問に対応するSkillがあればインストールを勧められる。幸いGoogle Homeの方はそんなに対応する機器がないので滅多にそんな事はないのである。

これらが、今話題のスマートスピーカーの実際の能力である。LineのCrovaもあると言われそうだが両者と比べるとまだまだDBのデータが少ないようで知らないことの方が多いらしい。そしてようやく販売開始が発表されたAppleのHomePod。Amazon EchoやGoogle Homeの音声アシスタントと張り合うために出したわけでない製品なのだが括られるカテゴリーなのでどうしても同じ土俵での比較となってしまう。GoogleもAmazonもHomePodを意識した価格帯のハイエンド版(音にこだわった)を出してきているので余計にややこしいのだが、他の製品と比べると圧倒的に高いためやれ信者向けの高ビーなもの、理解できる語彙もサーボスもショボイと出る前からDisられる始末。音に関しても実際に鳴っているところを聴いた人はいないのでAppleが音の良さをアピールするのはガラパゴスでディープラーニングの弱いAppleのSiriの能力不足を誤魔化すためと考えている人もいるに違いないが今回はその辺はスルースする。

音声アシスタントの機能として多くの質問に応えられる(アンサーと対応)事は重要である。この部分に関してGoogle AssistantとAlexaはそれぞれ得意なジャンルは明らかに違うが、それぞれの得意分野では他者を凌駕しているのは事実だ。そしてSiriはそのどちらに関しても現状太刀打ちができるとは到底言えないレベルだ。しかしだからSiriはアホだと考えるのはあまりにも浅はかである。Google AssistantやAlexaは法則性を持った正しい形で質問を投げかけると正しい答え、製品を選び出してくれるが普通に会話の相手をできるわけではない。最近はシナリオ作りにちゃんと力を入れているようでダジャレを要求すればダジャレを返してくれるが、それは応えられる命令の中にダジャレも含まれているからだが、こちらがダジャレを言ったときには発した言葉の中に辞書にある単語が入っていない限り両者とも「分かりません」と返してくるだけで、ダジャレに対してツッコミを入れてくるのはSiriだけだ。それがどうしたと言われそうだが、Google AssistantやAlexaがやっている事は文脈の中から名詞と命令語の単語を探し出して質問あるいは命令と判断しているだけでコンテキストそのものを理解するエンジンを持っているわけではなさそうだという事だ。実際にはもっと高度な処理を行っているのかもしれないが対話から判断する限りそれはまだ相当低レベルなのは間違いない。対するSiriの一番強い部分はコンテキストの認識能力だ。命令ではなく無駄話をしているだけだと判断し、それに対してツッコミを入れる事ができるためユーザーは命令や質問をしているのではなく会話をしていると誤認するレベルに達している。その部分が音声アシスタントの最大の評価項目だとすれば現状Siriは他のものよりも優れていると言えるのだ。

音声アシスタントにとって知識データベースの大きさと対話エンジンの優秀さのどちらが重要かは一概に言えないが少なくともGoogleやAmazonは知識データベースに軸足があり、Appleは対話エンジンに軸足を置いている。両方が完璧なものは未だ出ていない段階でどちらかの基準だけでみて劣っていると考えるのは早計なのである。

結論:機械学習ではなく自然言語による対話型エキスパートシステム作りに苦労してきた事のある私にとって、Google AssistantよりはSiriの方が凄いと感じるのはコンテキストの理解力が別格だからなのである。

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