火曜日, 10月 25, 2016

定年制度と年金制度

日本に定年性が導入された当時の平均寿命は60歳に満たなかった。その時の常識では定年まで生きている人はそんなに多くなく60歳から支給されることになっている年金も貰える人の方が少ないとの算段だったのではないかと疑いたくなるくらいだったのだ。ところが終戦後食糧事情と医療制度の改善により(昔はお金がなくて治療をできず死ぬ人が多かった)あっという間に平均寿命は伸び定年後に生きているのことが当たり前となったの。それでも戦後のベビーブームにより親よりも子供世代の方が多いという時代に入り一生平社員のままで終わる人ばかりになるのを防ぐ上でも定年性は1980年代までは大いに役にたった。当時はまだ年金生活に入った人たちも十分な退職金と年金で悠々自適に近い生活を送れたのだ。そして、現在平均寿命は相変わらず増え続けているのに出生率は一向に上がらず(生まれないのではなく独身者が増えすぎたのだ)ベビーブーマーが定年を迎えてしまうと少子化との合わせ技で年金生活者を支える現役世代が一気に減る方向に向かってしまった。

60歳やそこらで動けなくなるようなこともないのに良くて65歳までの嘱託契約などというおかしな形になっているのも人口爆発を懸念されていた時代に雇用調整の意味を含めて存続された定年制度のせい。ベビーブーマーは既に現役世代ではないが第二次ベビーブーム世代が50代になろうとしている時代に定年性を維持していたのでは定年で辞めて行く者の方が入社してくる者よりも多いという労働人口の減少を解消することは不可能なのである。そんな状態なのに定年は60歳のままで放置されているのに年金支給は65歳まで延期されその上年々支給金額は削られると言うおかしな仕組み。定年性延長を言い出してはいるが雇う方は65歳まではお情けで雇ってやるの立場を崩してはいないので年金支給まで死なないで済むくらいの生活をしてくださいが現状なのだ。

結論:右肩上がりで労働人口が増えず年金受給世代ばかりが増える時代に定年制度は諸悪の根源。60歳を超えてから年金支給開始(年齢ではなく現役引退)までの間は企業に対して高齢者雇用補助を行うくらいの抜本的な改革が必要ではないだろうか。無職と違い所得税は徴収可能なのである。制度施行時の前提条件がすべて壊れてしまったのだから一から考え直さなくてはいけないのだ。

月曜日, 10月 24, 2016

ライセンスビジネスの終焉

OSやアプリケーションのライセンスフィーがビジネスの根幹であったMicrosoftの稼ぎ頭はクラウドサービスに変わった。未だに圧倒的なシェアを持っているが既にスマートメディアにその位置を明け渡してしまったPCを相手のビジネスではシュリンクしていくのは明らかなので主軸をずらしたのは当然だろう。その上でAppleと同じようにハードウェアをビジネスの軸に据えようとしている。PCを作っていたメーカーはハードで利益など出せない状況になり総崩れとなった今、なぜハードウェアなのかとの疑問もあるだろうが互換性を完全に担保しようと考えたら全てを自分たちのコントロール下に置くのが最善であることにようやく気付いたのだろう。これは、Microsoftに限ったことではない。Appleに対抗するにはライセンスフィーなしで広めるのが一番とオープン路線を喧伝してきたGoogleも遂に自らが設計したPixelを出してきた。

Googleは以前からNexusと言う中途半端な製品(設計は製造メーカーに任せていたのでは?)を出してはいたがNexusを基準にしてハードを出して貰おうとの目論見は上手くいかなかったので完全に方向転換したと考えるべきだろう。スマートフォン市場も既にPCのように成長産業ではなくなったことは製造メーカーの衰退を見れば明らか。挙げ句の果てに自分たちの蒔いた自由とオープンという悪しき種のせいでコントロール不能の分断化を招いたのだからお笑い種。そして広告収入が収入源のGoogleにとってブラウザー検索を必要としないデバイスの蔓延は自らの首を絞めることになるがそれを阻止するにはGoogleのサービスとひも付きになったハードウェアを用意するしか方法がなかった。

在庫リスクのないソフトウェア(パッケージ販売だけなら在庫リスクある)は数が出れば出るほど利益になるという20世紀ビジネスの優等生だったがAppleのように無料で確実なサポートをするところが出てくるとユーザーはソフトウェアに出費することに疑問を持ち始める。Windowsはバージョンアップするたびにボリュームが大きくなり重くなるためハードウェアを買い換えさせるスタイルだったがライフサイクルを短くすればするほど廉価モデルしか売れなくなるのでメーカーはやっていけない。その結果日本のように主要メーカーは事業撤退となってしまった。MicrosoftもGoogleも正式に表明をしたわけではないが、散々バカにしていたAppleのハードウェア中心のビジネスモデルが正しかったことを証明してくれたのである。

結論:20世紀はOSやアプリケーションで利益を得るビジネスモデルは優等生だったが、21世紀になってAppleによってガタガタにされてしまった。MicrosoftもGoogleもハードウェアの売り上げで支えられるとは考えているわけではないだろうが完全に自社のコントロール下にあるデバイスがないと自社のサービスを強制的に利用させることは不可能と考えているのは間違いないだろう。

金曜日, 10月 21, 2016

午後のセミナー

昨日はとあるセミナーにお邪魔した。このままでは100万年後に人類は生き延びていないので共感をベースにして環境破壊を止めていかなければいけないと言う非常にありがたいお話。念仏としては理想的なお題目なのだが具体的に何をするのかの部分は全く現実を考えていないお花畑な話。挙句の果てには地球温暖化を止めなければ次の世代は生きていけないと。アル・ゴアが大統領になっていればと言われてもあの人のバックボーンが何なのかを知らないで語っているのだから聞くだけ無駄とそこから先は全く聞く耳を持たない状態で着席していた。

そんなどうでも良い話が終わりディスカッションタイム。最初の質問者がこれまたこの先生の対局に位置する人物。温暖化や食料不足など核融合やクロロフィルの人口培養で解決される小さな問題と宣う。まるで蛇口を捻って水が出るように言われても未だ完成していない核融合に期待など出来ない。くだんの先生は化石燃料を使わないためにも原子力発電も必要かと言いかければ核融合は核分裂のようにダーティーではないと、まるで噛み合わない応酬を聞かされる始末。あまりに不毛なやりとりだったせいか、地球のことを考えたら人類など滅亡した方が良いと思いますがどうですかと質問され、それにまともな回答もないまま時間切れ。

講演者の先生は人類が環境破壊をやめないと100万年たっても人類が住めない地球にしてしまうと根拠のない論点からスタートしたのがそもそもいけなかったのだが人類が滅んでしまえば百年もしないうちに地球の持つ治癒力で自然に覆い尽くされるという現実をもう少し真面目に考えてくれないかなと感じる時間だった。もちろん核戦争にでもなって大気を放射能まみれにしてしまえば百年やそこいらでは修復不能になるとは思うが。

結論:こんなセミナーをやっていられるのだから日本は平和なのである。

月曜日, 10月 17, 2016

専守防衛

集団的自衛権を認めたら再び戦争を仕掛けると言い張るお花畑の人たちもさすがに全くの防衛手段なしは理解されないだろうと考えているのか専守防衛は認めるようになった。しかし、専守防衛などと言う絵空事は圧倒的な武力を擁する米軍の核の傘の下に安住しているだけでよかった時代の話。北朝鮮が長距離弾道ミサイルや核弾頭を持つに至った現在。事前にミサイル基地を叩く能力を持たなければどれだけの犠牲が出るかを考えたら専守防衛などと言う絵空事を言っている場合ではないのである。

専守防衛が成り立つ前提条件は攻めてこられないだけの防衛力を保持することである。そして大戦後の日本は国内に米軍基地を保持することでそれを成り立たせてきた。いくら練度が世界有数と言われる自衛隊でも全てを領海内で迎撃することは不可能。日本に対する侵略は国内に多くの基地を保持する米軍に対する攻撃と同一の行為だからこそ誰も日本に牙を剝く事がなかったのだ。日本が今までのように米軍なしで専守防衛を貫くとしたら国内に展開されている米軍に近い人と物の軍事力が必要となる。そんなことは一朝一夕では土台無理な話なのだが、お花畑住人たちは徴兵制の復活すると騒ぎ立てる。

世界的には志願兵に当たる自衛隊員は戦闘のプロ集団。ズブの素人を兵士に育て上げる費用と期間を考えたら海外から傭兵を連れてくる方がコストパフォーマンスに優れていると言う現実を直視してほしい。よりコストを掛けずに済む方法は決して発射することのない核ミサイルといつでも目的の軍事施設を叩ける対地ミサイルを保持することだろう。

結論:専守防衛は領海内での戦闘。要は本土決戦。アメリカが第一次、二次の対戦で繁栄できたのは国土が戦場にならなかったからである。

金曜日, 10月 14, 2016

AIには色々な方向性がある

元々エンタープライズを対象にするビジネスがメインだったMicrosoftやIBM、SNSのFacebook、検索からスタートしたGoogle、購入履歴からCRM分析を飯の種にしてきたAmazonが「Partnership on AI」連合を設立した。その中にAI重視を打ち出しているAppleが参加しないのは腑に落ちないとの意見もある。

Apple自身もビックデータを軽視していない証拠にResearchKitなどのフレームワークを用意し医学会でのデータ共有に貢献している。私のようなApple信者ではない人はAppleはクローズな世界に未だに閉じこもっているだけだと批判するが共有すべきデータとそうではないものを厳格に分けるべきだと言うポリシーの上に立つAppleの方向性を理解しろという方が土台無理なのだろう。

Appleもビッグデータに興味がないわけではないが、その部分に関しては大昔から見て処理速度以外にそんなに大きな進化はない。そんなことはないとの批判もあるだろうが理論としては何十年も前に考えだされていたものがようやく実現しつつあると考える方が認識として正しいだろう(大した結果は出せなかったがリコメンドシステムのエージェントを作っていた)。森羅万象のデータを保存できるDBとその膨大なデータを解析可能な処理速度を手に入れ最適解を出せるようになってきたのが現在である。ルールがはっきりしているものAIなら何十年前に実用になっている。

そんなAIの世界にあって未だに答えが見つかっていない分野が、チューリングテストをクリアするような相手が人なのか機会なのかが判別できないようなインターフェイスを持ったAI。その部分をうまく誤魔化したものには人工無脳があるが、Appleは知性を持ったインターフェイスを作り上げるためにAIの技術を駆使しようとしてSiriを手にいれた。現状、与えてくれるサジェスチョンは他社のエージェントの方が的確な事が多いようだが、対応がより人間的なのはSiriではないだろうか。そこがSiriの魅力なのは間違いないだろう。現状のSiriの問題点はユーザーの質問のログを残さない仕様(音声による個人識別を行なっていないので残さないのだと思う)のためユーザーの好みなどをベースにして予測をする事ができない事だがいずれ個人を特定した上で最適な対応をするように成長してゆく事だろう。

結論:他社のAIはデーター解析に重きを置き、Appleはインターフェイスに置く。AIと一括りに捉えると「Partnership on AI」になぜAppleが参加しないのだという話になるのだが、やろうとしている事が違うと分かっていれば何も疑問に思うことはないのである。

火曜日, 10月 11, 2016

Samsungの焦り

発売歌詞まで悲観的な見方の方が多かったiPhone 7は順当に売れている。それどころか今回は単価の高いPlusが大きく売り上げを伸ばしている。そんな中のGalaxy Note7の発火騒ぎ。当初の発火がSamsung製のバッテリーユニットを使ったものだったため
中国製のユニットを使ったものに無償交換となったたが結果的に安全とされたものまで発火や異常発熱の問題が起こりついに販売どころか交換まで中止の事態となってしまった。

どのユニットを使っていても同じ症状が出てくるとすればこれは根本的に設計に問題があると考えるのが当然だが、未だ本当の原因を突き止められていないため使用中止をSamsung自らが出さざるを得なくなってしまった。10月に発売開始が予想されていたiPhone 7/7 Plusに先んじる実用があったのだろうが結果的に自らの首を絞める結果になってしまったのである。

その上、時期は未定だがGoogleはNexusに変わるハイエンド端末としてPixelを発売開始すると発表。廉価モデルとハイエンドで苦戦が言われているSamsungにとっては二重三重の逆風となるのは明らか。発火などさせている状況では何のに。

結論:日本では存在しないSamsung神話(使ったこともないのにSamsungを評価する人はいたが)。Googleとタッグを組んで他社に先んじて製品を出していたのは今は昔。Apple以上に落ち込む(Appleは未だにドル箱)携帯事業に焦りがあったのは間違い無いだろう。

金曜日, 10月 07, 2016

パーソナル・アシスタント

Appleの「Siri」、Microsoftの「Cortana」、Googleの「Google assistant」、Amazonの「Alexa」と世はパーソナル・アシスタントにあらずんばAIにあらずの空気。Androidスマホの優であるSamsungも「Google assistant」を使わせてもらうだけではまずいと考えたかのAppleを去ったSiri要開発メンバーが起業した「Viv」の開発元を買収すると発表した。

国内に目を向ければドコモの「しゃべってコンシェル」などが昔からあったがSiriのように雑談を楽しめるようなものではなかったのも事実。どんなに贔屓目に見てもエキスパートシステムの範囲を超えないものだった。そんな国内のパーソナル・アシステントに再び光が当たったのにはPepperの功績は大きいだろう。現状はまだシナリオベースの会話が主体なので大した会話が成り立つわけではないがRoBoHonのように音声認識の部分をローカルは「AmiVoice」サーバー上ではNuanceと使い分けバックエンドのAIに関してはIBMのWatsonに任せるなどと言うものも出てきた。

日本の場合はサイズは別にして人型ロボットの頭脳が主たる役目となりハードウェアと一体のスタイルだが、Siriなどのアメリカ勢はハードではなく個人のアカウントに結びついたネット上のアシスタントと色分けされるだろう。その中でも一番その色合いが強いのは多くのハードウェアを持っているAppleだ。今月中に発売開始される煩わしいペアリングを必要としないAirPodsと組み合わせることでどこにでも現れる妖精のようなアシスタントとなるだろう。

結論:どんなに処理能力と分析能力が高くてもビッグデータを解析するだけのAIは大昔からあるAIの延長に過ぎない。ユーザーのパーソナルスペースを奪ったものがこれからのAIの覇者になるのである。

木曜日, 10月 06, 2016

steveの死から5年

現地時間10月5日のため日本人である私たちにとってはsteveの死を知ったのは10月6日。通勤途中の電車の中で流れてきたTwitterが最初の情報だった。正式にニュースサイトに取り上げたのは日経だったがこの情報だけは疑うことなく受け入れた。哀悼のコメントが数多く上がるのと同時にsteveがいなくなったAppleはもう未来がないという悲観記事も多く書かれたがTImの舵取りの元Appleはそれ以降も成長を続けている。

Appleウォッチャーではない人からすればsteveがいなくなってAppleからイノベーションがなくなったと言う論調は響きやすかったのだろうが、steveが元気な頃から妄想の世界としか思えないような新製品を勝手に予想していただけなのに実際の製品発表を受けてAppleのイノベーションはもう終わったと書いていたことは大昔からのAppleウォッチャーであるマカーにとっては当たり前の光景。steveのビジョンを受け継いだ経営陣がいる限りは心配はないのである。

細部にまでsteveの目が通っていた最後の製品であるiPhone 4Sで初めて登場したSiriは遂にMacにも搭載され5年前にその第一歩を踏み出した音声認識型のエージェントはようやくユーザーインターフェイスの本命になろうとしている。Googleなどがビッグデータの世界にどっぷりと浸かる中、微妙に距離を置くAppleの姿勢をAIの負け組のように捉えている人も多いようだがそれは世の中の常識に毒されて本質を見誤っているのではないかと。

Appleはオープン戦略をとっていないのでいずれ負けると言うのも未だに言われているがそれはハードウェアとOSに関してであってそれ以外に関しては決してそんなことはに。その証拠にHealthKitやCarKit、ResearchKitなど業界横断的なプラットフォームになる取り組みとなっているし、Appleが排他的でないからこそIBMを始めとする多くのビッグネームがAppleと提携を結んでいるのである。実際にその辺りを見ていれば現状ではそう言った提携話の出てこないGoogleの方が閉じた世界に生きているのではないだろうか。

結論:Appleは右肩上がりの成長が当たり前でなくなった時代に巧みに舵取りを続けている。steveのビジョンが今も生き続けている証拠なのである。