月曜日, 12月 07, 2015

時の流れに身を任せ

1997年初頭のMac World EXPO Bostonで倒産寸前のAppleにMicrosoftから1億5,000万ドルの資金とMac版Officeの継続の約束を取り付けた時。二人が手を握ればPCの100%を押さえられるとSteveが口説いたとされている。その当時はわずか5%しかシェアも金もないAppleがたわけたことをと感じるのが大方の反応だったはずだが未だにわずかなシェアしか持たないAppleはMacから利益を得ているのだからさすがとしか言いようがない。そして、井の中でシェア争いをしていた国内のPCメーカーは既に単独での生き残りが不可能な状況に陥りレノボとの提携で生き残りをかけるNECと三社の提携以外に活路の見いだせない富士通、東芝、VAIOとPanasonicくらいになってしまった。

携帯電話に関しても大失敗になるはずだったAppleだけで業界の利益の95%を独占している状態にあるが、こちらもPCと同じようにOSを他社に頼ってしまったことが最大の敗因なのである。未だに日本やアメリカが特殊でAndroidの世界シェアは7割以上あるといくら叫んでみても利益にならないものは事業として成り立たないのは厳然たる事実。製造原価がいくらかは知らないがウォルマートで10ドルで叩き売られているスマホが山のようにある現状を考えるとこの先、利益を叩き出せるようになるとは到底思えないのである。

国内メーカーはAndroidで大幅に出遅れたため(ガラケーに入れ込みすぎたのだ)、早々と合従連衡が進みあれだけあったメーカーもわずかな数になってしまったが、こちらも大所帯を支えていくような事業とはなり得ないため事業規模を縮小してニッチに徹するか撤退しかありえないだろう。Appleの何倍も出荷している(購入されているかは不明)Samsungさえ、ハイエンド市場ではAppleに締め出され、ローエンドでは中国などのメーカーの追い上げられ既に利益を出すのも四苦八苦の状況になっている。このままのペースで進めば数年で完全な赤字に…

今のAppleがあるのは2007年にiPhoneを発表したからと考える人も多いかもしれないが、そのスタートは、2001年のiPodの発売(当然その以前に開発がスタート)。その後iTunes Music Store(現iTunes Store)がスタートしWindowsユーザーの利用を可能したことで大きく花開いたが、その決済システムのベースはAppleのライバルであったPower Computingのオンラインストア。音楽業界を書き換えたiTunesのエコシステムをそのまま利用可能だったiPhoneはその後拡張する形でApp Storeを展開多くのアプリが既に存在する状態になったところでそれを流用可能なiPadを展開。iPadの発表に合わせてサービスを準備したわけではないので既にエコシステムが存在するところからスタートを切れているのが他社の製品に対するアドバンテージに。

結論:今年のAppleはApple TVまで含めて多くの製品をリリースしたがそのスタートはNeXTがAppleに買収された1996年に起源がある。Appleが強いのは目の前の流れに翻弄されることなく時の流れの中でエコシステムを徐々に作り上げてきたからなのである。目先の利益だけを追っていたらAppleだって他と同じ状況に陥っていたはずなのだ。

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